①竜を図案化(橘さん)
②同上(泉さん)
③竜のペア(安藤さん)
④同上(安達さん)
⑤竜の船(島崎さん)
⑥同上(村上さん)
⑦「龍」字を図案化(藤木さん)
⑧同上(林さん)
⑨「辰」字を図案化(布村さん)
⑩タツ年切手いろいろ(種谷さん)
⑪数字2012を竜の姿に(ワタナベさん)
タツのデザインいろいろ
ことしはタツ年ということで、タツにちなんだデザインの年賀状をたくさんいただきました。おなじく「タツ」といっても、年賀状にえがかれたタツの姿はさまざま。そのデザインを見ながら、ざっと分類してみました。
ことしはタツ年ということで、タツにちなんだデザインの年賀状をたくさんいただきました。おなじく「タツ」といっても、年賀状にえがかれたタツの姿はさまざま。そのデザインを見ながら、ざっと分類してみました。
竜を図案化(単独・ペア)…①、②、③、④。「龍」はもともと「天災地変」や「猛獣」など、マイナスイメージの一面をもっているのですが、年賀状ではぎゃくに「臥龍昇天」、「災害をのりこえ、復興をちかう」など、プラスのイメージが強調されているようです。
竜の船…⑤、⑥。ゴンドラみたいな船に、こどもや七福神をのせた姿にえがかれています。「竜」の威力を「平和で幸福な生活」建設に利用するという発想。「原子力の平和利用」にも通じる感覚でしょうか。
竜・辰の字形を図案化…⑦、⑧、⑨。タツは[竜]とも[辰]とも書かれます。そして、それぞれの字形について、あらためて図案化がくふうされています。
タツ切手オンパレード…⑩。タツ年にちなんだ記念切手(10円。20円、80円)のオンパレードで、フンイキをもりたてています。
数字2012を竜の姿に…⑪。アラビア数字の2012そのものを図形化して、竜の姿に見せかけたもの。そういわれれば、タツの姿に見えないこともありませんね。
タツはシン[辰]か、リュウ[龍]か?
ところでタツ年のタツは、シン[辰]と書いたり、リュウ[龍]と書いたりします。いったいどっちが正しいのでしょうか?この問題のコタエは、すこしややこしくなります。
ところでタツ年のタツは、シン[辰]と書いたり、リュウ[龍]と書いたりします。いったいどっちが正しいのでしょうか?この問題のコタエは、すこしややこしくなります。
このタツは十二支(ネ・ウシ・トラ・ウ・タツ…)のタツで、いちおう動物のナマエになっていますが、それは仮のナマエ。正式にいえば、根本に十干・十二支という宇宙観があり、十二支は「宇宙の運行にかかわる星(天体)」のナマエです。十二支の第5位がシン[辰]とよばれ、ヤマトコトバではタツとよばれました。ほかの「ネ・ウシ・トラ・ウ…」も、おなじ要領です。
漢字シン[辰]は、二枚貝が開いて、ビラビラと弾力性のある肉を描いた象形文字。シン[振・震]と同系。「動植物がフルイタツ」姿から、ヤマトコトバではタツ[辰]とヨミカキすることになりました。そのご漢語社会で、シン[辰chen]よりもリュウ[龍long](隆と同系)の語音がよろこばれるようになり、日本でもタツ[龍]と書くようになったというわけです。
タツ(t-t音)の基本義
ヤマトコトバのタツはt-t音タイプのコトバで、動詞「タツ[立・建・断]・ツツ[伝]・トヅ[閉]や名詞「タタ[縦]・タチ[太刀・舘]・タツ[辰]・タテ[楯]・ツタ[蔦]・ツチ[槌]・ツツ[筒]・ツテ[伝]・ツト[苞]」などと同系です。
ヤマトコトバのタツはt-t音タイプのコトバで、動詞「タツ[立・建・断]・ツツ[伝]・トヅ[閉]や名詞「タタ[縦]・タチ[太刀・舘]・タツ[辰]・タテ[楯]・ツタ[蔦]・ツチ[槌]・ツツ[筒]・ツテ[伝]・ツト[苞]」などと同系です。
t(d)音を発声するには、かならず舌先を上ハグキにツキタテル姿になることから、t(d)音のコトバ、とりわけt-tタイプのコトバには、「タツ・タテル・ツキアタル」などの基本義がつきまとうことになります。
実在する生物タツノオトシゴが「タツ」の名をもつのも、「立ち泳ぎの姿」なればこそ。「タツ年は、復興にタチあがる年」と期待するのも、おなじ感覚です。
タツとリュウ[竜]
ヤマトコトバのタツはt-tタイプ。漢語のリュウ龍long2はl-kタイプ。このl-音は、ヤマトコトバにはない子音。日本人の耳には、r-音と区別がつきません。
ヤマトコトバのタツはt-tタイプ。漢語のリュウ龍long2はl-kタイプ。このl-音は、ヤマトコトバにはない子音。日本人の耳には、r-音と区別がつきません。
しかし、t-音とl-音に共通点がないわけでもありません。どちらも.調音点がおなじ(上ハグキ)で、イキの流れがちがう(破裂音と流音)だけです。漢語初級テキストで「音節一覧表」を見ても、d, t, n, lの4子音をまとめて1グループとしています。それだけ音韻感覚が似ていて、交代することもできるというわけです。
そう考えてくると、漢語リュウ龍long2がヤマトコトバでタツとよばれるのも、ただの偶然ではないかもしれないことに気づきます。ロウ瀧long2とタキ、ロウ籠long2,3とタゴ(担桶)、リュウ隆long2とタカシ、リツ立li4とタツなども、t, l子音交替の例かもしれません。ただし、このへんの議論は、イズミ流「独断と偏見のカタマリ」です。くれぐれもマユツバをおわすれなく。
タツとリュウ[竜]とdragon
西洋には、十干・十二支という思想そのものがないようですが、架空の動物を表わすdragonというコトバがあり、日本語のタツや漢語のリュウ[竜]long2とよく似たイメージです。音韻の面でも、まったく無関係とはいいきれません。
西洋には、十干・十二支という思想そのものがないようですが、架空の動物を表わすdragonというコトバがあり、日本語のタツや漢語のリュウ[竜]long2とよく似たイメージです。音韻の面でも、まったく無関係とはいいきれません。
辞典では、dragonはもともとdrag-onと解説されています。ヒキズル・ヒッパル姿。エモノにトリつき、ツリあげ、ひきトル姿。実在する動物でいえば、巨大なヘビやワニを連想させるコトバです。
Dragやdrawはヒキズル[引摺]・ヒキツル[引吊]姿。
1滴ずつのシタタリ・dripが、やがてツララ[氷柱]になる。
ツリバリの基本は三角・triangle。Dragやdrawはヒキズル[引摺]・ヒキツル[引吊]姿。
1滴ずつのシタタリ・dripが、やがてツララ[氷柱]になる。
サカナがエサをトルためにtryする。ぎゃくにツリトラレルかも。ツライ仕事。
こうして見ると、ヤマトコトバの中には漢語よりも英語に近い音韻感覚のものがあるみたいですね。