野菜の漢字 8/19
いろはカルタ
8月3日(月)午後、機能訓練の時間に、いろはカルタをしました。「めぐみ」ヘ来て、はじめてのことです。「犬棒カルタ」とも呼ばれるもので、内容は昔のまま、変わっていないようです。
「犬も歩けば、棒に当たる」…学校を卒業して就職口をさがすことになれば、やはり自分から足をはこび、「採用決定」の辞令がアタルまで歩きまわるほかありません。また。せっかく就職できたとしても、仕事の内容が自分の思いとちがいすぎて、辞職を決意。あらたな職場をももとめて「歩きまわる」という人もでてきます。
「門前の小僧、経を読む」…コドモは親をえらんで生まれることができません。父母とも日本人のコドモは、やがて当然のこととして日本語をおぼえることになります。また、日本人とアメリカ人とのあいだに生まれたコドモは、日本語と英語の両言語、もしくはそのいずれかの一言語をおぼえることになります。さらにいえば、家庭環境だけではなく、その家庭をとりまくご近所の影響も考えられます。門前町の商店でうまれそだったコドモのばあい、別に学校でお経について学習するまでもなく、「お経をよみあげる」能力を身につけることが考えられます。
「芸は身を助け」…各種スポーツ・碁・将棋・歌・語学など、それぞれの分野で一芸にすぐれた人たちが出番をまっています。時代の流れに応じて、人気のある部門の芸人がつぎつぎ登場。その報酬が芸人の生活を安定させ、さらに芸をミガクことになります。マネージャーへの手当を充実させることもでき、まさに「得手に帆を挙げ」の状態。また、これを機会に結婚し、「内助の功」を期待できる体制をととのえ、「旅は道連れ」、たのしい結婚生活の設計図をえがく人もいます。
「油断大敵」…順風満帆の暮らしがつづいていても、油断はできません。いつ・どんなことで失敗するか分かりません。失敗したあとで、「あの時、こうしておけば、失敗せずにすんだはず」と後悔することもあります。失敗したのはザンネンですが、その原因が「身から出たサビ[錆]」だったことが分かれば、一つだけ勉強できたことになります。
「泣きっ面にハチ」…地震のあとにツナミが発生、つづいて原子力発電所が崩壊など、不幸な事故が積みかさねて発生することがあります。一般世間では、原子力発電や核兵器に反対する声が大きくなっているようですが、政治の世界では「原子力発電」や「核兵器の抑止力」にたよる國が勢ぞろいしています。
「論より証拠」…法務大臣をつとめた国会議員が、ツレアイの選挙をめぐって選挙違反の罪を問われる時代です。運動員への報酬金額について、得意の法律論を並べ立てて弁明しますが、説得力がありません。運動員や秘書の証言が、選挙違反の実態を証拠づけている感じです。
「花より団子」…花をながめれば、その美しさを楽しむことができ、団子をたべれば、そのおいしさを味わうことができます。しかし、「花をながめるか、団子を食べるか」,二者択一をせまられれば、とりあえず団子をえらぶのが普通です。人のイノチは、イキ[息](呼吸)をスルことと、水や食物を飲み食いすることによって、時間の制限をのりこえてツナガッテいるというワケです。
「ワラウかどに福来たる」…失敗したり、災害に会ったりすれば、しばらくカナシイ・クルシイ・ツライ思いがつづくことはやむをえません。しかし、あまり思いつめると,こんどはカラダそのものがよわくなり、イキヌク力が心ぼそくなってしまいます。ここで、いちど、発想を転換してみることにしてはいかがでしょうか。「ここまで追いこまれたが、それでも、いまなおイキ(呼吸)をしつづけ、イキ[生]つづけている。まずは、この事実を直視しましょう。この年まで生きてこられたのは、自分ひとりの力ではありません。まわりの人たちにささえられて、ようやくこの日まで「イカ[生・活]サレテキタ」というのが実態です。「まわりの人たち」という呼び方は、「カミ[神]・ホトケ[佛]・God」と呼びかえることもできるかと思います。ここまで考えてくると、あとはただ「アリガトウゴザイマス」と頭をさげるしかありません。ご縁のあるかぎり、もうしばらくイキ[息](呼吸)をつがせていただきます。どうぞよろしくお願いします。そして、おなじくイキルなら、泣きながらイキルよりは、笑いながらイキルようにしたいものです。
野菜の漢字
8月19日(水)午後、機能訓練の時間に「アタマのたいそう」として、野菜の漢字を読み当てるゲームをしました。スタッフの方が、白板に野菜の名前を漢字で書きならべ、出席者がそれを読みあてるというゲームです。
小豆…アズキ。*漢語ショウトウは、「小さな豆」の意。日本語アズキは、上代ではアヅキと表記されていました。ショウトウとアヅキ、両者くらべてみても、「共通の音形」らしいものが見あたりません。それでも、あきらめず、さらにフカヨミしてみると、すこしづつ見えてきます。アヅキは、「ヤ[矢・屋]+ツキ[突・着・付]」の構造で、「サヤ[莢・鞘]の中に、小さな豆が2~3粒おさまる」姿。ショウトウ[小豆]のショウ[小]は、「ハモノでサク・ソグ・ケヅル」姿。トウ[豆]は、ソ[祖]・ショ[且]と同類で、「モノを積みかさねる」姿。やがて、「サヤに納まる豆」の姿に通じます。おなじ姿を表現するのに、t-音(トウ)になったり、s-音(ソ・ショ)になったりしていますが、これは「t-音からs-音へ変化する」現象であり、世界中どの民族言語にも見られるものです。日本語でも、現代語サムイ[寒]はs-音語ですが、古代語ではチャップイのようなt-音語だったとされています。
葱…ネギ。「ネ[根]+キ[杵]」の構造。ネ[根]は、ナ[菜・名]の母音交替で、ナリモノ[生物・成物]の意。したがって、ネギは、「ネ[根]にささえられてツキタツ・クキ・クサ」という点で、漢語ソウ[葱]と異音・同義のコトバと考えられます。ついでにいえば、ネギ[葱]と同音のネギ[禰宜](神職)は、動詞ネグ[労・請]の名詞形。『上代編』(三省堂)の解説によれば。「ネグ[労・請]…①神の心を安め、その加護をねがう。②いたわる。ねぎらう」ことを意味します。そういわれて、ネグと近い音形の動詞ナグ[和・凪]についても、「心や海が安まる・しずまる」意と解説されていることに気づきます。さらには、ナグサム・ナゴム・ナゴヤカ・ニコヤカ・ネガフ(神の心を安め、自分のノゾミをかなえてもらう)など、n-k音語の音形と意味との対応関係が見えてきます。その背後に、仏教伝来や日本神道の成立などの歴史があったことを考えたほうが分かりやすいかもしれません。
和蘭芹…パセリ。*「オランダ[和蘭]+セリ[芹]」の構造。英語では、parsley. parは、「ハルカ・ハナレタ」の意。sleyは、織機のヲサ[筬]の意。タテイト[縦糸]とヨコイト[横糸]がセリ[競]あい、ヲサ[筬]がオサエル・オサメル(整理する)作業を意味する技術用語として成立し、やがて世界中に広まったことが推定されます。英語のsleyと日本語のセリ[芹]が同源だとすれば、これは世紀の大発見ということになるかもしれませんね!
甘藍…キャベツ。*もともとヨーロッパ原産のハボタン[葉牡丹]を意味していましたが、そのままキャベツの呼び名ともなりました。漢語辞典には、キャベツの呼び名として、[甘藍]のほか、[結球甘藍]、[圓白菜]、[洋白菜]、[巻心菜]などをあげています。
椰子の実
8月31日(月)午後、機能訓練の後半は、ビデオの画面を見ながら、歌ったり踊ったりしてヒトトキをすごしました。といっても、実際はみんなイスに腰かけたまま。テレビの画面にあわせ、声を出したり、踊りのシグサをまねて体を動かしたりしただけです。上手・下手は関係なし。一人一人、自分の体調に合わせて、体の各部署の筋肉を働かせていました。歌詞カードも配布され、ウロおぼえの歌詞も思いだせるように準備されていました。
歌われた曲目は、「椰子の実」、「夏の思い出」、「月の砂漠」など。
椰子の実(島崎藤村作詞)
名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実ひとつ
故郷の 岸をはなれて 汝はそも 波に幾月
もとの樹は 老いや茂れる 枝はなお
影をやなせる…
カラダの体操になっただけでなく、アタマやココロの体操になったように感じました。
昼食のご膳
9月4日(金)。今回ブログでご紹介するメニューは、「〇〇様御誕生日」式の特別メニューではない、通常のメニューをとのことで、この日の夕食がえらばれました。内容は、主食のオカユと肉団子酢豚風を中心に、ニラ・スープやシルバー・サラダを添えたもの。そして、食後のフルーツとしてバナナを、といった趣向です。わたしは、いつものとおり、だまって食事をすませましたが、裏方で調理される方たちは、この猛暑がつづく中、メニューづくりにさぞご苦労なさっておられることと思います。ひそかに敬意を表します。
カルガル・カリたてる・クルマ・car…日本語の系譜(第18回)
1. k-r音の日本語
今回は、「k-r音の日本語」をとりあげます。いつものとおり形、「擬声・擬態語」、「2音節の動詞」、「2音節の名詞など」の語彙資料を採集し、「どんな音形があるか」、「どの音形がどんな意味(事物の姿)をあらわしているか」、つまり「音形と意味との対応関係」の実態をさぐることにします。
事前の予測として、k-r音日本語は64音タイプの中で比較的多数派と見られ、その点では、漢語・英語の分野でもほぼ同様かと思います。これまで日漢英3言語の音韻比較作業をすすめる中で、日本語ワタ・ワタル・ワタスなどのワタが英語water, wetなどのwaterと音義ともみごとに一致することがわかっており、このことは、日本語と英語(インド・ヨーロッパ語)との間にそれなりの言語交流があったことの証拠ではないかと考えられます。こんどk-r音日本語の実態をたしかめることができ、さらにこれをk-r音英語と比較することによって、「ワタ:water」と同様の発見がもたらされる可能性もあります。民族語のワクをこえた言語交流のアカシとしての「コトバの化石」発見をユメにえがきながら、作業をすすめます。
1.1.擬声・擬態語
カラカラ・カラリ・ガラガラ・ギラギラ・ギラリ・クラクラ・クラリ・ケラケラ・ゲラゲラ・ケロケロ・ケロリ・ゲロゲロ・コリコリ・ゴリゴリ・コロコロ・コロリ・ゴロゴロ・ゴロリ。
1.2. 2音節の動詞
カル[刈] 草や木を刈る。コル[伐・折]は、ア列音とオ列音の交替による類義語。
カル[借] カス[貸]の対。①借りる。②仮のものである。
カル[狩・猟] 追いたてる。鳥獣や薬草などを求めて捕える。
カル[枯・干] 枯れる。生気を失って枯死する。
カル[涸・干] ①水がなくなる。ひあがる[乾上]。②乾燥する。ひからびる。③声が尽きる。しわがれる。
カル[離] ①離れる。遠のく。②うとくなる。関係が薄れる。
カル[着] 着ている。東国語。
キル[断・伐・斬] ①切断する。②斬り殺す。
キル[燧・鑽〛
物を摩擦して火を作る。
キル[著] ①着る。衣服などを身につける。まとう。②笠などをかぶる。
キル 切れる。キル[断]に対する自動詞。
キル[霧]霧や霞がかかる。
クル[絡] たぐる。細長いものを引いて手元へ寄せる。
クル[暮・晩] ①日が没する。日が入ってあたりが暗くなる。 ②月日が過ぎゆく。
ケリ[来有] 来てここにいる。
ケリ[著有] 着ている。身につけている。
ケル[蹴] ①足で突きやる。②はねつける。*上代語には、見 あたらない。
コル[凝・凍・寒] 凝結する。固まる。凍結する。コゴル。
コル[折・伐] 木を伐る。斧や鎌で切断する。
コル 叱責する。
コル[懲] 失敗して、二度とくりかえすまいと思う。
1.3. 2音節の名詞など
カラ[柄] ①植物の茎や幹。②号具のエ[柄]。
カラ[韓・漢・唐] もともと朝鮮南部のカラ[伽羅]國をいう が、やがて朝鮮半島全体や唐の国、さらには広く外国一般 をさしていうようになった。また、それら諸外国から渡来 した人や物に冠して接頭語的に用いられる。
カラ[柄] ①血縁。血のつながり。→ウガラ・ハラガラ・ヤカラ。②生まれつき。本来の性。格。→オノヅカラ・カムカラ・カムナカラ。ハラカラ・ミヅカラ。
カラ(助) ①カラニの形をとり活用語の連体形などに接する。②逆接をあらわす。③動作の経由点、あるいは出発点をあらわす。【考】語源的には名詞であるが、助詞としての把握も可能である。
カリ[猟] 狩り。山野の鳥獣を追い捕えたり、薬草などを採集したりすること。カル[猟]の名詞形。
カリ[折木四・切木四] シギ[柶戯]の采。
カリ[借・仮] 仮のもの。一時的なもの。動詞カル[借]の連用 形から出たもの。
カリ[雁・鴻] がん。秋、北方から渡来し、春に帰る渡り鳥。
ガリ[許・所] 接尾語。代名詞、もしくは人間を表わす名詞にそえて、その人のいる所、その人のもとへの方向を意味する。
カレ[彼](代) 遠称。人も物も指示する。
カレ[故・爾](接) ①故に。カは指示副詞。レはアレで、バを 添えずに已然形で言い放つ形。②すなわち。そこで。
キリ[錐] きり。動詞キル[鑽]の名詞形。工匠用の道具。
キリ[霧] ①きり。水辺から立ちのぼる水蒸気をもいう。②人 間の呼気。
キリ[桐] きり。ごまのはぐさ科の植物。白桐は、琴を作るのに不可欠の材料とされ、また、種々の工芸品の材料としても用いられた。
クラ[座] 一段高く設けられた場所。ものを載せておく場所。*クリヌカレ(エグラレ)ウツロになった場所。
クラ[鞍] 馬のくら。馬具の一。
クラ[倉・蔵] くら。倉庫。穀物・財宝・家具などを収めて置 く建造物。
クリ[𣵀] 水底に淀んだ黒い土。染料に用いる。*ネバル・コ ナレル姿。捏(コネル)・粘(ネバル)と同系。泥(ドロ)とも近 い。
クリ[栗] ブナ科の落葉高木。葉は細長く、縁に鋸歯がある。実は食用となり、材は堅く腐りにくいので、建築材・器具材として有用。樹皮も染料として用いた。*クリヌカレ(エグラレタ)ウツロの中で、クリの実がミ[実・身]ノル[乗]。
クル くるる。戸と柱の接する所の戸の上下の所で、突起と穴とをかみ合わせて、戸を開閉させるようにした装置。また、その装置を持つクルル戸。
クレ[暮・晩] ①日の没する時間。日暮れ時。動詞クル[暮]の名詞形。暗い場所。ものかげ。または暗い時間。
クレ[呉] 中国揚子江流域の国名であるが、広く中国を意味す ることがあり、名詞に冠せられ、中国渡来であることを 示す。
クレ[榑] ①山から伐り出したままの丸木。丸太の類。②丸太 類を数える単位。
クロ[黒] クロシの語幹。
コラ[子等] ①子どもたち。②単数の女性に対して用いられることがもっとも多いが、複数のこともあり、また男性に対して用いられることもある。
コリ[香] コウ[香]。主として仏事に用いられたが、薬用に供することもあったらしい。【考】カウと訓んで字音語とみる説もあるが、[ng]の韻尾をラ行に転じて用いた例を知らない。字音語ではなく、和語であろう。
コレ[此・是・之](代) 近称。
コロ[比・頃者] ころ。形式名詞。大体の時間を示す。
コロ[一伏三起・一伏三向] 朝鮮の柶戯。その朝鮮字音の転。【考】自ら・一人を意味するコロと関係づけて、一つだけが伏すためとする説がある。
コロ[自] 自分自身・単独の意を表わす語構成要素。
コロ[両] 助数詞。未詳。重さの単位の一で、金銀についてい うか。
2, k-r音の漢語
2.1. k-r音漢語の実態
漢語の中に、k-r音タイプの語がどれだけあるか、簡単にたしかめられる資料が見あたりません。ここでは、『学研・漢和大字典』をたよりに、これまで採集できたk-r音漢語についてご紹介します。日本漢字音・漢字・原典掲載㌻・上古音・現代音・日本語訳の順に表記。各項、*印以下の注は、引用者の責任。
可
201 k’ar>ke ①よろしい。さしつかえない。②よろしいと認める。③べし。【解字】「屈曲したカギ型+口」の会意モジ。ノドを屈曲させて、声をかすらせること。
柯 638 kar>ke ①え。カギ型に曲がった斧の柄。②えだ。
河
718 har>he ①かわ。大きなかわや水路。②黄河のこと。【解字】可・歌・渇などと同系。 *ヒッカカル・マガル・カギル姿。
荷
1107 har>he ①はす。はちす。茎の上に、T字状に乗った形で、花や葉がつく。実・根ともに食用とする。*カギ型のツエをヒッカケル姿。
何60 har>he ①何。②なにの。どういう。③なんぞ。どうして。*行く人をヒッカケ,誰何する姿。
苛
1095 har>ke ①からい。きつい。②きつくせめつけて、しかる。*カル[刈・狩・駈]・シカル[叱]姿。あとにシコリ(聚縮jusuo)がのこるかも。⇔シカル[叱]・scald¹.
加
166 kar>jia くわえる。【解字】「力+口」の会意モジ。手に口を添えて、勢いを助ける意を示す。*くちにクワエル[食](カム)姿=クワエル[加]姿。
枷
638 kar>jia ①からさお。②かせ。*カス[貸]姿。日本語カサ[笠]・カセ[枷](ともに動詞カス[貸]の名詞形)とおなじ発想法による造語。
加・駕・架と同系。
架
638 kar>jia –①たな。②かける。③のせぎ[乗木]。かせ[枷]。【解字】支柱の上に横木をのせ加えること。*カル[借]・カス[貸]の関係と見ることもできる。
化
168 huar>hua ①かわる。姿をかえる。②天地自然の変化。③人格や教育によって、接する人の心や生活ぶりを変える。④ばける。*フワリ、バケのカワ[皮]をかける姿。ワ[輪]の系譜。
花
1090 huar>hua ①はな。はなやかで、姿をかえやすいはな。②はな。はなのようにきれいなもの。また、はなの形に似たもの。③あや。さまざまな色や形のまじった模様。④はでなさま。
貨 1252 huar>huo ①さまざまのものに変えることのできる 金銭。昔は、貨幣のことを化といった。②商品また財産と しての品物。③荷物。④まいないする。わいろ。
訛 1207 nguar>e ①いつわる。いつわり。②なまる。なま り。ギ[偽]と同系。
冎
122 kuar>gua えぐる。あ[空]いた骨、下部にそのまるい穴にはまりこむ骨を描いた象形モジ。*ワ[輪]の系譜。
渦 754 kuar>guo, wo ①川の名。②うず。蝸・鍋などと同 系。
過
1325 kuar>guo ①すぎる。よぎる。さっと通りすぎる。②いきすぎる。勢いあまって度をこす。③すごす。時間を費やす。④あやまつ。あやまち。するっとすべってやりそこなう。
禍
926 huar>huo ①」わざわい。思わぬ落とし穴。ふしあわせ。②わざわいする。*神のたたりをうけ、落とし穴にはまる姿。
果
632 kuar>guo ①くだもの。木の実。②結果の果。成果。③因果の果。④ものごとの結末をつけるように、思いきってする。⑤はたす。結果がでるところまでやりとげる。*ワwa[輪]の系譜。
課
1224 k‘uar>ke ①こころみる。はかる。結果のよしあしを調べる。②官吏登用の試験。③学業・仕事・税の義務としての割り当て。④仕事や税を義務または命令として割り当てる。⑤組織・機関などの構成単位の一つ。*成果をたずねて調べる。
踝
1278 huar>hua ①くびす。くるぶし。②足をまる出しにしたさま。*クルム姿。ワ[輪]の系譜。
窠
949 ・uar>wo ①あな。むろ。まるい穴の形をした巣。②物を穴に隠しこむ。また、その穴。*アナグラ・ネグラ。ワ[輪]の系譜。
禾 929 huar>he ①あわ。②いね。③禾本科植の植物、または穀物の総称。【解字】穂の垂れたあわの形を描いた象形モジ。まるくたれる穂の形、あるいはまるいツブに注目したことば。*ワ[輪]の系譜。
和
227 huar>he ①やわらぎ。まるくまとまった状態。②いっしょに解けあったさま。また、成分の異なるものをうまく配合する。③やわらぐ。なごむ。まるくおさまる。④なごやか。⑤声や調子をあわせる。⑥プラスする。加えた結果。*クルム・クワエル姿。ワ[輪]の系譜。
科
932
k’uar>ke
①品定めをした分類。順序をつけた差別。等級。②分類して配列した部門や条文。③とが。等級をつけた罪。④部門や段階をわけた試験。また、官吏の人材登用試験。⑤税や罪を区分けして割り当てる。⑥あな。まるいくぼみ。*ワ[輪]・ワク[枠]・ワナ[罠]・ワル[割・悪]の姿。ワ[輪]の系譜。
我
503 ngar>wo ①われ。わが。一人称代名詞。②自分の考えに凝り固まること。かた意地。③わが。自分の。親しみの意をこめた呼び方。④自分への執着。我執。【解字】刃がギザギザになったホコ[戈]。*ギザギザがあり、格好がよい姿、
俄 73 ngar>e ①にわかに。急に。平らに進んできた事がらが急にがくんとかわる場合に用いるコトバ。②ロシアのこと。[俄羅斯]の略。オ(e)は、[俄]の近世漢語音。
蛾
1154 ngar>e ①かいこの成虫。が。②虫の名。蝶に似ている。夜間に飛び、またハネを開いて止まる。毛虫の成虫。*クッキリと目だつ色や形のこと。
餓 1491 ngar>e ①うえる。食物が不足し、からだがやせて 骨ばる。
瓦
847 ngar>wa ①かわら。土を焼いてつくり、屋根にしくかわら。また、素焼きの土器。梵語kapalaの音訳。臥と同系。
臥 1073 nguar>wo ①ふす。うつぶせになる。ふせて寝 る。②物を下に置く。よこになる。また、ふせったさ ま。【解字】[臣]は、下に伏せてうつむいた目を描いた象 形モジで、身をかたくこわばらせて平伏する奴隷。上古音はギン・ジンghien.
戈
500 kuar>ge ①矛。武器の名。両刃のある身の部分に直角に長い柄をつけ、敵をひっかけた。全体がとび口のような形で、柄の先にも後ろにも敵を突きさすシ[刺]がない。②カンカ[干戈]とは、タテ[杆]とホコの意から転じて、戦争のこと。*カギ型の道具でヒッカケル・カラム[絡]・クワエ〔咥える〕姿。ワ[輪]の系譜。
カイ
回
259 huer>hui ①まわる。まわす。ぐるりとまわす。②めぐる。めぐらす。まわりをかこむ。③頭を後ろへ向ける。ふりかえる。④かえる。かえす。⑤逆もどりする。曲線を描いて曲がる。⑥たび。回数。【解字】回転するさま。」または、ちいさい囲いの外に大きい囲いをめぐらしたさまを描いた象形モジ。囲・塊と同系。*クルクル、まわる。まわす。
ワ[輪]をえがく。
懐
496 huer>huai ①いだく。ふところにする。②ふところ。物をだきこむ前の胸の前。また、ふところの中。③おもう。胸の中に大事にたたみこむ。④おもい。心の中で、あたためた考え。⑤なつく。なつける。【解字】涙を衣で包んで隠すさま。さらに忄(心)を加えて、中に囲んでたいせつに暖める気持ちをあらわす。回・囲と同系、
キ・ギ
宜
352 ngiar>yi ①よろしい。形や程度がほどよい。②むべ。当然である。③よろしく…すべし。④出陣を告げるために、社(土地の氏神)をまつる。【解字】「宀(やね)+多(肉を盛ったさま))の会意モジで、肉をたくさん盛って、形よくお供えするさま。義・儀などと同系。
誼
1224 ngiar>yi ①よい。適切である。よろしい。②ほどよいすじみち。道理。②適切な解説。義。④よしみ。ゆかり。因縁。
義
1030 ngiar>yi ①すじ道。かどめのよい。利欲に引かれず、筋道をたてる心。みさお。③公共のために尽くすこと。④ことばや行いに含まれている理由。わけ。意味。⑤約束してちかった親類関係。⑥名目上の。かりの。人工の。【解字】「羊(形がよい)+音符我」の会意兼形声モジで、かどめが立って格好のよいこと。
議
1240 ngiar>yi ①はかる、かどめをつけて話しあう。筋道の通った相談をする。②あれこれと、理屈や文句をつける。③かどばった正式の相談。④物事の可否についての意見を述べた文章。【解字】「言+音符義」の会意兼形声モジで、かどばって折り目のある話のこと。儀・峨‣宜などと同系。
儀
97 ngiar>yi ①のり。手本とすべき、ほどよくととのった規準。②形よく整った作法。③ほどよくきれいに整ったさま。【解字】「人+音符義」の会意兼形声モジ。
犠
817 hiar>xi いけにえ。神前に供える、形のととのった動物。転じて、ある目的のために身命をささげること。
奇314 giar>qi くし。めずらしい。②あやしい。③非凡だと思う。④半端な数。【解字】人の体が屈曲してかどばり、平均を欠いて目だつさま。*ヨリ[依・寄]カカル[掛]姿。
寄
361 kiar>ji ①よる。よりかかる、たよりにする。②やどる。よりかかってとまる。③よせる。人に任せて世話してもらう。④よせる。送りとどける。【解字】ヨリカカル・カタヨル姿。
崎 393 k’iar>qi けわしい。山道がひどく傾斜していてけわしい。*大地がサク[裂]・サケル[裂]・ヨリ[依・寄]カカル[掛]姿。また、そのサキ[裂・先]の姿。
騎
1505 giar>qi ①のる。馬にまたがって乗る。②ものにまたがる。③乗用の馬。④馬に乗った兵を数えることば。
幾
416 kier>ji ①いく。いくつ。いくばく。一から九までの数をたずねる疑問詞。また、九以下のはしたの数を示すことば。②ちかい。ほぼ等しい。③ほとんど。【解字】人の首に、もうわずかでホコ[戈]の刃がとどくさま。*そこまでとどいたが、そこでツキ[尽]はて、あとがつづかない、キエル[消]だけという姿。また、その切れ目・キワ[際]・キワミ[極]。
機
671 kier>ji ①はた。はた織り機。また、その装置の動きを伝える細かい部品。③部品を組みたてて、複雑なしかけ。「機械」。③物事の細かいしくみ。からくり。「機構」。④きざし。おり。事がおこる細かいかみあい。「機会・契機(きっかけ)・投機」。
饑
1494 kier>ji ①食物が乏しい。②うえる。うえ。食物がわずかで腹がへる。また、ひもじさ。*わずかしかないさま。切れ目。マギワ[真際]。
畿
862 gier>ji ①都からわずかしか離れていない領地。②みやこ。天子の居住する土地。③門のうち。【解字】キン[近]gienの語尾が-rに転じたことば。
几
130 kier>ji ①つくえ。ものをのせる足つきの四角い台。②いく。いくつ。キ[幾]に当てた用法。*キ[杵]にエ[柄]をつけるだけでエ[得]られる、簡単・便利な構造物。エモノ[柄物。得物]。
机
625 kier>ji つくえ。*几型の台。ツク[付・突・築]姿。また、台の左右両脚の中間がウツロ(空間)で、ツキル[尽]・キエル[消]姿。
肌 1052 kier>ji はだ。きめこまかい組織がびっしりつまっているはだ。*細かな切れ目。
飢 1487 kier>ji ①うえる。食物がすくなくて腹がへる。②うえ。【解字】キ[饑]が本字。*食料がキエル[消]・キレル[切]姿。
偽 87 ngiuar>wei ①いつわり。うわべを繕う。②うわべだけのみせかけ。③人間の作為。④なまったことば。【解字】人間の作為により姿を変えること。[為]は、人間が手で象をあしらって手なづけるさま。*クルクル・グルグル・マワル・マガル・カワル・カエル姿。ワ[輪]の系譜。イ[忌・射]ツ[津]ワリ[割・悪]。
既
587 kier>ji ①すでに、②すでにそうなってしまった以上は。③つくす。つきる。【解字】ごちそうを食べて、腹いっぱい、オクビが出るさま。限度まで行ってしまう意から、「すでに」の意味を生ずる。ガイ漑(田畑に水をいっぱいに満たす)・概(マスに米をいっぱいに満たす、ますかき棒)・慨(胸いっぱいになる)などと同系。
毀
695 hiuar>hui ①こぼつ。壁や堤に穴をほってこわす。②やぶれる。穴があいてこわれる。*コワル・コワレル・ワレル姿。ワ[輪]の系譜。
鬼 1521 kuer>gui ①おに。死人のおばけ。②地獄で死 者をあつかう者や死人たち。③飢餓に苦しむ亡者。④いやな人。債鬼。⑤人間技とは思えない。並はずれてすぐれた。鬼才。*カイ[魁(大きいまるい頭)・塊(まるいかたまり)・回(まるい)]などと同系。予想をコエル・予定がクルウ[狂]姿。
愧 487 kiuer>kui ①はじる。気がひけて、心が縮まる。②はずかしいこと。【解字】「心+音符鬼」の会意兼形声モジ。*キエル[消]姿.。
輝
797 hiuer>hui ①ひかり。輪を描いてまるくかがやくひかり。②かがやく。周囲にまるく輪を描いてかがやく。*ククルクル・グルグル、一めぐりする姿。
癸 874 kiuer>gui *グルグルめぐる、ワ[輪]をえがく姿。
葵
1116 giuer>kui ①四方にむけて花が開く野菜の名。②ひまわり[向日葵]。③あおい。あおい科の植物。*キ[杵]がアヒテ[相手]とのデアヒ[出会]をもとめて、グルグル・マワル・メグル姿。
揆
542 giuer>kui ①はかる。コンパスを回してはかる。②はかりごと。計画。*クルクル・グルグル、マワル・メグル・メグラス姿。
希 404 hier>xi ①まれ。めずらしい。ごく少ない。うすい。かすか。②ねがう。【解字】細かく交差して織った布。スキマがほとんどないことから、微小で少ない意となり、その小さいスキマを通して何かを求める意となった。キ[幾]と同系。
祈 919 gier>qi ①いのる。望むところに近づきたいと神にいのる。②いのり。*「キ[杵]+エル[得]」の構造。イキ[息]がノル・ナル姿。日本語のイノルも、イキ[忌杵・息]がノル[乗・宣・告]・ナル[生・成・鳴]姿。
帰
148 kiuer>gui ①かえる。回ってもどる。②回ったあげくに、適当なところにおさまる。③とつぐ。嫁にいく。*ひとメグリして、もとのところへもどって来る姿。回・囲・揆などと同系。
2.2.
k-r音漢語の基本義
ここまで、k-r音漢語を採集し、音型とその意味(事物の姿)との対応関係をさぐってきました。漢語の場合は、漢字という表音モジで表記される習慣なので、さしあたり漢字の字形別に表記し、ローマ字で音型を表記します。漢語の単音節は、すべてCOC(語頭子音と語尾子音の中間に母音をはさむ姿)構造。したがって、k-r音という子音構造をもつことによって、k-r音語としての基本義が決定され、ついで中間の母音構造のチガイによって、さまざまちがうニュアンスをもつk-r音語が生まれることになります。
k-r音漢語全体を並べてみると、「k-r音語の基本義」とされる大きなワクの中で、ニュアンスのチガイを示す小さなワクが生まれていることが見えてきます。具体的なことは、これまで各項で、そのつど指摘してきたとおりですが、ここでまとめをかねて、ざっとおさらいしておきましょう。
カ・ガ
可 k’ar // 荷 ha// 河・何・苛har.
*ヒッカカル・マガル・カギル姿。
加・枷・架・ 柯kar. *くちにクワエル[食](カム)・クワエル[加]姿。
化・花・貨 huar// 訛 nguar. *幹・枝の先が裂キワカレ、花・貨幣・貨物などにバケル。ワ[輪]の系譜。
冎・渦・過 kuar//禍 huar.*えぐることで生まれたアナグラに、となりの骨の一端がはまりこむ(カル[[借])ことで、関節が生まれる。ワwa[輪]の系譜。
果 kuar// 課 k‘uar// 踝 huar// 窠 ・uar.*コロコロ・ゴロガロ・クダモノ・クルブシ・ネグラ。ワwa[輪]の系譜。
禾・和 huar// 科
k’uar// 我・俄・蛾・餓 ngar.*(穀物の)コロコロ・コロガル、まるい・小さなツブ。ワ[輪]の系譜。
キ・ギ
義・議・儀 ngiar// 犠 hiar. *かどめが立ち、格好がよい。
奇・寄kiar// 崎 k’iar//
騎 giar.*くし。めずらしい。よりかかる。
幾・機・饑・畿 gier. *切れ目。そこでツキ[尽]はて、キエル[消]だけ。
几・机・肌・飢 kier. *細かな切れ目。
癸 kiuer.// 葵・揆 giuer. *グルグルめぐる、ワ[輪]をえがく。
その他、つぎのような語音も、「-uar」型の語尾をもつことから、ワ[輪]の系譜にはいるものと考えられる。
カ
戈 kuar. *カギ型の道具でヒッカケル・カラム[絡]・クワエ〔咥える〕。
ガ
臥 nguar.*伏せる。体をまるくかがめる。
カイ回 huar.*クルクル。クルム。カラム。マワル。
このあと、ひきつづき「k-r音英語」をとりあげる予定でしたが、すでに予定のページ数をこえましたので、それは次回にまわさせていただきます。