クリスマス・ツリー
12月5日(土)。12月にはいったとたん、さっそくネット上でクリスマス・ツリーの姿を見かけるようになりました。「めぐみ」でも、1f桝谷内科医院カウンターのわき、エレベーターの入口に、クリスマス・ツリーがかざられました。もちろんなまのモミの木などではなく、プラスチックを素材としたものですが、たくさんの豆電球がとりつけられて、にぎやかな演出になっています。ただし、そのわきの、テノヒラ消毒セットとならんでセットされている姿は、コロナ・ウイルスのおそろしさを連想させるキビシイ一面も見せているようです。なお、おなじタイプのクリスマス・ツリーが、3f「めぐみ」事務所や9f会議室にもかざられています。
もうすぐクリスマスがやってくるという感じですが、ことしはコロナ流行の対策として、日本国中どこでも「外出禁止」・「面会禁止」が発令されています。オトナはさておき、コドモたちにとって、サンタクロース来訪は最大のユメ。菅総理は、「これだけは許可する」方針なのでしょう
か?それとも…?
ゴボー体操
この日午後、9fでおこなわれた機能訓練に参加しました。ビデオでゴボー先生の演技をながめながら、小学1年生にもどった感覚で、深呼吸・発声練習・頭・首・手・足・腰などの関節のマゲ・ノバシなど。どれもこれも、基本的な動作ばかりで、平生の運動不足を反省させられました。同時にまた、これだけズボラな生活をしながら、100年ものあいだよく生きつづけてこられた、アリガタイことだと感じています。
新聞紙をユビでキザム
機能訓練の後半は、新聞紙まるごと1枚(印刷面小計4ページ分)を手のユビでちぎって1本のヒモをつくり、できたヒモの長さをくらべるゲームに参加しました。このゲームの勝敗は、作業をはじめるまえに、「どんな方式で作業をすすめる
① はじめに、テーブルを占領する感覚で新聞紙をひろげたあと、タテの線を生かして二つ折り・四つ折り…32枚折りまでつづける。
② 32段階の折り目(幅約㌢)を確認し、あらためてキッチリ折り目をつける。
③ 折り目にあわせてユビをそえ、折り目をハガス・ホグス感覚で、新聞紙をチギル作業をすすめる。
あくまで平常心を持ちつづけること、リキムことなく、ゆったりした気分で作業をすすめるのがコツのようです。わたしのばあい、はじめに頭の中で設計図をえがくことなく、そのばの思いつきで、幅10センチほどのカミヒモでスタートしたので、ご覧のとおり(写真)、ブザマな結果になりました。このさき機会があれば、もういちど挑戦したい気もちはあります。
歌の時間
12月10日(木)午後、機能訓練の後半、ビデオの画面をながめながら、また、手もとの「歌謡集」(めぐみ版)をながめながら、歌の練習をしました。歌の上手下手以前の問題として、自分の口で発声された音声が、まわりの人の耳まで期待どおり伝わるかどうか、それがまず第一の問題です。聞き手の立場でいえば、相手からまともな分量の声がきこえても、どんな意味か伝わってこない。ただの雑音をきかされているみたいで、イライラしてくる。そんなことが、よくあります。補聴器も、つかってみました。聞こえ方がすこしだけ改善されることはたしかですがが、あまりおおきく期待することはムリなようです。いまは、めったにつかっていません。
この年齢になったら、目・耳・口をはじめ、手・足・腰・足のユビサキまで、ドコもカシコもガタつくのがあたりまえ。のこりすくない人生です。どうでもよいことは、ほったらかしておけばよい。生きているうちにやりたいこと、いまほんとにやりたと思っていることをやればよい。そう考えることにしています。
富山に雪
12月16日(水)。富山でも、雪がつもりました。朝食のとき、7f食堂のマドからのぞいてみると、ビルの屋根に雪がつもり、白一色の地面を、黄色の車体をもつ電車が、屋根に白い雪をのせたまま走ってゆく姿が見えました(写真)。へやにもどってから、あらためて北日本新聞の記事をよみました。「富山、積雪25センチ」のミダシで「強い気圧配置となった16日の県内は、全域で雪となった。午後9時の積雪は富山25センチ秋ヶ島(富山空港」32センチ、猪谷82センチ」と報道。また、社会面でも、「冬将軍、困惑と期待」のミダシで、「早朝除雪で『へとへと』、スキー場は『ほっと』」などと伝えていました。
わたし自身は暖房完備のビル7fに住んでいて、めったに外出しないので、新聞やネットなどで情報をしいれておかないと、東京の親類などから見舞いの電話があった場合など、まともなごあいさつができないおそれがあります。じっさいに被害をうけて困っておられる人たちのことを思うと、バチが当たりそうな気持です。
クリスマス・カード
この日、本家のSusumu, Kumi夫妻(東京)から、クリスマス・カードがとどきました。立体的なつくりで、ボタンをおすと、ツリーのいたるところにハメこまれた豆電球が点滅し、クリスマスのメロデーがながれます。この数年まえから、毎年送っていただいているので、これで、ことしも楽しいクリスマスになりそうです。信子もよろこんでくれると思います。
おかがみ餅
この日午後、Mioriさんからサシイレがあり、その中にちいさなカガミ餅がはいっていました。さっそく仏壇(のツモリ)にそなえました。オシャカさまの軸がかかり、故人のお骨や写真といっしょにカガミ餅までそろいましたので、お正月をむかえる準備はすべて完了といったところです。
「キザミ食」から「一口大」へ
毎日3度の食事が「キザミ食」になって、しばらくの日数がすぎました。入所以来、わたしの食事にかける時間がまわりの方々にくらべて長いことから、スタッフの方が「歯でカミクダク力がおとろえた結果」と判断し、キザミ食にすれば、食事時間を短縮できると考えられたようです。しかし、現実はその計算どおりにすすみませんでした。
食事をいただく本人としては、世界観・人生観とならぶものとして食事観みたいなものをもっています。人間は、イノチあるモノの一員として、まわりのモノのイノチをいただくことによって、ようやく自分のイノチをつなぎ、人生をまっとうすることができる。そう考えれば、食事の作法として、ただガツガツと食材をカミクダキ、胃へ流しこむだけでは、その食材のイノチにたいして失礼です。自分の目で、その食材の現状をたしかめ、生きていたときの姿・形を連想。これまで食べてきたときの手ざわり・口ざわり・舌ざわり、はては鼻でニオイをかいだときの、そのニオイ・カオリなど、さまざまな記憶をよびもどし、しばらくその思い出をたのしみます。
食欲がわきおこったところで、あらためて食品にむかい「あなたのオイノチ、わたしにトラせていただきます」と声をかけながら、ハシ[箸]で食品に手をつけます。このあと、ようやく現実の食事作業がはじまることになります。
そういった次第で、わたしは「キザミ食」にナットクできず、機会あるごとに修正をお願いしてきました。わたしの苦情を、スタッフの方たちがていねいに聞きとっていただいた結果、こんどから修正・実施ということになりました。
毎回給食のご膳に添付される「給食カード」の記入事項をチェックしてみました。「減塩」・「粥」・「ヨーグルト」などの項目はこれまでどおりですが、これまで「キザミ食」と書かれていた項目が、こんどから「一口大」と表記されています。
ここで、食堂の壁に掲示された「週間こんだて表」を見ると、「〇〇様誕生日」・「ご飯」・「筑前煮」・「ほうれん草」・「ロールケーキ」となっています。ご膳にならんだ食品も、メニューどおりならんでいます。このうち、キザミ食かどうかが問題になるのは、「筑前煮」と「ほうれん草」だけだと思いますが、「ほうれん草」のミドリ色を見せられ、いちどカミシメさえすれば、文句なしに「ほうれん草」だと実感できるでしょう。「筑前煮」についても、この程度のキザミ方なら、ニク・ニンジン・ダイコン・コンニャク・レンコン・ゴボーなど、素材のもとの姿も、ほぼ見当がつきそうなので、どうにかナットクできると思います。おかげさまで、「キザミ食」の問題は「一件落着」ということになりそうです。
クリスマス・パーティー(めぐみ版?)
12月23日(水)午後、6f食堂へ集合するようにと案内があり、出席しました。食堂には、平常の2倍ほどの大テーブルが設定され、スタッフをふくめて8人ガ着席。一人一人の席にケーキがセットされており、やがてホット・コーヒーが追加されました。どうやら、6f・7f合同のクリスマス・パーティーがはじまるらしいと感じました。
スタッフの一人が、なにかひとことしゃべられましたが、わたしの耳にはシワガレ声として聞こえ、どんな意味か分かりませんでした。そして、そのあと20~30分、だれひとりウンともスンともいわないまま、全員がコーヒーを飲み、ケーキを食べおわったところで、散会となりました。このとき、わたしの胸の中で、おおきな違和感がわきおこりました。
① 参加者のマスク着用・座席配置など、コロナ対策をととのえる。
② あらかじめ司会者をさだめ、クリスマスの趣旨にあわせたシナリオを準備しておく。
③ シナリオの内容としては、出席者による「いのり・告白・つぶやき」などの発言や、「うた・おどり」などの行為」をふくめて予定する。順番は、座席順が無難。
④ 本番では、司会者がシナリオにしたがってパーティーをすすめるとともに、出席者一人一人の反応を見ながら、予定時間を有効につかい、また予定時間内でおさまるようリードする。
ほぼそんなところでしょうか。コロナ・ウイルスの威力は、人類にとっておおきなイタデですが、人類もまた、イノチあるものの一員として、負けずに立ちむかい、しぶとくイキ[生]ぬく根性を見せるのも悪くないと思いますが、いかがでしょうか。
前回の「s-k音英語の基本義」にひきつづき、今回は「k-t音日本語の基本義」をとりあげます。k-t音は、s-k音とならんで、日漢英3言語の分野で、それぞれ大量の単語家族を形成する多数派と見られる存在です。k-t音日本語の実態を明らかにすることによって、またさらに、漢語・英語のk-t音と比較することによって、「人類の言語体系」の中で3言語が占める位置関係などが、すこしずつ見えてくることも期待されます。
いつものとおり、「擬声・擬態語」、「2音節動詞・名詞など」、「k-t音日本語の基本義」の順序で議論をすすめます。
1. k-t音の擬声・擬態語
カタカタ・ガタガタ・カチカチ・ガチガチ・ガッタリ・カッチリ・キチキチ・ギチギチ・キッチリ・ギッチリ・キトキト・クタクタ・クダクダ・グタグタ・クツクツ・グツグツ・クッキリ・ケタケタ・ゲタゲタ・ケチケチ・ゴタゴタ・コチコチ・ゴチゴチ・コツコツ・ゴツゴツ・コテコテ・ゴテゴテ・コトコト・ゴトゴト。
「擬声語は音を表わすだけで、意味とは関係がない」などという人がいますが、それはマチガイだと思います。たとえばk-t音のばあい、k-音・t-音ともにカタイもの同士です。その両者がカツカル(ブツカル・ウチアタル)ことによって発生する破裂音がk-t音であり、このことがそのままk-t音語の基本義を表わしているわけです。
2. 2音節の動詞
カツ[且・搗・勝・堪]。*カタイもの同士、カツカル・ブツカル姿。→カッチャ[搗屋](精米所)。→カタ[形・型・方・肩]・カチ[徒歩・勝]・カヂ[梶・鍛冶]・カテ[糧]・カタス[鍛]・カタム[堅・固]・カタル[語]・⇔カツ割kat>ge.//cut.
クツ[朽](上二) 腐る。*モノがクダカレ、クタクタ・グタグタの姿になること。動詞クツ[朽]の連用形兼名詞形がクチ[口](食材をクダクところ)。クツの音形をそのままにした名詞用法がクツ[履・沓](手ごろな木材をクリヌク・ケヅル・cutスルことで、スキマをつくり、足をはめこむ)。⇔カツ割kat>ge.//cut.
ケツ[消](四) 消す。消滅させる。ク[消]キユ[消]に対する他動詞。*カタチをナクス・cutスル。燃える火を雪でケス・トカスこともあり、その雪を火でケス・トカスこともある。カツ割kat>ge.//cut.
3. 2音節の名詞など
カタ[形・型・方・肩・片・潟・堅]・カチ[徒・徒歩]・カヂ[梶・楫・舵]・[鍛冶](カヌチ[金打]の約転)・カテ[糧]・カド[才・角・門・廉]。*カタは、動詞カツの未然形兼名詞形で、「カツカル・カチワル・カタメル」姿。カタ[片・頑]は形状言。⇔カツ割kat>ge.//cut, cutter, cutting, good(形がよい), god(素晴らしい・理想的な形).
キタ[北] ・キダ[分・段](キザ)。*キダをつける。キタエル姿。⇔cutting.
クダ[小角](軍陣用の笛。角製もしくは竹製)・クチ[口・鷹]・クツ[沓・履]。*クチ[朽]させる・カチワル姿。⇔cutter.
クヅ[屑]くず。もののかけら。きれはし・不用の部分をい う。 *カツ・カチワル作業の結果としてウマレルもの。ク ツ[且・搗・勝]・カタ[形・型・方]・キダ[分・段]・クツ [朽・沓]・クチ[口]・クダ[小角]・ケツ[消]・コト[箏・言・事]などと同系。⇔カツ割kat>ge.//cut.
ケタ[桁](材木がケズラレタ姿)・ゲタ[下駄](桁とおなじ構造原理)・ケチ(けちん坊)。*ケツ[消]の姿。⇔カツ割kat>ge.//cut.
コチ[東風]・コツ(くず。ごみ。ゴツゴツした姿で、歩行者にカツカル・ジャマになるもの)。
コト[琴・言・辞・事・殊]・ゴト[如](助動)。*カツカル・カチワル姿。⇔カツ割kat>ge.//cut.
4. k-t音が表わす基本義
擬声・擬態語の項で指摘したとおり、k-t音は「k-音+t-音」の構造ですから、その基本義は「k-音、t-音それぞれが表わす基本義を総合したもの」ということになります。
k-単音節語の段階で、動詞ク[来・消]を中心に、カ[鹿
髪・梶・蚊・香・日]・キ[酒・杵・割・寸・樹・木・柩・ 牙・葱・黄]・ク[所・消・来]・ケ[異・占・卜・木・毛・笥・食・毛・気]・コ[籠・子・児・蚕・粉・濃・小・此・是]などの品詞語が成立しています。2音節語の段階で も、ぼおなじ要領で、動詞カク[掻・書・欠]・カグ [嗅]・ キク[聞・利]・クク[漏]・コク[扱]・コグ[漕]などを中心に、カガ[利]・カキ[垣・蠣・柿]・カギ[鍵]・カケ[鶏・懸]・カ[陰・影・冠]・ガケ[崖]・カコ[水手・鹿子]・カゴ[篭]・クガ[陸]・クキ[茎]・クギ[釘]・コク[扱]・コケ[苔]・ココ[此処]などの品詞語が成立しています。
また,t-単音節語の段階で、動詞はヅ[出](イヅの省略形)
だけですが、そのまわりにタ[手・田・為・誰]・チ[乳・血・道・路・鉤・茅・千・父・霊]・ツ[津](船着き場)・テ[手・代・価]・ト[外・門・戸・処・砥]などの品詞語が成立して
います。2音節語の段階では、動詞タツ[断・絶・立]・ツツ
[伝]・トヅ[閉]を中心に、ただ[直・正・但]・タチ[大刀
館・立・等]・タツ[竜]・タヅ[鶴]タテ[楯・縦・経]・タデ
[蓼]・チチ[父]・チヂ[数千]・ツタ[蔦]・ツチ[土・槌・鎚・
椎]・ツツ[筒・管]・ツツ[喚鶏]・ツト[裹]・ドチ[共]・トド(擬声語)・トド(哺乳海産動物)などの品詞語が成立しています。
k-音とt-音を組みあわせたk-t2音節語は、動詞カツ[且・搗・合・勝・堪]・クツ[朽]・ケツ[消]を中心にして、カタ[形・型・方・肩・片・潟・堅]・カチ[徒・徒歩]・カヂ[梶・舵・鍛冶]・カテ[糧]・カド[才・角・門]、キタ[北]・キダ[分・段・鰓]・クダ[小角・管]・クチ[口・鷹]・クツ[履・沓]・クヅ[屑]・ケタ[桁]・ゲタ[下駄]・コチ[此方・東風]・コツ(ごみ)・コト[琴・言・事・殊・異]・ゴト[如]などの品詞語が成立しています。一見したところ、かなり雑多な意味を表わしてるように見えますが、いずれもk-音、t-音がもつ基本義の総合にとどまり、その範囲をこえるものはありません。
5. 技術用語としての役割
k-t音語にかぎったことではありませんが、コトバは、まず身のまわりの生活資材をつくりだす作業のシカタ[仕方]を音声にホンヤクして記憶することからはじまったと考えられます。やがてモジ記号が発明され、モジ言語がおおきな役割をはたすことになりますが、やはり音声言語が基本です。モジ言語の便利さにおぼれていると、脱線・転覆などの事故につながるおそれがあります、
このあと、漢語・英語のk-, t-音の基本義をたしかめたうえで、あらためて指摘することになると思いますが、k-t音は人類が生活資材をつくる技術用語として生まれたものであり、現代k-t音語がさまざまな音形をもっていることは、日本民族がつぎつぎ技術革新をすすめてきた歴史を示しています。
具体的にチェックしてみましょう。原始時代の日本では、サムイ[寒]ことをチャップイと発声していたと推定されています。また、農耕作業の分野でも、木や竹の枝・葉をとりはらっただけのツエを、地面にツキさしてアナをあけ、タロイモのタネを植えこむだけの時代がつづいたあと、やがて青銅器・鉄器伝来のながれにのって、金属製のハモノを装備したスキ[鋤]をつかって、地面をスキかえす、スイスイ・スカスカ・スキスキ・スクスク・スケスケ、スキなだけスキマをあけることができるようになりました。この先端技術のおかげで日本列島改造計画がすすめられ、やがて古代国家・ヤマト朝廷誕生の土台ができあがりました。
次回は、「k-t音漢語」をとりあげます。