2019年7月16日火曜日

タナバタの季節






社会人大楽塾 6/13


民謡の会  6/14 


退教協総会  6/25 


6花かご 6/26




 日本海文化悠学会  6/28


タナバタかざり  6/29  


音を聞く会  7/3  


『古事記』を読む会  7/7   



社会大楽塾
6月13日(木)、午後9fで「社会人大楽塾」が開かれ、出席しました。ここで取り上げられた曲目は「鐘の鳴る丘」、「チャンチキおけさ」、「山小舎の灯」、「高校三年生」など。白板に掲示された大判歌詞カードを読んだり、テープながされるメロデーをきいたりしているうちに、そしてまたリーダ―の身ぶり手ぶりにもうながされ、自分でも声をだしたり、手足を動かしたりするようになってゆきます。第三者から見れば、なにをウナッテいるのやらと思うかもしれませんが、そんなことはどうでもオカマイなし。高齢者にとっては、最高の機能訓練となっているかもしれません。
 ここまで来ると、ところどころで挿入される「ワッハッハ」や「アリガトウゴザイマス」などにも、ほとんど違和感なく発声できるようになっています。

民謡の会
614()午後、9fでボランティア民謡の会があり、出席しました。三味線・胡弓・ササラなどの囃し方をそろえた「加賀山流・なぎさ会」のみなさんが、「こきりこ節・むぎや節・八尾おわら節」をはじめ、全国各地の民謡を歌と踊りで披露されました。とにかく、迫力のある演技でした。

富山県退教協総会
6月25日()午後2時から、呉羽ハイツで、富山県退職教職員協議会総会に参加しました。むかし富山市で中学校教員として勤務し、日教組の教研集会に参加していたころからのながれで、ことしも参加させていただきました。
 富山県退教協の会長は立山町坂田勲さんです。その坂田会長が開会あいさつの冒頭でいきなり「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」(芭蕉)の一句を朗詠されました。わたしは、これを聞いたとたん、「わざわざ呉羽ハイツまで足をはこんだカイがあった」と感じました。
 この暑い季節をえらんで、おおぜいの会員に呼びかけ、総会で議論したり、そのあと宴会で酒をくみかわしたり…。その状態は、客観的に見て、「閑かさ」とは正反対で、「暑苦しい」、「やかましい」、「にぎやか」、「せわしない」などの状態です。坂田会長をはじめ、退教協役員のみなさん、どうもおつかれさまでした。
 退教協の仲間と話してみて、なんとなく気づかされたことがあります。それは、共通の経歴をもつ中で身につけた「共通の人生観」みたいなものです。もちろん、一人一人ちがった個性をおもちですが、現役のころ、つぎの時代の日本を背負って立つ子供たちのために、「生きぬく力」を育てるために、小中学校の教育現場で全力をつくして働いたという共通の経歴をもち、退職後の現在でも、環境のちがいに応じて、具体的な対処の仕方はさまざまですが、「イマのイマを、いちずに生きる」だけという姿勢には、「閑かさ」が見られるということでしょうか。
さて、呉羽ハイツは富山の市街地から近く、ゆっくり温泉にはいれるということで、これまでもずいぶんと利用させていただきました。ただし、あまり広すぎて、割りあてられた居室と会議場・宴会場・大浴場などを行ったり来たりするのに時間がかかります。わたしは歩くのがニガテで、フラフラよろけそうになりながら歩いていると、役員の方が気づいて、さっそく車いすをさがしてきて、おしてくださいました。お世話になりました。
 参加者の中で最高齢ということで、総会場でも宴会場でも、会長さんのとなりの席にすわらせていただきました。また、高齢者への記念品(扇子)もいただきました。
宴会場でも、わたしは自分の席にすわったままで、おおぜいの方から声をかけていただいたり、お酒をついでいただいたりしました。実は、ホーム「めぐみ」では、お酒を飲むことは一切ありません。外出さきの会合などでは、その場のフンイキ次第で、お酒をいただくことがあります。それも、ほんとうに「ウマイ」と感じるのは、ビールなら最初のカンパイ用コップ1パイだけ。あとはだんだんニガクなるので、マネゴトだけでカンベンしてもらっています。
 この席で、わたしはかねて持参していた作品「ワ・ワタル・waterの系譜(ヌキズリ「教育・文芸とやま」第24号、2018)を数人の方にお渡しすることもできました。


花かご
626()。退教協総会の日程は、朝食までで終了。そのあと役員の方の車に便乗、丸の内ホーム「めぐみ」まで送っていただきました。おかげさまで「楽しく、充実した」一泊旅行ができました。ありがとうございます。
午後、桑名保明さんが「めぐみ」までたずねてこられました。実は、先日桑名さんから電話があり、「ひさしぶりで会いたい」といわれ、わたしの都合にあわせて、「26日午後3時ころ」と打ちあわせていました。
桑名さんと知りあったのは1956。桑名さんは、わたしが富山市立東部中学校に勤務していたころ、職場や関係サークルの仲間たちといっしょに、「ちんぐるまの会」という文芸サークルをはじめたときの会員(当時は高校生)でした。そのご、わたしが転勤を命じられるなどのことがあり、「ちんぐるまの会」の活動も休眠状態においこまれたのですが、半世紀あまりの年月をへだてて、その桑名さんと再会することができました。
直接のきっかけは、「旧友(富山県教職員厚生会発行)3月号の特集記事「慶寿会」。「白寿」該当者として「喜びのことば」が(イズミの顔写真つきで)掲載されていたこと。桑名さんはこの記事を見て、イズミへ再会希望の電話をする気になったとのことです。
 桑名さんは、わたしの健康を祝して、りっぱな花かご(写真)を持参されました。ミゴトすぎて、せまい部屋のどこにかざればよいか、心配になるくらいですが、まずは亡くなった信子の遺骨の正面にあたる台のうえにかざることにしました。
 桑名さんからは、ご自身がその後高校の国語教師を勤められたことや、「ちんぐるまの会」仲間の水野信利さんの近況などについて報告されました。わたしからは、その後「日漢英3言語の音韻比較」作業にのめりこんできた経過について報告し、関係資料としてわたしの作品「スミ・シム・SMITH…スミノエ神はSMELTING MAGICIAN」、「現代日本語音図(日漢英共通64音図)」、「コトダマの世界Ⅱ」、「ワ・ワタ・ワタル・waterの系譜」などを贈呈しました。
ひさしぶりに、自分の話をじっくり聞いてもらえる相手が見つかったことがうれしくて、まるで独演会みたいに、いいたい放題しゃべっていました。反省しています。

日本海文化悠学会
628()午後、茶屋町豊栄稲荷神社で開かれた日本海文化悠学会研修会に出席。会員五十嵐俊子さんから「中番にある水神宮…燈籠台に刻まれた城下の町名」にかんする研究報告を聞かせていただきました。A4判9㌻にわたる、写真・地図つきのレジュメを配布されましたので、たいへんわかりやすく、よい勉強になりました。そのお礼をかねて、わたしの感想をしるします。
  「歌碑」の表記法について富山藩士月窓の歌で、1808年の作とされていますが、「歌
碑」の読みとり(再生)がむつかしく、同一部分について「満(みず)もれ農(の)」、「まもれこの」、「防げこの」など、解釈が分かれるとのこと。どの解釈が正しいか、それも問題ですが、こうした問題がおこること自体がヤマトコトバのおもしろいところだと、わたしは思っています。たとえば、ミズ[]歴史カナヅカイではミヅであり、ミヅガキ[瑞垣]のミヅに通じます。このミは、もと甲類カナとよばれ、この1音だけでミ「水・神・見・三・御」などの意味を表わすことができます。これに対して、乙類カナのミは、「実・身・箕・廻・己」などを表わします。甲乙とも、ミの音形(音価)は同一ですが、甲類のミはウム[生・産]・カム[噛・咬](能動)の立場、乙類のミはウマレル・カマレル・コモル(受動)の立場を表わしているようです。
このように見てくると、ミズ[水]など平生なにげなしに使っている用語でも、すこしていねいにたずねてみると、そのコトバのうらに、長期にわたる、さまざまな社会情報がヨミコマレテいることがわかると思います。
  「富山町づくし」(天保12年)についていたち川周辺の町名を記入した地図を拝見し
ました。わたし自身、「大日本帝国敗戦」で中国から帰国以来、いたち川左岸、雪見橋わきの砂町に住所をかまえているので、ご近所の町名には格別の関心があります。石倉町・餌指町・東四十物町・仁右衛門町・東(西)仲間町・上(下)金屋町・鍛冶町・材木町・門前町など、どの町名にも、それぞれ命名の由来があり、職芸集団の分布をしらべる手がかりとなります。とりわけ、アイモノ[四十物]町については、上代語2音節動詞としてアフ[逢・合・会](四)・[合・和](下二)・[饗・設](四二)が成立していること、また動詞アフ[饗・設]の名詞形アヘ[饗](ごちそう。もてなしの食事)が成立していることから、アイモノ=アヒモノ⇒アヘモノ[饗]と解釈してみたことがあります。また、ニエモン[仁右衛門]町についても、この漢字表記法はいかにも漢語らしく見えますが、もとはヤマトコトバのニヘ[贄]モノ[物・者]であり、漢字・漢語が伝来したことにより、こうした漢語風表記法が流行したなごりだと考えているのですが、いかがでしょうか。
 いたち川の語源についても,イタチ(動物名)・イタチ[射立](出で立ち)・エダチ[役](労役)など、さまざまな説があり、結論は出ずじまいのようですが、いたち川周辺の町名をしらべるだけでも、各種職芸集団の分布・配置がわかり、富山城下町・富山藩政基盤作りの過程などについて、重要な情報資料をえることができると思います。
共同で歴史研究をすすめる場合、用語の意味用法を確認してから調査をはじめ、報告の文言をととのえることが必要ですが、現実には、用語の意味用法を確認しないまま議論をすすめてしまい、「議論がカミあわない」、「ミズカケ論(時間のムダ使い)で終わる」ことがしばしばおこります。はじめにすこしだけ時間をかけ、統一された用語でムダのない議論をすすめ、客観的・合理的説得力のある結論がえられるようにしたいものです。

タナバタかざり
629日(土)午後、ホームの住人が集まって、タナバタ祭りのカザリをつくりました。タンザクに一言、願いごと・ユメを書いて、ヒモをとおしてササカザリの枝にぶらさげます。
「七夕」、「健康第一」、「ビール大好き」、「令和婚」など、さまざまな思いが伝わってきて、にぎやかです。ついでにチョウチンもぶらさげて、タナバタかざりはほぼ完成。
 それにしても、いまの世の中、いつ・どこで戦争がはじまるかわからない状態がつづいています。「世界中が平和でありますように!」ひそかにイノルばかりです。

音を聞く会
7月3()午後、9fで「音を聞く会」に出席しました。この日歌われた曲目は、
「始まりの歌」、「銀座の恋の物語」、「遠くへ行きたい」、「上を向いて歩こう」、「星影のワルツ」、「愛燦燦」など。先日みんなでこしらえた「タナバタかざり」(彦星と織姫の物語)
わきにかざられ、演出効果をあげていたと思います。

『古事記』を読む会
77日(日)午前、茶屋町豊栄稲荷神社で開かれた『古事記』を読む会に出席。これまでしばらく上巻末、「天孫降臨」あたりを中心に読んでいましたが、今回からしばらく中巻「神武東征」を中心に読んでゆくことになりました。さしあたり、この日出席者全員で「神武天皇」の項(①東征。②五瀬命の戦死。③熊野の高倉下。④八咫烏の先導。⑤兄宇迦斯と弟宇迦斯。⑥久米歌。⑦皇后の選定。⑧当芸志美々命の反逆)を輪読しました。
この日は、中巻・「神武東征」の初日ということで、格別具体的な問題提起や研究報告などはありませんでした。わたし自身は、いまのところ「ヤ[]の系譜」と「ワ[]の系譜をたどる作業で精いっぱいの状態。今回も、いちおう「古事記からたどるヤ[]とワ[]の系譜」(メモ)を提出、配布していただきましたが、これは自分が思いついた項目をメモしただけのもので、このまますぐ討議資料としていただけるものにはなっていません。8月は研修会が夏休みとなっているので、そのあいだに「神武東征」をふくめた討議資料をまとめたいと考えています。「神武東征」のくだりでは、[]の系譜として「カムヤマトイハレヒコ[伊波禮毘古]」、「ナミハヤノワタリ[]」、「イタグシ[]」、「ヤタガラス[八咫]」、「ヤソタケル[八十]」、「オホムロ[大室]」、「ワ[]の系譜」として「ナミハヤノワタリ[浪速]」、「イハオシワクノコ[石押]」、「シギワナ[]」、「アザワラフ[]」、「ミワノオホモノヌシ[美和大物主]、「(手足)ワナナキ[和那那岐]」などが採集できるかと思います。

m-m音語の系譜…日本語の系譜(5)
 「k-k音の系譜」にひきつづき、「m-m音の系譜」をたどる作業にはいりたいと思います。ただし、「k-k音の系譜」の作業でテマ・ヒマをかけすぎ、疲れてしまった感じもします。その教訓にまなんで、m-m音については、できるだけ簡潔に、要点をしぼって議論をすすめたいと思っています。よろしくお願いします。
擬声・擬態語
 例によって、まず擬声・擬態語からと考えていましたが、m-m音タイプの擬声・擬態語が見つかりません。上代語はおろか、現代語でもゼロのようです。
 m-単音節の上代語として、[喚犬](犬を呼ぶ声)[牛鳴](牛の鳴き声)が成立していあることから考えて、m-音と擬声・擬態語と「相性が悪かったから」とはいえません。単音節擬声語としてのメ・ムが成立したのに、どうして2音節の擬声・擬態語がゼロなのか、その原因がよくわかりません。

マ行音が表わす意味
 m-m音語(複音節)の議論をするまえに、まず単音節のマ行音が表わす意味をたしかめておきましょう。上代語の段階で、マ行単音節語としてマ・ミ・ム・メ・モがすべて成立しています。それぞれの「音形と意味との対応関係」はどうなっているでしょうか?以下、『時代別国語大辞典・上代編』(略称『上代編』)の解説をご紹介します(各項、*印以下の注は引用者の責任)。
[間・際]①空間。②時間。【考】二つのもの・所・時にはさまれたあいだをさす。*動詞ム[生・産]の未然形、兼名詞用法。モノがウマレルときの空間や時間。「ム[生・産]するもの」の意。
[鬼・魔]魔物。中国語[]の借用語か。
[]うま。*漢語マ[]からの借用語かもしれない。また、それ自体がさらに西方言語からの借用語かもしれない。
[目・眼] []の交替形。*カ[髪・毛]・ケ[]、タ[]・テ[]などとおなじ感覚の造語法。また、採集経済の時代には、「目をツケルこと」(発見)がそのまま「ウムこと」(生産)につながっていた。
[真・信]形状言。真実の・完全な・純粋ななどの意をあらわす。
[]接頭語。動詞・形容詞・副詞などに接する。
接尾語。擬声語、形容詞語幹、打消しの助動詞ズ、状態を意味する接尾語ラなどに接し、これらの語の持つ状態の意を固定する。
[喚犬]擬声語。犬をよぶときの呼び声。
[]水。ミ~、またはミナ(ナは連体の助詞)の形で複合語中にのみ見られる。*甲類カナ。動詞ム[生・産]の連用形、兼名詞形。ウムこと。ウムもの。地球上のイノチは、すべて水と太陽光線のウム作用から生まれた。
[]神霊。接尾語的に用いられる。*甲類カナ。カミツク・クヒツク・ミタスもの。カミ[]のミは乙類カナ。受け身の姿。
[] 見ること。見た目。見ルの名詞形。
[]三。*甲類カナ。サラ・ナベ型の容器(クボミ)があり、フタがかぶさっている姿がフタ[二]。さらに、そのクボミ部分へ魚・肉・野菜などの食材をワリこませ、ミタス[満]姿がミ[三]。順番にヒト[]・フタ[]・ミ[]となる。ミ[]は、やがて「漠然多数」を意味するようになり、さらに絶対数を表わす数詞として定着した。
[]接頭語。畏敬の念をもって物を指すときや物をほめたたえていうときに用いる。*実質的には、前記[水・神・三]と同様に、ミズ[水]がもつ威力を理解したことによる意味用法。『古事記』「三輪山伝説」(崇神)のミ[三]・ワ[輪]と共通する感覚による用法。⇔ミワ・ワタ・ワタツミ・water.
接尾語。形容詞の語幹に接して用いられる。
接尾語。動詞連用形に接し、~してみるの意の副詞句を作る。
[]①果実。果肉。サネ[]。②内容。中味。③鞘の中に入れる刀の刃のついた部分。④
容器の物を入れる側。フタの対。*乙類カナ。()が「ウミ[]だすもの」(主体)を示すのに対して、()は「ウミ[]だされたもの」(受け身)の姿を示す。
[]①肉体。からだ。②肉。けものや魚の肉。③身の上。*乙類カナ。
[]み。穀類をあおりふるって穀と塵などを分けるのに用いる道具。*フリワケ・ウミワケられる[](受け身)の姿。
[]まわり。めぐり。【考】語源は、曲がりめぐる意の動詞ム(上二)の連用形ミ(乙類)に求められる。*乙類カナ。
[]①蛇。②十二支の第六。【考】正倉院文書戸籍帳だけでも「ネ[]麻呂・牛麻呂・牛売・刀良売・竜麻呂・犬麻呂・猪麻呂」などの命名がある。*乙類カナ。
[]六。*[生・産]と同源[]とともに「漠然多数」を意味する。ミとムとは、語尾母音が交替関係。
[]身。ミの交替形。複合語中に用いられる。⇒ムクロ・ムザネ・ムネ。*「ウミ[]だされたもの」(受け身)の姿.
[牛鳴]擬声語。牛の鳴く声。
ム[産]動四。産む。
動上二。曲がりめぐる。
ム[将]助動特殊。非現実の事柄について予想をあらわす。
メ[女・雌]①めす。ヲ[雄]の対。②女。女人。③妻。*ム[生・産]作業の主体。甲類カナ。
[目・眼] マを交替形とする。①目。視覚器官。②顔。姿。③逢うこと。見ること。【考】動詞ミル[]と同根。*乙類カナ。①ミル[]作業をすすめるために使われる道具。②その作業の結果としてウマレタもの。
[]物と物との合わせ目。【考】マ[]と関係を有する語。*乙類カナ。
[]。草木の芽。*乙類カナ。水と太陽光線の作用の結果としてウマレルもの=命の目。
[海藻]わかめ・あらめ・など海藻の総称。メはメ[]の意とも、モ[]の転ともいう。*乙類カナ。
[]イモ[]のイが約音のため消えた形。
[裳・裙] []。主として女子が腰から下にまとった長いスカート状の衣。
[] []。①凶事。わざわい。②喪。人の死後その親族が屋内に憂いに沈んで謹慎していること。
[方・面]方向。あたり。オモ[]のオが落ちたものともいわれる。
[]も。海や淡水の中に生える藻類。
接頭語、真・完全・純粋の意を添える接頭語マと異形の関係にあるものか。⇒モナカ・モハラ・モトモ。
 以上の記述から、マ行音が表わす基本義を仮設してみました。ご教示をおまちします。
 m-音…口の中にたまったイキが両クチビルからモレ出る語音。鼻での共鳴をともなう鼻音でもある。m-音を発声するとき、発声器官にウマレル感覚(視覚・触覚など)m-音語の基本義を決定する。①子音m-は、「クチビルからモレル」、「鼻で共鳴する」などの触覚をあらわす。②母音のちがいは、発声時の口形などのちがい(視覚)をあらわす。
mam-するもの。→[真・間・目]
mim-すること。→ミ[神・水・見//身・実]。
mum-する。→ム[生・産]
mem-するもの。マの交替音。→メ[女・雌//目・芽]。
mom-するもの。マの交替音。→モ[裳・藻・面]。

m-m音タイプの動詞 音型と意味
 つぎにm-m音タイプの動詞について、「音型と意味の対応関係」を中心にチエックしてみましょう。といってはみたものの、いざ『上代編』をのぞいてみると、m-m2音節動詞はモム1しかありません。
モム[揉・縒]動四。もむ。手で物をつかんでくりかえし和らげほぐす。
上代語だけではありません。『広辞苑』をみても、マム・ミム・ムム・メムなどの音形をもつコトバがみあたりません。つまり、これらのm-mタイプ2音節動詞は成立していないということです。たしかにフシギです。

m-m音タイプの名詞など
 それでは、動詞以外の品詞語ではどうなっているでしょうか?
ママ ガケ〔崖〕。急斜面のことか。*ガケは、ヤマ[山](陸地)の一端がカケル[欠]姿。ママは、マ[]のマ[]。また、ヤマの一端がモミ[]とられ、モギ[]とられて、そこにマ[間]がウマレル姿でもある。
ママ[継]接頭語。実の親子、あるいは兄弟関係でないこと。*双方たがいに[]をおかれた関係。
マミ[目見]目もと。目つき。*目のあたりの見え方。
マメ[豆・大豆]①まめ科に属する植物。また、その実。②特に大豆をいう。*マ[真]メ[目・芽](神があたえた食品)の感覚か。
ミマ[孫]貴人の孫の称。ミは接頭語。マは孫の意。
ミミ[耳]①耳。聴覚器官。②耳で聞いたこと、話、うわさ。
ミメ[妃・皇妃]ミ[御]メ[妻]の意で、高貴な人の妻。
ムマ[馬]馬。→ウマ[馬]。【考】用例が防人歌と書紀古訓などなので、上代において中央でムマという形がどのくらい用いられたか疑わしい。
モミ[籾]もみ。【考】(用例では)手で揉んだからモミという、という語源解釈を含んでいるようである。*⇒モミチ[黄葉]・モミツ[黄葉]。
モモ[股]もも。脚の膝から上の部分。*左右の脚がモミあう姿。
モモ[百]①百。②多数。
モモ[桃]もも。いばら科の落葉小高木。実は食用とし、実の中の核を薬用に供した。【考】上代に中国大陸より伝来したものらしい。桃の実には細かい毛が生えているので、ケモモとも言った。中国では、桃は邪気百鬼を払い制する仙木とし、記紀の神話にも桃の実を投げて黄泉の鬼を退散させた例が見える。

漢語・英語のm-m音語との比較
 参考までに、漢語や英語の場合、m-m型の語音が成立しているのかどうか、成立しているとしたらどんな意味用法になっているのか、しらべておきたいと思います。
漢語の中のm-
 さて、漢語の中のm-m音語はどうなっているでしょうか?満を持してとりくみかけたとたん、いきなり難問にぶつかりました。m-m型の漢語が見つからないのです。現代漢語についていえば、中国語教科書(入門編)にかならず「中国語音節一覧表」が表示されていて、そこでくりかえし発音練習をするのですが、その一覧表を見ると、音節語尾に用いられている子音は-n-ngだけで、あとはすべて母音となっています。したがって、現代漢語に~m、m~m型の音節が成立していないことは、中国語学習者にとってほぼ常識のはずです。ただ、それがアタリマエと考え、ナゼ・ドウシテと追求することもしませんでした。
 現代漢語として通用しなくても、上古漢語では成立していたかもしれません。そう考えてしらべてみましたが、m~m型上古漢語の用例が見つかりません。やむをえず、m~型と
~m型の用例を採集・調査することにしました。

m~型
バイ
バイ媒333.mueg>mei. ①なかだち。②なこうど。③二つのものをけつごうさせる手づるとなること。//某は「口の中に・印を含むさま+木」の会意文字で、梅の実を口に含むさま。梅と同じ。媒は「口+音符某」の会意兼形声文字で、互いに不明な男女の間に立ち、理解させようと努めること。

ビ尾382.miuer>wei. ①お。動物のしっぽ。②細長い物の末端。しり。③雌雄が交尾する。つるむ。④二十八宿の一つ。基準星はいまのさそり座に含まれる。//「尸(しり)+毛」の会意文字で、しりにはえた毛のこと。ビ[眉・媚]と同系。
ビ微449.miuer>wei. ①かすか。②身分が低くて、目だたない。③小さくて、目だたないもの。④わずかに。かすかに。⑤ひそかに。⑥ない。⑦一の百万分の一。//[](よくわからない)・マイ[](暗くてよく見えない)などと同系。
ビン
ビン敏567.miein>min.さとい。神経がこまごまとよく働く。とし。行動がきびきびとはやいka//「毎(草がどんどんはえる)+攵(動詞の記号)」の会意文字で、休まず、どんどん動くことを示す。毎は音符ではなく、意符である。

フ巫400.miuag>wu. みこ。かんなぎ。//「工+人二人」の会意文字。神を招く技術を示したものであろう。ブ[]と同系。
ブン
ブン文574.miuen>wen.①あや。きれいな模様。②きれいにかざったさま。③かざる。④文字。⑤ふみ。文章や手紙。⑥武に対して文といい、文化や教養学芸など。//もと、土器につけた縄文の模様のひとこまを描いた象形文字で、こまごまとかざりたてた模様のこと。紋の原字。
ベン
ベン勉161.mien>mian. ①つとめる。はげむ。②はげます。//免は女性が股を開いて出産するさまを描いた₊象形文字。勉は「力+音符免」の会意兼形声文字で、むりをして力む意。*産婦がムリをしてリキミかえった結果、赤ん坊はせまい産道からマヌカレ、世間にウミ[生・産]おとされる。

ボ母697.mueg>mu. ①はは。②物をうみだす根源。③実母になぞらえた女性。//乳首をつけた女性を描いた象形文字で、子を産み育てる意味を含む。マイ[]・バイ[梅・媒]・ボク[]などと同系。
ボウ
ボウ望619.miang>wang. ①のぞむ。見えにくい遠方を見ようとする。②のぞむ。まだかまだかと待ちわびる。③のぞみ。④よい評判によって得た信用。⑤もち。満月。//zz7/2
望の原字は「臣(目の形)+人が伸びあがって立つさま」の会意文字。望は、それに月と音符ボウ[亡]を加えた会意兼形声文字で、遠くの月を待ちのぞむさまを示す。
ボウ

ボウ貌1249.mog>mao.かたち、顔のかたちや姿。かたどる。//「貌の編(けもの)+旁(音符)」による会意兼形声文字で、人や動物のあらましの姿をあらわす。
ボウ
ボウ貿1257.mog>mao. ①もとめる。あきなう。目がみえない。//ボウ[]は、むりに窓をこじ開けて,中のものをもとめるさま。貿は「貝(財貨)+音符卯」による会意兼形声文字で、相手の手のうちをむりのおしあけて、利益をもとめること。ボウ[謀・冒]・ム[]などと同系。
ボウ帽410.mog>mao. ①頭を隠すかぶり物。帽子。②物にかぶせるキャップの総称。//「巾(ぬの)音符(目におおいをかべせる)」の会意兼形声文字で、かぶせ布のこと。
ボウ亡39 miang>wang. ①ほろびる。②ない。③にげる。*「人+(カコミ)」の会意モジ。人をカコミ、カクス姿。
ボク
ボク墨287.muek>mo. ①墨。②墨で書いたもの。③入れ墨。④隅なわ。大工道具。//コク[黒]は「煙突+炎」の会意文字で、煙突のふちに点々とすすのたまったさまを示す。墨は「土+音符黒」の会意兼形声文字で、土状をなしたすすの塊のこと。コク[]・バイ[]・カイ[晦・海・灰]などと同系。
マイ
マイ埋275.mieg>mai. うめる。うずめる。*⇔バイ買meg>mai. (不足分をウメル姿)。ウム[生・産]⇔ウム[埋]。
マイ
マイ毎697.mueg>mei. ①ごとに。②むさぼる。//(頭に髪をゆったさま)音符母」会意兼形声文字で、とくに次々と子をうむことに重点をおいたことば。*ムクムク、くりかえし、あらたなメ[目・芽]・ミ[実・身]をムキだす(ウミだす)姿。
マツ末624.muat>mo. ①すえ。こずえ。また、はしの部分。②物事のたいせつでない部分。
マン
マン曼614.muan>man. ①ながい。②ひく。ながく跡をひく。//「冂(おおい)+目+又(て)の会意文字で、ながいたれ幕を目の上にかぶせてたらすことを示す。
マン慢491.man>man. ①おこたる。ゆるがせにする。②あなどる。③ゆるい。//マン[]とは、目をおおい隠すさま。長々とかぶさって広がる意を含む。慢は「心+音符曼」の会意兼形声文字で、ずるずるとだらけて伸びる心のこと。マン[幔・蔓]・メン[綿]などと同系。
ミョウ
マン蔓1128.miuan>man. ①つる。②のびる。③はびこり、広がるさま。//「艸+音符(おおいかぶさってのびる)」の会意兼形声文字。mミョウ妙323.miog>miao. ①きめ細かい。細かくて見分けられぬ不思議な働き。②たえ。きめ細かくて美しい。③巧みな。④若い。なんとなくか細い。//ショウ[]は「小+ノ印(けずる)」の会意文字で、小さく削ることをあらわす。妙は「女+少」の会意文字で、女性の小がらで細く、なんとなく美しい姿を示す。ビョウ[](細い目)・秒(細い間)・苗(細いなえ)などと同系。
ミン
ミン民701.mien>min. たみ。おさめられる人々。権力をもたない大衆。また、広く、人間。//ひとみのない目を針で刺すさまを描いた象形文字で、目を針で突いて見えなくした奴隷をあらわす。もとミン[]と同系。のち、支配下に置かれる人々の意となる。

ム・ブ毋697miuag>wu. ①なかれ。禁止の意をあらわすことば。②ない。//「女+一印」からなり、女性を犯してはならないとさし止めることを一印で示した指示文字。ム[]・マク[]と同系。
ム務162.miog>wu. ①つとめ。②つとめる。③つとめて。//矛は、困難を排して切り進むほこ。孜は、むりに局面を打開する努力を示す。務は、さらに力を加えた会意兼形声文字で、困難を克服しようとりきむこと。
ム夢300.miueng>meng. ①ゆめ。②ゆめみる。③くらい。//[]の上部はベツ[](細目)の上部と同じで、羊の赤くただれた目。よく見えないことをあらわす意符。ム[]は、この意符に「冖(やね。おおい)+夕(つき)」を付加した会意文字で、夜のやみにおおわれて、物が見えないこと。
ム霧1452.miug>wu. ①きり。水蒸気が冷えて、細かな水滴となって空気中にただよい、物の姿を隠すもの。②もやもやとあいまいなさま。//務は、手さぐりして求める意を含む。霧は「雨+音符務」の会意兼形声文字。
メイ
メイ明594.miang>ming. ①あきらか。あかるい。②物事にあかるい。③あきらかにする。④ものを見分ける力。⑤曇りのない知恵。⑥あける。あけ。夜あけ。⑦あかり。光線。//+「日+月」ではなくて、もと「冏(まど)+月」の会意文字で、あかり取りの窓から、月光が差しこんで物が見えることを示す。また、人に見えないものを見分ける力を明という。モウ[(見えないものをのぞむ)・萌(見えなかった芽が出てくる)]などと同系。
メイ名214.mieng>ming. ①な。人の名前。②内容を「実」というのに対して、それをあらわすことば。③な。評判。④有名である。⑤なづける。命名する。⑥人数を数えるときのことば。//「夕(三日月)+口」の会意文字で、薄暗いやみの中で自分の存在を声で告げることを示す。
メイ鳴1534.mieng>ming. ①なく。鳥がなく。獣などが声を出す。②鳥や獣のなき声。人のなき声やうめき声。③なる。物が音を出す。また、その音。④ならす。楽器などをならす。⑤なる。音がきこえる。//「口+鳥」の会意文字で、鳥が口で音を出して、その存在をつげること。メイ[名・命]と同系。
メイ命226.mieng>ming. ①命。神や目上の人からのさしず・いいつけ・お告げ。②いいつける。③天からの使命。④運命。⑤いのち。⑥名づける。//「A(あつめる)+人+口」の会意文字。人々を集めて口で意向を表明し伝えるさまを示す。メイ[名・鳴]などと同系。
メイ冥125.meng>ming. ①くらい。おおわれて光がないさま。②道理に暗く何もわからないさま。③死者の世界。//「ベキ[](おおう)+日+六(入の字の変形)」のかいい文字。日がはいり、何かにおおわれて光のないことを示す。*視覚がたよりにならず、マク[]・マグ[]・モグ[捥・潛]・モム[]など、触覚にたよって判断するさま
メン
メン面1458.mian>mian. ①おも。おもて。②おもて。まわりを線でかぎった平らな広さ。物体の外側。③かおを向ける。//「首(あたま)+外側をかこむ線」からなる会意文字。あたまの外側を線でかこんだその平面をあらわす。

モ摸551.mag>mo. ①さぐる。②なでる。③まねる。④まねるもとになる手本や型。//バク[]は、草の中に日が没して見えなくなるさま。ない、ない物を捜すなどの意を含む。摸は「手+音符]」の会意兼形声文字で、ないものを手でさぐること。ボ[]・マ[]などと同系。
モウ
モウ毛699.mog>mao. け。生物の表皮にはえる細いけ。②髪のけ。③地表に草木・作物が生える。また、その草木・作物。//細いけを描いた象形文字で、細く小さい意を含む。
モク
モク木622.muk>mu. ①き。葉や花をかぶったもの。②き。材料としての、き。また、きでつくったもの。③五行の一つ。方向では東。色では青。時間では春。十干では甲と乙。④木星。⑤飾り気がない。質朴。//立木の形を描いた象形文字。上に葉や花をかぶった木。モク[沐]と同系。*葉や花がムクムク・メ[]をムク・ムキダス・カムサル姿。
モン
モン門1398.muen>men. ①かど。通路をおさえて作った門。②せまい入り口。転じて、最初の手引き。//左右二枚のとびらを設けた門の姿を描いた象形文字で、やっと出入りできる程度に、狭くしているの意を含む。モン[悶・問・聞]などと同系。
モン問238.miuen>wwen. ①とう。たずねる。といただす。②とい。問いただすこと。③問う。人をたずねる。//門は、二枚のとびらを閉じて、中を隠す姿を描いた象形文字。隠してわからないの意。わからない所を知るために出入りする入り口などの意を含む。問は「口+音符門」の会意兼形声文字で、わからないことを口で探り出す意。ブン[聞](耳でわからないことを探る)と同系。
ライ
mライ來630.mleglai. ①くる。きたる。②きたる。こさせる。③これから先のこと。未来。④このかた。//ライ[來]は、穂がたれて実った小麦を描いた象形文字で、むぎ(麥)のこと。麥(麦の原字)は。それに「足を引きずる姿の印」を添えた形声文字で、「くる」の意をあらわした。のち、「麥」をむぎに、「來」をくるの意に誤用して今日に至った。ライ(來)とバク・マク(麥)とは、上古のml-という複子音が、lmとにわかれたもの。西北中国に定着した周の人たちは、中央アジアから小麦の種が到来してから勃興したので、神のもたらした結構な穀物だと信じてたいせつにした。

~m型
アン
アン暗604.em>an. ①くらい。閉じこめられてくらい。②道理や知識にくらい。③やみ。くらやみ。④ひそかに。目につかぬ所で。⑤そらんずる。口ごもってくり返しつつ覚える。//オン[音]は、+言の字の口中に[、]印を加えた会意文字で、口の中に何かを含んで口ごもるさま。暗は「日+音符]」の会意兼形声文字で、中に閉じこもって光のささないこと。イン[]・キン[]などと同系。
イン
イン陰1421.iem>yin. ①くらい。②くもる。③かげ。④かくす。⑤かくれる。⑥人の生殖器。⑦陽の対。⑧ひそかに。かげで、こっそりと。//ヨウ[陽](日の当たる丘)の反対。つまり、日の当たらないかげ地のこと。中にとじこめてふさぐの意を含む。キン[]・イン暗]と同系。
エン
エン奄314.iam>yan. ①おおう。上から大きくかぶせる。②ふさぐ。ふさがる。//「大+申(伸びる)」の会意文字。伸びたものを、上から大きくおおうことを示す。*⇔ヤミ[]・ヤム[止・病]
オン
オン音1467.iem>yin. ①おと。ね。口をふさいで出すウーというふくみごえ。声帯をふるわせて出る音。舌や唇などの調整が加わったこえを「言」といい、調整の加わらないこえを「音」といった。②おと。ね。ことばをなさず、高低大小のあるおとすべてをいう。③きこえてくることば。しらせ。おとずれ。//言という字の口の部分の中に・印を含ませた会意文字。
カン
カン拑519.giam>qian. はさむ。ふくむ。//カン[甘]は、口の中に、・印をふくみこむさま。拑は「手+音符甘」の会意兼形声文字で、入り口を閉じてなかにはさみこむ動作のこと。
カン鉗1372.giam>qian. ①くびかせ。②くびかせをかける。くつわをはめる。③はさむ。//鉗は「金)音符甘」による会意兼形声文字で、金属のわくではさんで物をとじこめること。*カム・クム・フクム姿。また、ハム・ハマル。ハメル姿。
カン敢569.kam>gan, ①あえてする。②あえて。思い切って、はばからずに。//敢は、古くは「手+手+ノ印(払いのける)音符甘」の会意兼形声文字で、封じこまれた状態を、思い切って手で払いのけること。
カン陥1418.ham>xian. ①おちいる。おとしいれる。②はまりこんで、よくない状態になる。③城などを攻めおとす。また、攻めおとされる。④おとし穴。//「阜(土もり)音符臽」の会意兼形声文字で、土の穴におちること。*カム・クム・フクム姿。また、ハム・ハマル。ハメル姿。
キン
キン今46.kiem>jin. ①今。現在。②今に。まもなく。//「A印(ふたで囲んで押さえたことを示す)+一印(とり押さえたものを示す)」の会意文字。のがさずに捕らえ押さえている時間。
ケン
ケン倹.80.giam>jian. ①つつましい。②引き締める。きりつめる。//「A(あつめる)+口二つ+人ふたり」の会意文字。多くの物をひと所に集約することを示す。
ケン剣149.kliam>jian. つるぎ。まっすぐで、両側に刃があるかたな。また、それを使ってする武術。//「刀+音符ケン[僉](そろう)」の会意兼形声文字。
ケン嫌334.hlam>xian. ①きらう。いやがる。②うたがう。③きらい。うたがい。//兼は禾(いね)を二つ並べ持つ姿。いくつも連続する意を含む。嫌は「女+音符兼」の会意兼形声文字で、女性にありがちな、あれこれと気がねし、思いが連続して実行をしぶることを示す。
ケン謙1234.k’am>qian. ①へりくだる。②控えめでつつしみ深い。③あまんじる。//「言+音符ケン」の会意兼形声文字で、くぼんで退き、後ろに控えること。
ケン鎌1388.gliam>lian. かま。草をかり集めるのに用いる農具。//「金)音符兼」による会意兼形声文字で、草を刈って集める金属製の道具。レン[廉・簾]などと同系。
ケン欠678.k’iam>qian. ①腹がくぼんで、からだが曲がる。がっくりする。②あくび。③かく。かける。くぼむ。④借り、借金。//ケツ[缺]とは、もと別字だが、意味が似ているため混用され、欠を缺に代用するようになった。
ケン験1505.ngiam>yan. ①ためす。②しるし。証拠。③しるし。ためした結果としてあらわれたもの。④しるし。きざし。//ケン[験]の偏は、物をよせ集め、まとめること。験は「馬+音符検の略体」の会意兼形声文字。もと、馬を乗りくらべて、よしあしをためすこと。
サン
サン三8.sam>san. ①みっつ。②三番目。③いくつも。④みたび。//三本の横線で三を示した指示文字。参加のサン[参]と通じて、いくつもまじること。シン[森](なん本もまじった木立)と同系。また、サン[杉・衫]などの音符サン[] の原形。*二本の横線のスキマにもう一本の横線をウメこみ、スミこませ、ミタス姿。
サン参192.sam>san. みつ。みっつ。//三つの玉のかんざしをきらめかせた女性の姿を描いた象形文字。入りまじってちらちらする意を含む。*サン[三]の項を参照。
ザン
ザン斬579tsam>zhan. ①きる。刃が食いこんで切れ目をつける。②たつ。たえる。③首または胴体をきり落とす重い刑。//「車+斤(おの)」の会意文字で、車をおのできることを示す鋭い刃が割りこむこと。ザン[塹・漸]などと同系。
シン
シン森655.siem>sen. ①たくさんの木がびっしりと茂ったさま。②こんもりとして暗い。こもった感じで陰気。③もり、たくさんの木が茂ったところ。//「木三つ」を合わせた会意文字で、サン[三・参]などと同系。
セン
セン占.184.tiam>zhan. ①占う。占い。②しめる。どれかを選んでそれに決める。自分の持ち分を決めて、いすわる。//「卜(うらなう)+口」の会意文字。この口はある物やある場所を示す記号。卜(うらない)によって、一つの物や場所を選び決めること。*モノのあるべき場所(マ[]・ミチ[道])をモトメ[求]ておもいをめぐらし、キメたあとは、その
いたマ[]・ミチ[道]にトドマリ、マモルこと。
セン染641.niam>ran. ①そめる。そまる。②しみこむ。//染の原字は「九+木」で、液体・色汁を入れる箱。染は、これに水を加えた会意文字で、色汁の中に柔らかくじわじわと布や糸をひたすこと。
セン閃1399.thiam>shan. ①ひらめく。さっと門にはいる。ちらっと見える。②きらめく。③.いなびかり。//「門+人」の会意文字で、人かげがちらっと一瞬みえて、すぐ門のかげにかくれることをあらわす。
ゼン
122.niam>ran. しなやかなさま。長くたれたひげの姿。//ふたすじのひげがしなやかに垂れた姿を描いた象形文字。セン[](じわじわと汁に浸す)・ネン[](やわらかくねばりつく)と同系。
タン
タン担521.tam>dan. ①になう。重い物を肩にかつぐ。②になう。その仕事や責任を引き受ける。③かつぐ荷物。
テン
テン店418.tan>dian. ①みせ。決まった場所に建物を構えて、物を売る家。店舗。②はたご。宿屋。旅館。//占は、占(うらない)をして、どれか一つに決まること。店は「广(いえ)音符占」の会意兼形声文字で、行商人とは違い、一つの場所をきめて家を構えた意を含む。
ネン
ネン念461.nem>nian. ①おもう。心中深くかみしめる。②心中おもいつめた気持ちや考え。③よむ(口を大きく動かさずに)。④二十。ニジフni-ziepがつづまって、最後のpmとなった。//今は「△(ふさぐ)+¬(かぎ形の壁でかくす)」から成り、中に入れてふくむことをあらわす会意文字。念は「心+音符今」の会意兼形声文字で、心中深く含んでかんがえること。ギン[]とも近く、うなるように含み声でよむこと。
バク
バク麦1547.mluek>mai. むぎ。紀元前十世紀ごろ、中央アジアから周(今の陝西省)にもたらされた植物。//ライ[來]は、穂が左右に出たむぎを描いた象形文字。麥は、それに足をそえた会意兼形声文字。遠くから歩いてもたらされたむぎをあらわす。がんらい、ライ[來]が「むぎ」、バク[麦]が「くる、もたらすの意をあらわしたが、いつしか逆になった。
ハン
ハン凡130.biam>fan. ①あたりまえのさま。②全体をおおっているさま、③およそ。//広い面積をもって全体をおおう板または布を描いた象形文字。ハン[帆・汎・範]などと同系。ヤマトコトバのハム[嵌・填]・ハマル・ハメルなどにアテハマル語音。
ハン汎710.p’iam>fan. ①ただよう。うかぶ。水面がふわふわとひろがる。②あまねし。あまねく。③あふれる。わくをこえて広がる。*ハメ[羽目](ワク)にハマっていた水がアフレ出す姿。
フウ
フウ風1481.pliuem>feng. ①ゆれ動く空気の流れ。②ゆれる世の中の動き。③姿や人がらから発して人の心を動かすもの。//ホウ[鳳]〈おおとり〉とフウ[風]原字はまったく同じ。中国では、おおとりをかぜの使い(風師)と考えた。篆文は「虫(動物の代表)+音符凡」からなる会意兼形声文字。凡は帆の象形。古くはpl型の複子音もち、ブルブルとゆれ動く意を含んでいた。
ホウ
ホウ鵬1540.beng>peng. おおとり。想像上の大きな鳥。//「鳥+音符朋」の形声文字。
ラン
ラン嵐395.blem>lan. 山の清らかな風や、空気。山気。もや。//風の発音は太古にplem,
blem型であった。そのpが脱落してlが残ったのが嵐であり、lが脱落して韻母もかわったのが風piungである。
レン
レン廉423.gliam>lian.①かど。境め。②、物事のけじめ。折りめ。③いさぎよい。④やすい。 //「广(いえ)音符兼」の会意兼形声文字で、家の中に寄せあわせた物の一つ一つを区別する意を示す。転じて、物事のけじめをつけること。
レン斂573.gliam>lian. ①あつめる、絞るようにしてあつめる。②おさめる。おさまる。たるんだものを引きしめる。③死体を棺の中におさめる。//「攵+音符[斂-攵]」は、多くの物をつぼに寄せあつめたさまを描いた象形文字。のち、「A印(集める)+二つの口+二人の人」の会意文字で示し、寄せあつめることを示す。斂は、これを音符とし、動詞記号[]をそえた会意兼形声文字で、引き絞ってあつめること。

まとめ 
 不十分ながら、ひととおり漢語m-音の意味用法についてさぐってみました。意外な展開の連続でしたが、そのこと自体、全体として日本語m-音とよく似た展開をしめしているようにも思われます。このあとも、さらに追究しつづけたいと思います。

おわび
 英語m-m音についてもとりあげる予定にしていましたが、時間切れのため、次回にまわさせていただきます。おゆるしください。m-m音英語では、ヤマトコトバのメモリ[目盛り]の対応する語音してmemo, memory, rememberなど、落語・漫才のネタみたいなものも出番をまっているようです。