ヒヨコつり 12/14
足湯セット 12/19
カルタとり 12/28
輪なげ 12/30
正月料理 1/1
ひょっとこ面 1/2
ヒックリ・カエル 1/7
音の会 1/8
社会人大楽塾 1/9
ヒヨコつり
12月14日(土)午後、機能訓練の時間に「ヒヨコつり」のゲームをしました。テーブルの上に、かるくテノヒラにのる程度のヒヨコがずらりと並びます。そのヒヨコの頭に鉄線が埋めてあります。これと別に、釣りの道具(サオ・イト・ハリの3点セット)も用意され、そのツリバリが磁石になっています。あらかじめ制限時間をさだめ(たとえば1分間)、「用意、ドン」でゲーム開始。参加者は、各自わたされたツリザオをあやつり、ツリバリをヒヨコの頭に近づけますが、ハリがカルすぎて、動きが不安定です。いまにも釣れそうで、2回・3回スルーされることもあります。そうかと思うと、案外すんなり釣りあげられることもあります。たわいないゲームと見ることもできそうですが、みなさんかなり熱中してゲームしていました。「脳の訓練」にはなったと思います。
時間の制限なしでゲームをはじめ、1羽のこらず釣り終わったところで、各自の成果を計算するという方法も、あわせて体験しました。
アロマ香油マッサージ
12月19日(木)午後、自室で「アロマ香油マッサージ」をうけました。事前に「足湯セット」がもちこまれ、
20分ほど足湯をつかいました。13:45、セラピスト(女性)が見えて施術開始。前回とおなじ要領で作業をすすめてもらいました。わたしは左右の足ユビが不調で、夜中就寝中でも、足のコユビあたりがヒキツル・シビレル→イタサのあまり目をさまし、トビオキルことがあります。「アロマケアは医療行為ではありません」と念をおされているので、「医療効果」をもとめるつもりはありませんが、「ワラにもすがりたい」、「プラスになりそうなことがあれば、ダメモトでもやってみようか」というのが正直な気もちです。
クリスマスのご膳
12月25日(水)。きょうはクリスマスということで、めぐみの食事でも「クリスマスのご膳」が出ました。クリスマス・ツリーをデザインしたマットの上に、「メリー・クリスマス」のカードとともに、見るからにおいしそうなゴチソウガならび、食後のデザートまでそろっています。
せっかくのゴチソウです。ありがたく、じっくりカミシメルことにしましょう。
カルタとり
12月28日(土)午後、「機能訓練」の後半で「カルタとり」をしました。「イヌもあるけば、ボウにあたる」、「ロンよりショウコ」、「ハナよりダンゴ」、
「アタマかくして、シリかくさず」、「オニにカナボウ」など。ムカシおぼえた文句が、100年たったイマでも、そのままの形で通用していることに、あらためて感動したりナットクしたりしました。コトワザなんだから、100年や200年くらい通用するのは、アタリマエのこと。そういわれれば、そのとおりだとは思いますが…
それとは別に、こんどあらためて「ハテナ」と気づいたことがあります。ヤマトコトバと外来語とのチャンポン用法の問題です。たとえば、イヌ・ハナ・アタマなどはヤマトコトバで、ボウ[棒]・ロン[論]・ショウコ[証拠]などは漢語、つまり外来語です。日本語は、もともとヤマトコトバの音韻感覚で組織されており、漢語や英語などもそれぞれ独特の音韻感覚で組織されています。世の中は日進月歩の競争社会。ふだんはヤマトコトバ中心で考えたりしゃべったりしていますが、たまたま適当なヤマトコトバが思いうかばないとき、かりにちょっとした漢語や英語などを当てはめることで、十分思いを表現できたという例もすくなくありません。簡単にできて便利な方法なので、日本語の歴史のうえで見ても、中国大陸から漢字が伝来したあと、この種の「漢語ふう日本語」がつぎつぎ生みだされ、通用してきました。
日本語の語彙体系がユタカになったことはすばらしいことですが、ぎゃくに不都合な問題点も見えてきました。ヤマトコトバの音節数は、「五十音図」の示すとおり、濁音・半濁音をふくめても100種そこそこ。くらべて漢語の音節数は、中国語教科書にのっている「音節一覧表」から計算したところで、約270種。その上漢語では、一つ一つの音節に「四声」(声調と呼ばれる高低アクセント)の区別がついてまわり、「同音異義」の現象がおきないような工夫がされています。
しかし、日本語のなかに取りこまれた「漢語風日本語」のばあいは、漢語本来の音韻感覚が無視され、ヤマトコトバの感覚にあわせて発音(発声)されるので、「同音異語」の大量発生をふせぐことがむつかしくなっています。最近は、パソコンが普及して、カナやローマ字で入力すれば、あとは機械が適当に漢字をえらんで文書を作成してくれますし、そのあと同音異語やミス・プリントがないか、きびしくチェックすることもすくなくなっているようです。
コトバの基本は、モジ言語ではなく、音声言語です。同音異語がおおいという現実は、コトバという流通回路が「脱線・転覆」など、重大事故発生の危険にさらされているということです。コトバは、「即時性・正確性・安全性」がいのち。「脱線・転覆」などの事故が続発するような言語では、もはや「民族言語」と呼ばれる資格がありません。「文書を作成する個人が気をつければよい」などと、ノンビリかまえている段階ではありません。國の文教当局がイマすぐ取りくむべき問題だと思います。いや、これまで放置してきた実態から見て、すでに「職務怠慢」の責任を問われるべき問題になっていると考えてよいでしょう。
輪なげ
12月30日(月)午後、「機能訓練」の時間に「輪なげ」ゲームをしました。ユカ[床]のうえに、水をつめたビン[瓶](高さ約20cm)を7~8本並べ立て、指定席にすわった参加者が、別に用意されたワ[輪](直径約20cm)を、ビンに向かって投げかけます。5個ある輪のうち何個ビンにかぶせることができたかというゲームです。
指定席からビンまで、1㍍そこそこ。至近の距離なので、片っぱしからかぶさるかと思っていましたが、みなさんかなり苦戦していました。ビンの並べ方をタテからヨコに変えてみたり、指定席からビンまでの距離を調節したりしていましたが、成功率とはあまり関係なかったようです。要は、ウデをどれだけの角度(方向)で、どれだけの力をこめて振ればよいか、そのコツ(感覚)をつかむこと。それには、やはり数十回の試行錯誤が必用かと思われます。
それにしても、今回の「ビン」や「輪」をはじめ、卓球ラケット代用の「ティッシュ―空きばこ」など、「廃品活用」、「金をかけないゲームもどき」をつぎつぎ開発されるスタッフのみなさんの熱意に敬意を表します。ゴクロウサマです。
正月料理
2020年1月1日(水)。 令和2年の正月元旦をむかえました。あけまして、おめでとうございます。ことしも、どうぞよろしくお願いもうしあげます。
砂町の自宅をはなれ、ホームめぐみへ入居してから、3度めの正月をむかえたことになります。あらためて、新年の抱負などいうものはありませんが、このさき2月には満100歳の誕生日をむかえる予定なので、まずはそうした身近な目標を立て、1日1日をたいせつに過ごしてゆきたいと思っています。
この日、朝食をすませたあと、藤木芳明さんのお宅を訪問、つづいて次男良さんの新築住宅へ移動。そこで、藤木家のみなさんといっしょの食事会に参加させていただきました。藤木一族にイズミをまぜて11人。会食準備中の正月料理を、スマホにおさめました。ご覧のとおり、テーブルに取り皿をそえて並べただけで、「もう満員」といった感じでした。
この年になって、自分の身体機能が衰えてきていることは自覚していますが、食欲については、ひとなみのものがのこっているようです。なによりアリガタイと思うのは、食べものにスキ・キライがないこと。コドモのころ、クワズ・ギライで、トマトのニオイやニガミがニガテでしたが、いちど思いきって食べてみたところ、案外のウマミを感じ、やがてダイスキな味の一つになってしまったという思い出もあります。
食欲の強弱については、いっしょに食事する人との人間関係や人数なども関係するようです。ホームでは、いつもずっと、7fの住人2~3人だけで食事しているので、この日のように「いろんな年齢層」をふくみ、しかも「一族同士という仲間意識」につつまれた場面では、格別に無限の食欲がワキデルのでしょうか。わたしの食欲旺盛ぶりを見て、藤木家の人たちのあいだで「あんな食べかたをして、ホームに帰ったあと、オナカの調子は大丈夫だったかしら」と話題になっていたと、あとでMioriさんから聞きました。ご心配かけて、スミマセン。
この日、格別なことが、もう一つありました。哲さん一家と良さん一家から参加していた計3人の小・中学生とのあいだで会話が成立したことです。いつもなら、こんなに年齢差のあるコドモたちと会話してみようなどと考えることもなかったのですが、この日は「最近は小学校でもローマ字つづりは習っているはずだから」と思いつき、そこにあった紙きれに「これ、わかるかなあ?」とゲーム感覚でいいながら、“sky, ski, skate, skirt, shirt, school, scale”などのつづりを書いて見せました。わたしは、身ぶり・手ぶりなどで解説しますが、ヨミ(音形)にかんするヒントを与えることは一切しません。日本語ローマ字式でも、英語式でもよいから、そこに書かれたモジ(視覚信号)をオト(音声信号)に変えることをもとめました。結果は?
まっさきに、スキー(ski)とスケート(skate)というコタエガかえってきました。ぎゃくに、スクール(school)やスケール(scale)などにたどりつくまで、しばらく時間がかかりました。Abcのcですから、字形としては見なれているはずですが、モジのナマエとしてはスィ―(s音)とよまれるので、この字形がcap, cup, cake, cookなどの場合、k音になることに気づくまで、すこしまわり道をしたということでしょう。
まわり道はしましたが、全問正解にたどりつきました。①教室で習った字形・音形を思いだして読んでみた。②字形cをs音でよんでつまずいたが、あれこれ試行錯誤のあげく、cap, cupなどのk音でよんでみたら、意味が通じた、というわけ。
3人とも、おもしろがって、このゲームに参加してくれました。それを見て、わたしは「コトバをツカム・ツカウ・ツクル」作業の原風景を見せつけられた思いがしました。やがて満100才のぼけ老人と小・中学生がいっしょになって、ローマ字つづりを題材にゲームをたのしむことができた(=会話が成立した)。そのことだけで、わたしとしては大満足の一日でした。
ヒョットコ面
1月2日(木)午後、「機能訓練」の時間に、ヒョットコ面のカキゾメをしました。あらかじめヒョットコとオカメの面が用意されています。ただし顔の輪郭が印刷されているだけで、マユ・メ・ハナ・クチなどは印刷されていません。部品として、別に一括されています。
カキゾメのまえに、しばらく「練習」の時間があり、画面とニラメッコしながら、左右の手で「部品」を張りつけてゆきます。「メは、この位置」、「ハナは、この位置」と、両手のユビサキにおぼえさせたつもりです。
さて本番。メカクシをされ、左右のユビサキで画面をまさぐりながら、マユ→メへとはりつけてゆきます。ところが、そのさきハナやクチの位置までくると、さっぱり見当がつきません。
タイム・アップで、メカクシをはずしてながめたヒョットコ面では、ごらんのとおり(写真)、クチが右へずれていました。考えてみると,わたしのブログの内容と「いいとこ勝負」かもしれませんね。
ヒックリ・カエル
1月7日(火)。午後「機能訓練」の時間に、オリガミで「ヒックリ・カエル」をつくりました。折り方は割りと簡単。そこへ、目玉を二つ書きこむだけ。これで「カエルだ」といわれて、「なるほど、カエルに見えないこともないな」といった感じの造形です。
ところが、いったん、そのカエルの腰の部分をおさえたあと、ユビを放したとたん、カエルが空中高くハネカエリ、とおくハナレタところに着地するというワザを見せてくれました。これこそ、ヒックリカエル・ビックリガヱルの見本。見ているほうが、ビックリ仰天。あのうすっぺらいオリガミを2段おりかさねたくらいで、どうしてこれほどの弾力(エネルギー)を発揮できるのだろうか?まさにフシギです。
ちなみに、中国語にセイテンヘキレキ[青天霹靂](青空がひろがっているのに、イナビカリがする。突然起こる意外な事件)というコトワザがあります。カエルだけでなく人間までが「ビックリ[吃驚]・ギョウテン[仰天]、ヒックリカエル」ことになるわけです。
このヘキレキの漢語音はp’eklek>pili.イナビカリ・カミナリの音や姿を表わす擬声・擬態語だといわれれば、ヤマトコトバのピカピカ・ピッカリ・ヒクヒク・ビクビク・ビックリなども連想され、民族語のワクをこえた音韻対応関係に気づかされます。これまたビックリのタネです。
音の会
1月8日(水)午後2時から9fで「音の会」に出席しました。この日歌われた曲は;
「一月一日」…。「年の始めのためしとて…」ではじまる、なつかしい歌でした。
「富士の山」…ここで、ホームの住人見澤さんが琴を持参して合奏しました。ついでにわたしも、十三絃の音色を「体験」させていただきました。
そのあと、「黒田節」、「会津磐梯山」、「北国の春」などが歌われました。
社会人大楽塾
1月9日(木)午後、9fで開かれた「社会人大楽塾」に参加しました。この日最初に取りあげられた曲名は「数え歌体操」。はじめて耳にした感じの歌でした。そのあと、「一番初めは、一宮」、「踊る七福神」など、正月らしく・おめでたい歌がつづきました。
せっかくのお正月ですから、毎回おめでたい歌がつづくのはあたりまえですが、これだけつづくと、ぎゃくに「これでいいのかしら」と思うこともあります。新聞やテレビの報道では、日本国内で毎年地震や洪水などが発生し、世界のどこかで戦争がはじまっており、そこへアメリカ・中国・ロシアなどがからんでくると、やがて日本も戦争にまきこまれるのではないかと伝えています。
正直いって、メデタイどころの話ではありません。たまには現実社会と正面から向きあい、「このまま、ながめているだけでよいのか」、「なにか、できることはないか」、みなさんといっしょに話しあってみたいと考えることもあります。ただし、そこまでくると、またぎゃくに「そんなこと考えるヒマがあったら、老人介護のテマ・ヒマ改善策でも考えてみたら」とたしなめられそうで、議論は「堂々めぐり」になりそう。この話は、要介護老人のヒトリゴトということにしていただきましょうか。
k-音が表わす基本義…日本語の系譜(第10回)
前回は、「p-音日本語」について、「音形とその基本義との対応関係」を調べる作業をすすめ、ついでに日本語周辺の言語、漢語・英語についても、ひととおり調べて、報告しました。ただ、学習不足のため、テマ・ヒマかけた割には、整理段階で不十分なまま報告してしまった感じで、申しわけありません。
今回は、ひきつづき「k-音日本語」にとりくみます。よけいなことにテマ・ヒマかけることなく、まずk-音語の組織実態を調べあげ、問題点を議論したうえで報告したいと考えています。
k-音の擬声・擬態語
カアカア・ガアガア・ガクガク・キイキイ・ギイギイ・ギクギク/ギコギコ・ゴクゴク・・・グイグイ・クウクウ‣グウグウ・コケコッコ。
k-音だけの擬声・擬態語はこれだけ。案外、すくない感じがします。もし、語尾子音にr-, t-, n-などの子音をつけたせば;
ガッカリ・カッキリ・ガクリ・ガックリ・キッカリ・ギクリ・ギックリ・クッキリ・コクリ・ゴクリ・カツカツ・ガツガツ・クツクツ・グツグツ・コツコツ・ゴツゴツ・ガクン・ギクン・コクン・ゴクンなど、語彙数は倍増します。ただし、その場合、r-, t-, n-などの子音がもつ基本義が混入されることになります。「K-音語の基本義」を見きわめるためには、やはりk-音だけの「音形」をえらぶほかありません。
音形とその基本義との対応関係
k-音は、口の中にたまったイキ[息]を一気にハキダス・フキダス破裂音であり、そのとき、発声器官(口・舌・ハグキなど)に、特定の感覚(おもに触覚)が生まれます。そしてその感覚が、そのままk-音の基本義を構成することになります。
具体的にいえば、k-は破裂音なので、m-(鼻音), s-(摩擦音)にくらべて、「カタイ。ツヨイ」感じ。調音点(場所)で見れば、p-がクチビル, t-がハグキできまるのにくらべて、k-はさらに奥の軟口蓋できまります。さらにいえば、おなじカ行音の中でも、語尾母音のチガイでカ・キ・ク・ケ・コ5段にわかれ、発声時の口形(○△一など)とピタリ対応しています。つまり、聴覚信号と視覚信号が一致しているので、ミミで聞いたとおりローマ字などの表音文字で記録しておけば、あとで混乱することもありません、
k-単音節語
カ[鹿] しか。*カ=k+a= k-の作業をするもの。シカは、シクシク・ツキサス・ツノ[角]をもつ動物。
カ[髪] ケ[毛〕の交替形。→シラガ[白髪]。
カ[梶] かじ。
カ[瓮] 容器類の総称。ケ[笥]の交替形か。
カ[蚊] か。
カ[香] かおり。におい。
カ[日] 時間の単位としての日。ケの交替形。
カ(代名) 三人称。カレに同じ。
カ(接頭語) 主として形容詞に接して、その意味に一種の
色調をそえる。→か黒し・か易し。
カ(接尾語) 情態的な意味を表わす語基について情態概念を固定し、情態副詞やいわゆる形容動詞の語幹を構成する。→いささか・おほろか・にこやか・さやか・静か・にこやか・俄かに・ほのか。
カ(接尾語) 場所を意味する。→大海のおくか[可]も知らず(万3897)・天雲のおくか[奥香]も知らず(万3030)。
カ[彼・此] (副)このように。指示副詞。→かにかくに・
かにもかくにも・かもかくも。
カ[歟] (助詞)①自問的な詠嘆。②疑問。③反語。④願望。
ガ[蛾] が。鱗翅目に属する昆虫。平らに羽を開いて止まるものが多い。ヒヒル・ヒムシともいわれたが、字音語ガも用いられたかもしれない。
ガ(助詞)①連帯の関係を示す。②従属句中において主語を示す。③ホシ・ホルなどの願望・の対象を表わす。
キ[酒] さけ。*生米をかんでツボにいれ、唾液で発酵させたといわれる。サケ[酒]は、動詞サク[裂・割]の未然形兼名詞形サカ[酒]の交替形。酵素のはたらきで、コメの細胞がサケた姿。
キ[杵] きね。穀物を臼に入れて搗きしらげるのに用いた。すべて棒状で中央部が細くなっている。
キ[割] きざみ目。断絶。【考】キルはキの動詞化したもの
か。キ[寸]も同源であろう。
キ[寸] 長さの単位。
キ(助動特殊) 活用語の連用形に接属して、①過去にあった事実を、自らの体験として直接に回想するかたちで述べるのに用いる。②過去の事実についての相手の体験を問う場合に用いる。③過去にあった事実を、確かなものとして表現するのに用いる。
キ[木・樹] ①木。樹木。②草や海藻を含めた植物一般をさす。③材木。
キ[城・柵] 柵をめぐらして区切った一郭。外敵の侵入を防
ぐためのとりで。
キ[棺] 人の屍を納める木造のはこ。ヒトキ・ヒツキとも。
キ[牙] 犬歯。糸切り歯。象や猪の牙も含む。キバは、[牙
歯]であろう。
キ[葱] ねぎ。ゆり科の多年生草本。【考】ネギはネキ[根葱]か。*そのクキ[茎]がキ[杵]の姿。
キ[黄] 黄色。いまいう黄色よりも、もっと漠然としたもので、赤とある程度重なる面があったらしい。
ク[句] ①詩文や歌の部分をなす一まとまりをいう。②歌や
詩をいう。*もと字音語か。
ク[所] 場所の意を示す。コモリク・イヅクなどのクであり、ミヤコ・ココ・ソコのコやオクカ・クヌカのカも場所を示し、同源と考えられる。
ク[消] ①消える。②しぼんでしまう。③死ぬ。
ク[来] ①来る。②行く。話者自身が先方に身を置いているかのような心理で用いたもの。③補助動詞として、ある状態が次第に程度を強めることを示す。どんどん~してくる。
ケ[異] 形状言。普通でないこと。いつもと違っていること。形容詞ケシの語幹となり。ニを伴って副詞に用いられる。
ケ 未詳。人を数える助数詞か。樹木の意のケケという語と
の関係を思わせる。
ケ[占・卜] うらない。
ケ[木] 樹木。
ケ[笥] 入れもの。容器。容器一般をさす語であるが、おお
むね食器をさすようである。
ケ[食] 食物。
ケ[毛] 毛。→ケダモノ・ケモノ・ケモモ[毛桃]。
ケ[気] あるものから発する精気。ものの気配。【考】漢語「気」の音(名義抄に「気イキ、ケハヒ、禾ケ」とある)に
由来する。→キタナシ・塩ケ・ホ[火]ケ・ヒノケ。
ケ[日] ①時間の単位としての日。日かず。②ひる。昼間。【考】フツカ・ミカなどのカと一連のものであり、コヨミ[暦]のコもこれにつながるものであろう。
コ[籠] かご。竹を編んで作った容器の総称。
コ[子・児] ①子。オヤの対。②幼児。
コ[子・児] ①愛称。→ミツミツシ久米ノコ・サブルコ・ヤスミコ[安見児]。②ある職業に従事する人、その職業に関係深いものの名の下につける。→アゴ[網子]・カコ[楫子]。
コ[蚕] かいこ。鱗翅目蚕蛾科の昆虫。繭から絹糸を取るために古くから飼養された。桑の葉で飼うので、クハコ[桑子]とも呼ばれた。またカヒコとも。
コ[粉] こな。粉末。【考】イサゴ・マナゴ・スナゴ・ヒヂリコなどのコも、粉の意か。
コ (形状言) 濃いこと。密度が高いこと。ウス[薄]の対。
コ[小] 接頭語。主として名詞に接するが、動詞に冠せられたものもある。ほぼ同義の接頭語にヲがある。①小さい意、もしくは程度の軽い意をつけ加える。②親愛の気持をあらわす。
コ[此・是] 近称。①話し手の居る場所を指示する。②前出の事項または語を指示する。【考】近称代名詞のいわば原形で、コレ・ココ・コナタ・コチなどを派生する。指示副詞カと通じ合う面をもつ。
コ[木] キ[木]の交替形。樹木、または材木。→コクハ[木鍬]・コダクミ[木工]・コダチ[木立]・コノネ[木根]・コノハ[木葉]・コノミ[木実]。
コ (接尾語) 場所を意味する。【考】ウミガ・オクカのカやイヅクのク、ミヤコのコなどと同源であろう。
ゴ[五] (漢数詞) 五。*和数詞と見れば、イツ・イツツと読む。
ゴ[碁] 碁。囲碁。碁盤の上で、黒白の碁石をもって争った遊戯。中国から伝来したもので、その名をそのまま用いた字音語。
k-kタイプの2音節動詞
カク[搔] ①搔く。ひっかく。②かきまわす。③とりすがる。「削」の字をカクにあてているところをみれば、搔いて削りとる・そぎ取るの意もあったかと考えられる。次項カク[書く]もこの書クと語源的につながりをもつ語であろう。⇔カク[画・劃・攪]。
カク[書・画] 書く。色を塗りつける。【考】語源は搔クであり、材木や石などに書ききずを作るところに発している。英語のscribeなど、印欧語の書記行為を表わす語彙と同じ歴史を持っている。書く行為の結果、可視的な形が作り上げられる。→カキ記ス・カキ垂ル・カキツ付ク・カキ取ル・眉カキ・ヱカキ[画工・画師]。⇔カク[画・劃・攪]。
カク[懸](動四) ①かける。②張りわたす。垣を作る。③関係づける。
カク[懸] (動下二) ①かける。ひっかける、②張りわたす。③心にかける。目にかける。④関係づける。関係づけて言う。
カク[欠・闕] (動下二) 欠ける。不完全になる。*ヒッカケラレル姿。
カグ[嗅] (動四)においをかぐ。*ヒッカク姿。
キク[聞・聴](動四) ①聞く。耳にする。②聞いて従う。聞き入れる。⇔キク[利]・[菊‣
掬] ⇔kick.
クク[漏](動四) くぐるシバ[柴]。間を抜け出る。 *シバ[柴]がナワをクク・クグル姿は、やがてナワがシバをククル姿。
コク[扱・揃] しごく。*まわり(前後・左右)を石・板など固いものでカコム・シゴク姿。
名詞ココロ[心]も、動詞コクやコル・コゴルなどから派生したものかもしれない。⇔(ウソ・クソを)コク⇔コク[谷・穀]。⇔cucking stool
コグ[漕・扱] 漕ぐ。*カイ(カジ)で水をヒッカク姿。⇔コク[扱・揃] ⇔カク[攪]。
k-kタイプの2音節名詞など
カカ(擬声語) ①鳥の鳴き声を表わす。→カカ鳴ク。②水などを勢いよく呑み込むさま。
カガ[利] 利益。
カキ[垣] 垣。障壁。カク[懸]の名詞形。
カキ[蠣] かき。塩分の少ない海岸の岩に固着して生活する貝。*ヒッカク・ヒッカカル姿.の動物。
カキ 動詞につく接頭語。動詞搔クくの連用形が接頭語化したもの。→カキ廻ル磯・アム[虻]カキ着キ・カキ数フ。
カキ[部曲] ベ[部]の一種。豪族の私有民。限られた一区画の意で私有地をさし、さらにそこに住む特定者をもいう。カキベとも。
カキ[柿] かき。かきのき科の落葉高木。*蠣と柿は、共通の生態(カク[懸]姿)をもつ動植物。
カギ[鍵] かぎ。門や倉の戸をあける道具。*ヒッカカル・ヒッカカル姿。
カク[此・是・如是] ①こう。こんなに。②こんなふうであると、ある伝達内容を表わす。
カケ[鶏] にわとり。鳴き声に基づく語。*ノドをコク・シゴク姿で発声される音声。コケコッコー⇔cock,
cock-a-doo-dle-doo.
カケ[懸] かけること。心にかけたり、口に上せたりすること。カク[懸] (動下二)の名詞形。
カゲ[影・陰] ①光。②姿。③投影。水の上などに写った姿。④実体のない姿。目に浮かぶ姿。⑤かげ。光線を遮って、物体の背後にできる薄暗い部分。⑥光の当たらない部分。ものかげ。⑦日光の直射や雨を避ける建造物、御殿。*ヒッカカルもの。
カゲ[冠] かんむり。冠り物。*ヒッカケルもの。
カゲ[羅] ひかげのかずら。山地に自生する常緑草本。
カコ[水手] 舟を漕ぐ者。水夫。船頭。カコ[楫子]。*水をヒッカクもの。
カコ[鹿子・鹿児] しか。また、鹿の子。*「カ+コ」の構造。カ=kする(ヒッカク)も
の=[鹿・髪・梶・瓮・蚊・香・日]。
キキ[聞] 聞クの名詞形。耳に聞くこと。耳に聞こえる音。キク[聞・利]⇔キク[菊‣掬] ⇔・kick.
キク[菊] 菊。字音語。
クガ[陸]陸地。クヌカとも。
クキ[岫・洞]そそり立つ峯。もしくは両側にがけをそばだてた隘路、または洞穴。
クキ[茎]茎。植物の中軸。*クッキリ、空間をクク・クグル・クギル姿。
クギ[釘] くぎ。*クキ[茎]とおなじ姿。
クク[茎]クキ[茎]の交替形か。
コケ[苔]①こけ。蘚苔類。陰地や湿地の地表を蔽ったり、古い樹上や石上に生育する。密生し、胞子によって繁殖する。②さるおがせ。【考】コケは、木の交替形コとケ[毛]の複合によりできた語といわれる。
ココ 擬声語。猿の鳴き声を表わす。*ニワトリの鳴き声と考えてもよい。⇔咯咯gege(ニワトリの鳴き声) ⇔cock,
cock-a-doo-dle-doo.
ココ[此・此間] 近称。場所をさす。①話し手のいる空間的な場所・位置を指示する。ここ。②文脈中、既に表現した事柄を指示し代表する。この点。この所。③既に表現した事柄の起こった時点をさす。その時。
コゴ 擬声語。ものをすりあわせる音を表わす。あるいは揉むさまをいうか。→コゴシ(岩などがゴツゴツしてけわしい)・コゴル[凝]。
【おわびとお願い】
今回も、学習不足で執筆がおくれ、マトメが不十分なまま「公開」にいたったことを、おわびいたします。また、「漢語・英語のk音が表わす基本義」については、次号で報告させていただきます。恐縮ながら、なにかお気づきの点がありましたら、ぜひご教示くださるよう、お願いもうしあげます。