2017年2月17日金曜日

雪・水仙から、ムロ・帳臺まで


シロガネ公園の 雪 1/23


「鬼は 外」(まちなか)  2/2  


ヒナかざり(まちなか) 2/2  


『古事記』を 読む 会  2/5 


『古事記』を 読む 会  2/5  




画像に ついて

シロガネ公園の 雪 1/23…数年まえに 前立腺の 治療を 受けて 以来、いまも 2カ月ごとに 通院(寺田ヒフ科医院)して います。薬を いただいての 帰り道は、なんとなく ほっとした 気分に なり、途中の 白銀公園で 一服するのが 習慣に なって います。ただし、この日は ドカ雪が ふった あとだった ので、公園内は 白一色。立ち入った 人の 足跡も 見あたりません。しばらく、道路わきから 雪景色を ながめた だけで、また 家路を たどりました。

「鬼は外」(まちなか)  2/2…デイサービス まちなかでは、季節感の ある ゲームを つぎつぎ とりあげて います。この日は 節分に あわせて、豆まき ゲーム。青鬼の 画像に むかって、通所者が「鬼は 外」と さけびながら、豆 (豆のはいったオテダマ)を 投げつけると いう 趣向です。スタッフの 一人が 赤鬼の 面を かぶる など、念入りの 演出でした。

ヒナかざり(まちなか) 2/2…すこし 早すぎると いわれるかも しれませんが、まちなかのロビーには、33日に むけて、みごとな ヒナかざり(七段)が 陳列されて います

『古事記』を 読む 会  2/5 …本文参照。

水仙(雪見橋下流)  2/16…ひさしぶりに 雪見橋あたりを 散歩しました。遊歩道や 土手にも 雪は 残って いませんが、サクラ並木の 枝を 見ても、墨 一色。春の  いぶきは 感じられません。それでも やがて、雪見橋 下流 右岸の 土手 いちめんに、水仙が 白い花を 咲かせて いるのが 見つかりました。青色の 葉は、雪の 重みで 押し倒された 姿からまだ 回復しきれて いない ようですが、「がんばって いるんだな」と 思いました。



『古事記』に 見る 建築用語

25()午前、茶屋町の 豊栄稲荷神社で、『古事記』を 読む 会の 研修会が あり、針山 康雄 さんが「古事記に 見る 建築用語を 考える」と 題して 報告されました。わたしは 針山さんから あらかじめ レジュメを いただいて おりましたので、わたしなりの 解釈を まとめた うえで、当日の 研修会に 参加させて いただきました (この ブログ1223日号を 参照)。

 ひとくちに「古事記に 見る 建築用語」と いっても、具体的に とりあげて みると、かなり 広範囲に わたり、たくさんの コトバが 出てきます。報告の あと、出席者たち、それぞれの 視点から、さまざまな 質問や 意見が 出されました。

 t-r音の 建築関連用語と して、タルキ[垂木]・テラ[]・トリヰ[鳥居]などが あげられますが、t-r音が 表わす 基本義と しては「ツルツル、ツキデル」、「テ[]の姿に なる」、「(クボミに 手や 棒を) タル・タラス[垂]姿=(タル[]・タラス[足・帯]姿)」などが 考えられます。いずれも、その音形と 意味 (事物の 姿)との あいだに 一定の 対応関係が 見られます。たとえば;

タルキ[垂木]=タレ[]さがる キ[]

テラ[]=動詞テル[]の 名詞形。テラテラ・テリ[]輝く もの。地上 たかく デル・テル 構造物。トリヰ[鳥居]=トリが ヰル ところ = 樹木 = tree。鳥は、神の使者。鳥もtreeも、ツルッと した姿。



 このように 見てくると、ヤマトコトバに かぎらず、漢語や 英語の t-r音との 対応関係に ついて 調べてみるのも 参考に なると 思われます。

 t-r音 漢語…『学研・漢和大字典』の 中から、t-r音漢語の 一部を 紹介します。語音に ついては、日本漢字音・上古漢語音・漢字・現代漢語音の順に 表記します。ご覧のとおり、現代漢語では t-r音が 見られませんが、上古漢語では t-r音の音節が 成立し、その後 語尾子音-rが 脱落した ことが 分かっています。

スイdhiuarchui 垂る。垂れる。垂らす。*もと、穀物の穂などが タレル[]姿。

スイdhiuarchui おもり。おもし。*タレ下がる もの。

スイdhiuarchui 地の果て。*都から タレ下がった ところ。

スイdhiuarshui ねむる。ねむり。*マブタが タレ下がる 姿。

スイ・ツイdiuarzhui 落ちる。落とす。*上から 下へ タレ下がる 姿。

タ・ダt’uartuo つばき。*口から タラス もの。⇔ヨダレ[]

タイ・テイterdi そこ。*タレ下がり、とどまる ところ。

タイ・テイterdi ひくい。ひくまる。*タレ下がる 姿。

タイ・テイterdi 諸侯が 都に 来た時に とまる 宿舎。貴族の やしき。低い 平屋。*テイ[底・低]などと 同系。タル[]・デル[]・ツキデル 姿。

ダイ・テイderdi おとうと。*「ひもの 垂れた さま+棒ぐい」の 指示文字で、棒の低い所を ノ印で さし示し、低い位置を あらわす。兄弟のうち、背たけの 低いのを 弟と いう。テイ[低・悌]と 同系。

ダイ・テイderdi ついで。段階。やしき。*もと、竹の節が 順序よく 一段一段と 並ぶ 姿。ダラダラ・デレデレ、タル[]・デル[]・ツキデル 姿。



 t-r音 英語…『A.H.D.』フロク「インド・ヨーロッパ語根と その派生語」の中から、その一部を 紹介します。語根・基本義・派生語の 順。

del-(to count数える) tell語る, tale語る, talk語る。*コトバが タル[]・デル[]・ハナレル[] 姿。

deru-(to be firmしっかり している, solid, steadfast) tree樹木, true真の, truth真実, trust信用, tray盛り皿, trim形を 整える。*デル・テル・トル姿。手に取る、トリモツ・トリシラベル・トリノゾク 姿。

dher-(to hold firmlyしっかり持つ,  support支える) farm農場, firm1堅固な, confirm確かめる, throne玉座. *基本義は、前項deru-に 近い。⇔タル[垂・足]・テル[]・デル[]。⇔スイdhiuar垂。タイ・テイter邸。ダイ・テイder第。チョウダイ[帳臺]との 音韻対応関係は 認められない。 チョウtiang帳も ダイdeg臺も、 ともに t-g音タイプ。

dhreg-(to drawひきずる, slideすべる) drinkのむ, drenchずぶぬれに なる。*ツルツル・ヅルヅル、ヒキヅル[釣・吊] 姿。

dhreu-(to fall落ちる, flow流れ出る, dripしたたる, dropしたたり) drizzle, drop, droop垂れ下がる, drip滴らせる。*ダラダラ・デレデレ、タル[]・シタタル[] 姿。

tele-(to lift持ち上げる, supportささえる, weigh重さを量る) toll1苦労する, talent才能。テダレ[手足], Atlas天空を ささえる 巨人、translate翻訳する。

tere1- (to rubこする, turnまわす) turn, returnもどる, drillドリル, throw投げる, trauma外傷。*キリキリマイする姿。その結果、ツル・ツラヌク 姿。そして、キズつく 姿。

tere-2 (to cross overよこぎる, pass through通り過ぎる) thrillスリル, nostril鼻孔, through~を貫いて, trunkトランク。*ツル[釣・吊・蔓・弦]・ツラ[]・ツラヌク[貫・面抜] 姿。

ters- (to dryかわかす) thirstyのどが かわいた, terraceテラス, terrierテリア犬, territory領土, into~の中へ, Mediterranean,地中海の toast1トースト。*太陽が デル・テル、日光を タラス[垂・足]・テラス[] 姿。湿地の 水分を トリのぞき、耕地・領土と する 姿。

trei- (three) three, thrice三度, thirteen, thirty30, trio三人組, third三番, triple三重の, contest試合, protest抗議, testify証明する。*三角形の ツリバリでツル[釣・吊・連]・ツラヌク 姿。



ムロ[]から チョウダイ[帳臺]まで   

 この日の 研修会で、もう一つ よい勉強をさせて いただきました。ムロ[]・ムロヤ[室屋]に 関連して、豊栄神社宮司でも ある 五十嵐 顕房さんが 神社建築の 用語に ついて解説された 中で、チョウダイ[帳臺]という コトバを 教えて いただいた ことです。神社建築の いちばん 奥まった 場所に 設定され、もっとも 神聖な ヘヤ[部屋](=ムロ[])の一部が チョウダイ[帳臺]と 呼ばれた とのこと でした。

 家に 帰ってから、すこし 調べて みました。

チョウダイ[帳臺]…昔、室内に一段高く臺を設けて、其の四隅に几帳を垂れた處。貴人の寝所に用ひた(『大漢和辞典』、大修館)。

チョウダイ帳台…平安時代に貴人の座所や寝所として屋内に置かれた調度のこと 。御帳

台(みちょうだい)、また御帳(みちょう)ともいう。 (Wikipedia

チョウダイガマエ[帳台構]…書院造における設備のひとつ。「構え」とは建築物 における設備や機能の意。  書院造の上段の間は、正面に床と床脇棚が並び、広縁の側に付書院、、そしてその反対側に帳台構えを設ける。帳台構えは敷居を畳より一段上げ、鴨居を長押より一段低く設けた区画に4枚の襖絵を入れる。中央の二枚は左右に引き分けることができるが、外側の二枚は嵌め殺しとなっている。引手には組緒を総角(あげまき)に結び端に房を付けて提げ、帳台構えの敷居鴨居とその間に立てられている縁(ふち)はすべて黒塗りとし、その上から金鍍金の金具を打ちつける…。(Wikipedia

 現代の 住宅建築に ついて 考えてみても、寝室は、玄関から 入って すぐでは なく、応接間・居間などより 奥まった 場所に 設定されるのが 普通です。『古事記』や 『萬葉集』の時代に 「ムロヤ[室屋]」、「ムロホキ[室寿]」、「ムロツミ〔館・客館堂]」、「ニヒミロ[新室]」、「ウツムロ[無戸室・空室]などと 呼ばれた 「ムロ[]」が、やがて 中国大陸から 先進的な 建築技術の伝来と ともに、「チョウダイ[帳臺]」などの 漢語で 呼ばれるように なった 経過が すこし 見えてきた 感じです。

  いずれにしても、日本語 タル[垂・足]・タラス[垂・足・帯]・テラ[]・テル[]・デル[]・テラス[]と、漢語 スイdhiuar垂、タイ・テイter邸、ダイ・テイder第、英語 terraceテラス、throne玉座などの 語音を ならべて みると、国籍や 民族の ワクをこえて、t-r音独特の 音韻感覚が はたら いている ことが 実感されると 思いますが、いかが でしょうか?