富山城 2/22
悠学会 2/22
『古事記』を読む会 2/24
99才誕生日の夕食 2/25
月命日に報告 2/27
豆腐料理 2/27
梅の花拝見 2/27
ひな祭りの昼食 3/3
富山城
2月22日(金)。午後2時半から開かれる日本海文化悠学会の研修会に出席するため、千代田町丸十さんまででかけました。この日は快晴で、タクシーの窓ごしに富山城がスッキリ見えました。たまたまクルマが徐行状態にはいったので、スマホのシャッターを切ったのがこの1枚の写真です。この辺は、ホームのすぐ近くで、本来ならば毎日でも散歩にゆけるはずのところですが、体力がおとろえたイマの状態では、自分の足でここまで散歩にでかける自信がありません。砂町の自宅へゆくときなど、かならず通る場所なのですが,いつもクルマで素通りするだけです。
この日の研修会では、経澤信弘さんと高田美也子さんが「再現、滑川宿本陣殿様御膳」と題して報告されました。当日いただいたレジュメから一部ご紹介します。
「中納言様御宿泊につき献立の事」は、瀬羽町の城戸家に伝えられたもの。中納言様とは、加賀藩の第12代藩主で加賀前田家13代の前田斉泰。
献立は、文久2年4月14日(現在の1862年5月12日)江戸から金沢へ戻る途中で宿泊した際、夜の酒肴や朝食に出されたメニューです。この4か月後の閏8月、幕府は参勤交代制度を大きく緩和したことから、この時の道中を日本最後の参勤交代と呼ぶ人も多いようです。天保12年(1841)の絵図には、大町の「桐沢本陣」が描かれていますが、天保5年のお梅火事・天保9年の高月焼などにより、「桐沢本陣」は天保9年を以て200年余りの役割を終えていました。替わって小泉屋と共に本陣の役割を果たした養照寺には、天保7年(交代)、8年(参勤)、13年(交代)、弘化2年(参勤)などの記録が残されています。
何れも浜より上りかけ生きしめ、刺身など磯のごとし。金沢の商人もよき道・よき町・よき料理・風味良しと滑川を大絶賛。冷蔵技術のない時代、富山湾を背にしたキトキト・トレトレの滑川の魚は旅人を魅了。そんな新鮮な魚を用いた殿様御膳の再現です。
『古事記』を読む会
2月24日(日)午前10時半から茶屋町豊栄稲荷神社で『古事記』を読む会に出席。この日のテーマは前回にひきつづき「天孫降臨について」。針山康雄さんと服部征雄さんが研究報告されました。
針山さんは、神野志隆光氏の「『天孫降臨』ということ」(「万葉を愛する会だより」85号)を紹介しながら、「天孫という語彙が古事記にも日本書紀にも出ていないのに、中世の研究者が使った用語を今の研究者がなんの批判もなしに使っているのはおかしい」と指摘し、その視点から「天孫降臨が古事記のクライマックスなのは何故か」、「天孫降臨神話が生まれたのは何故か」、「天孫降臨の地は何処か」などの問題をとりあげ、それぞれの問題にかんする研究者たちの学説についても解説されました。
たしかに『古事記』と『日本書紀』とでは、双方の世界観・歴史観のあいだにかなりのズレが見られるようです。なによりまず、21世紀にふさわしい客観的・合理的な歴史観をもつことが必要だと教えられた思いがします。
つづいて発表された服部さんは、「天孫降臨の神話は、ある一部の集団が四面を海に囲まれた日本列島に侵入し、次第に勢力を拡大していった歴史上の出来事を象徴しているもの」と認定したうえで、①どのような集団が日本列島に侵入したのか(who)、②最初に上陸したのはどこなのか(where)、③それは何時の時期なのか(when)、古事記・日本書紀を中心に、その実態を推測する作業をすすめられました。当日配布されたレジュメの中から要約してご紹介します。
これらの侵入者は海を航海してやってきたが、「高天の原から降臨した」と主張する集団(天孫族)であった。古代日本人は、「海と天は、地平線のかなたで交わる」と考えていたようだから、「天からやってきた」と主張してもおかしくない。
イザナギがミソギを行い、アマテラス・スサノオ・ツクノミが生まれた地が「竺紫の日向の橘のヲド[小門]のアハギガハラ[阿波岐原]」であるとされる記述(記。上、禊祓いと神々の化生)は、ニニギノミコトが上陸する以前に天孫族が九州地方に住み着いていたことを暗示している。その集団が「はやと族」であり、隼人族を調べると天孫族の来歴が分かるのではないか。
【古事記に見える隼人】
海彦、山彦の物語
①
山彦の道具交換の提案に、海彦が渋々同意した。②山彦が代替の釣り針を出したが、海彦が拒否した。③山彦が兄を経済的に追い詰める。④塩盈珠、塩乾珠を使って、兄を屈服させる。⑤兄を臣従させる。「汝が命の昼夜のマモリビト[守護人]として仕え奉らむ」。⑥隼人のいわれ。
履中天皇
難波宮にいるとき、弟墨江中王は天皇を殺そうと、御殿に火をかけた。天皇は難を逃れて石上神宮にいた。そこに同母弟の水歯別命が参上したが、反逆の心を疑われる。そこで墨江中王の近習の隼人をだまし、墨江中王を殺させ、さらにこの隼人を殺害したので、天皇は水歯別命(後の反正天皇)を信用した。
【はやと 隼人】 はやーひと、はやーびと
古代南九州に居住していた一部族。主として大隅、薩摩地方に居住。5世紀中ごろから大和朝廷に服属し、勇猛敏捷であったため、徴発されて宮門の警衛、行幸の先駆などを勤めた。大宝令では隼人司が置かれ、6年交代で朝廷に勤番し、勤番後、畿内、近江、播磨などに土着を許された。一方、8世紀の初め頃隼人の反乱が起こり、たびたび鎮圧軍が派遣されたが、大隅、薩摩の国司に太宰府官人が任命されるようになってから、次第に律令支配体制にくみこまれていった(ブリタニカ国際大百科事典)。
…以下、「隼人関係史」など省略。
「天孫族と隼人との関係」など、基本的な問題について、わかりやすく解説していただき、「目からウロコが落ちる」思いがしました。それにしても、「自分は日本人だから、日本の国のことはおおよそ分かっている」と思っていたのが、実は「なにも分かっていなかった」ことが分かり、おはずかしいかぎりです。どうぞこのさきもよろしくお願いします。
99才誕生日の夕食
2月25日(月)。いろいろありましたが、おかげさまでどうやら無事に、満99才の誕生日をむかえることができました。ホームの給食では、朝食のご膳にも「誕生日おめでとうございまし」のカードがそえてありましたが、夕食のご膳には「すまし汁」、「刺身盛り合わせ」のほか、「饅頭」まで用意されていました。ここまで気を配っていただいて、ほんとうにゴチソウサマでした。
信子の月命日
2月27日(金)10時半から、長念寺住職志田常無さんにおいでいただき、故信子月命日のお勤めをさせていただきました。わたしとしては、2日前の25日に無事満99歳の誕生日をむかえたことなど、近況報告の場でもありました。また、25日にイズミ本家の進さん、公美さん夫妻から誕生日祝いの「お花付き電報」がとどいたばかりなので、その「お花」も信子の写真のわきにそなえておきました。
この日の昼食は、Mioriさんの提案で、速星駅近くの「梅の花」でということになりました。「梅の花」は「豆腐」や「湯葉」などを中心にした懐石料理で全国展開をしているお店だとのこと。富山市内のデパート大和にも出店していますが、それはお弁当類の販売だけで、食事できるのはこちらだけだそうです。Mioriさんの話では、信子が元気だったころにも、いちどここでいっしょに食事したことがあるとのことでしたが、いまのわたしにはまったく「忘却の彼方」の話です。なにはともあれ、無事満99歳の誕生日をむかえ、信子の月命日のお勤めをすませたことの解放感にひたりながら、ゆっくりと食事を楽しませていただきました。
豆腐料理でおなかがいっぱいになったところで、お庭を拝見。「梅の花」という名前にあわせて、みごとな梅の木が植えられており、一部すでに開花ずみ、全体としてピンク色になっていました。まわりの世間は、まだまだ冬のさなかですが、ここだけ一足お先に「春が来た」と歌っているという感じです。わたしはあわててスマホのシャッターを切りました。梅の花のピンク色にさそわれて、きれいに手入れされた庭の砂地に入りこんでしまいました。申しわけありません。
ひな祭りの昼食
3月3日(日)。この日は、ひな祭り。昼食のご膳には、まず「ひな祭り」のカードがそられ、「アナゴちらし」、「すまし汁」、「菜の花のお浸し」、「さくらもち」、「甘酒」などがならんでいました。「アナゴちらし」も「さくらもち」も、おいしくいただきました。大きなカップのソコのほうにチョッピリ入っている「甘酒」を口にしているうちに、ママゴトをしている気分になりました。
ホームでは、3食昼寝つき、めったに外出もしない生活がつづきます^ので、それだけ季節感がうすれ、生命力がよわくなるようです。そこでぎゃくに、「さくらもち」や「甘酒」を飲食することなどで季節感をとりもどし、やがて生命力をよみがえらせるということも考えられます。ただし、「若がえり」、「よみがえり」はよいとして、「どの年代」まで若がえるのかが問題です。わたし自身の実感としては、その着地点は青年期や壮年期ではなく、幼年期もしくは乳児期くらいかなと考えたりしています。
a-a音の漢語・英語…日本語の系譜(第2回)
前回お約束したとおり、このあと漢語・英語の拗音について、とりわけその「音形と意味との対応関係」について考えてみることにします。ただし、ヤ行拗音については「ヤ[矢・屋・谷・哉]の系譜」(『コトダマの世界Ⅱ』第19章。桂書房。2017年)などで報告ずみなので、ここではとりあげません。ここでは、ワ行拗音をふくむ漢語・英語語彙を採集・調査し、「音形と意味との対応関係」、さらには「日本語音との対応関係」について考えてみたいと思います。
ワ行拗音の漢語
ひとくちで「ワ行拗音の漢語」といいましたが、具体的にどれくらいの種類の音形があるでしょうか?あまり欲ばって、消化不良になるだけでは意味がありません。ここでは「上古漢語の段階で、ワ行拗音をもっていた漢語」にしぼって、語彙資料を採集することにしました。
先行研究資料が見当たらないまま、手さぐり状態で語彙採集をすすめましたが、予想以上に多数のワ行音が存在していることが分かりました。そこで今回は、(ue, uei, uoなどの音形は後まわしにして)まずua, iua 音をもつものにしぼって採集・調査することにしました。わたしの能力不足で、採集もれになったものも多数あるかと思いますが、すでにかなり大量の「ワ行拗音の漢語」を採集することができました
以下、基本的に『学研・漢和大字典』の解説にしたがい、「日本漢字音・漢字・原典記載㌻・上古音・現代音・意味用法」の順で表記します。ただし、各項*印以下はイズミの私見。また、漢字の上古音~現代音にかんする解説はこの辞典だけらしいので、参考までに記載㌻を付記しました。
dhiuar…ツキデル・タレル・マガル、輪の姿になる。
スイ垂272 dhiuar> chui 垂れる。*稲・麦などの穂が垂れる姿。ワ[輪]の姿になる。
スイ睡898 dhiuar> shui. 眠る。眠り。*上マブタが垂れる。
スイ陲1423 dhiuar> chui. ほとり。さかい。大地のはて。辺境の地。*垂れさがる姿。
ダ唾237 t‘uar> tuo. ツバ。ツバをはく。*ヨダレが垂れる姿。
スイ錘1383 diuar> dui.ハカリのオモシ[重石]。*タル[垂・足]、タラス[垂・足]姿。
ズイ瑞842 dhiuar> rui ①しるし。形のよい玉。②めでたい兆候。
duan …タチキル[断切]、ワギリ[輪切]にする姿。
ダン段694 duan>duan. ①きざはし。階段。②等級。段階。③テダテ。手段。*トントンと上から下へおりる姿。
ダン團260 duan> tuan. ①まるい。まどか。②円形のかたまり。
デン傳57 duan> chuan. ①伝わる、伝える。②つたえ。③つたえられた古い書物。伝記・駅伝。
ダン断579 duan>duan. ①たつ。上から下へ、ずばりとたちきる。②たえる。③さだめる。⇒断乎・決断。
duat …ワ・ワクからツキデル。ワクAからワクBへワタル姿。
ダツ奪duat> duo. うばう。ぬきとる。
nguar …人が伏せて、半円形(輪型)になる。
ガ瓦847 nguar>wa. かわら。*梵語kapalaの音訳から。
ガ臥1073 nguar>wo. 伏す。うつ伏せになる。*目だけ上を向く姿。
hiuad…左右両足でカコム・マモル姿。
エイ衛1172 hiuad>wei. まもる。まもり。*ワ・ワクをアテ[当]、安全に保つ。
hiuag…点(ウ)や線(イ)からア・ワ(輪)に変身する姿。
ウ于35 hiuag>yu. ①ああ。わあ、ああという嘆息の声。②ここに。③~において。
ウ吁209 hiuag>yu. ああ。ワっという嘆息の声。擬声語。
ウ芋1089 hiuag> yu. いも。*まるく、おおきい姿。
ウ宇348 hiuag> yu. ①いえ。大きい屋根のような大空におおわれた世界。宇宙。
ウ雨1444 hiuag> yu. ①あめ。②あめふる。③うるおす。
ウ羽1032 hiuag> yu.①鳥のはね。②矢につけたはね。*2枚のハネが鳥の体をおおう姿。
hiuang…①水がワッとワキデルさま。②事物が空間的にひろがり、時間的につづくさま。
オウ王832 hiuang> wang. ①きみ。②皇帝の親族。③尊称。「大+一印[天]+一印[地]」の会意モジ。
オウ旺592 hiuang> wang. さかん。*四方に光を放つさま。
オウ汪711 ・uang>wang. ①水がひろがるさま。また、ゆたかなさま。②u型にくぼんだ大きな池。
オウ往441 hiuang>wang. ①いく。ゆく。②過ぎ去る。死去する。③過ぎ去ったこと。
ケイ兄103 hiuang> xiong. あに。*頭の大きい子を描いた象形文字。
エイ永706 hiuang> yong. ①ながい。ながくする。②とこしえに。*水流が曲がりながら長く伸びるさま。
エイ泳1209 hiuang> yong.①歌う。歌。②詩歌をつくる。
hiuat…ヒモ(イの姿)を曲げてワ[輪]をつくり、その縁を伝って此岸から彼岸までワタルわざ。
エツ越hiuat> yue ①こえる。②ぐっとはみ出てきわだつ。③遠くへだたっている。④ぐっとつまずく。*エツ[越]は、「走+ 音符戉マサカリ」の会意兼形声モジで、からだをかがめ、ぐっと足をひっかけ、のりこえる・ワタル姿。
huad…ワ[輪]の中にはいる。また、輪の姿になる。ワ・ワクの役割=ワタル・ワタスこと。
カイ会53 huad> hui. ①あつまり。②あつまる。③あう。対面する。④あう。物事に出くわす。⑤たまたま。⑥かならず。
ワ話1219 huad> hua ①話す。②はなし。③ことば。言語。*たがいにコトバをワタス。
huak…ワ・ワクの中におさめる、ワケル[分・別]姿。
ワク穫948 huak>huo. ①かる。とる。②えもの。カクとも。
ワク獲828 huak>huo.①える。②えもの。収穫物。カクとも。
カク廓424 k’uak>kuo. ①くるわ。②とりで。③ガランと中空になったさま。
ゴ護1240 huag>hu. まもる。まもり。ワ・ワクでカコム・ワケル[分・別]姿。
huan…ワ[輪]の姿になる。
ガン丸23 huan>wan. たま。まるい。まるめる。まる。*人が体をまるめて。しゃがむ姿。
カン桓645 huan> huan. ①漢代、宿場のしるしとして周りにたてた木。②棺を墓穴におろすために四すみに立てる柱。*ぐるりをトリマク、かこむ。ワ[輪]の姿。
カン還1339 huan> huan. ①かえる。②ふりかえる。③かえす。④めぐる。めぐらす。
カン環845 huan> huan. ①たまき。ワ。②めぐる。まわる。④もどる。
カン宦356 huan> huan. ①つかさ。②つかえる。③去勢された男で、宮中の奥御殿につかえた者。*ワ・ワクの役割。
カン緩1010 huan> huan. ①ゆるい。②(輪の締めつけを)ゆるめる。
カン奐 316 huan> huan. ①あきらか。②かえる。*腹の中から胎児をとり出すさま。
カン換 541 huan> huan. かえる。かわる。*ワ・ワクをとりかえる。⇒換骨脱胎。
カン患473 huan> huan. ①うれえる。②わずらう。③うれい。わずらい。
カン喚240 huan> huan ①よぶ。ワイワイ喚く。②よぶ。人に声をかける。
huang…黄いろいヒカリの輪がフワフワ広がる姿。
コウ黄1549 huang> huang. ①きいろ。②きばむ。*もと、火矢の光が広がる姿。
コウ晃599 huang> huang. ①ひかる。あきらか。②ひかり。
コウ皇881 huang> huang. ①きみ。偉大な王。②かみ。上帝。③おおきい。
コウ篁967 huang> huang. ①たかむら。大きく広がった竹やぶ。
オウ横667 huang>heng. ①よこ。わきにはみ出た線。②東西または左右の線。③横たえる。④ワクをはみ出る。
huar…ウ(点)音からア(輪)音に変化する(ワッとワキデル)姿。
カ化168 huar> hua. ①かわる。②天地自然の変化。③接する人の心や生活ぶりを変える。④ばける。
カ貨1252 huar> huo. ①さまざまのものにかえることのできる金銭。②財貨。③荷物。④まいないする。
カ踝1278 hua> huo. ①くびす。くるぶし。②はだし。*まるい形。
カ禾929 huar>he. ①あわ。②いね。③科本科植物、または穀物の総称。
カ和227 huar> he. ①やわらぎ。②いっしょに解けあったさま。③やわらぐ。なごむ。④なごやか。⑤声や調子をあわせる。⑥プラスする。
カ禍926 huar> huo. ①わざわい。②わざわいする。*落とし穴(ワナ)にはまる姿。
huat…水がワッとワキデルさま。
カツ(クヮツ)活728 huat> huo. ①いきる。②いかす。③くらす。くらし。③水が勢いよく流れるさま。④いきいきしたさま。
kiuan…イの姿からワの姿へ。AがBをキル[切・着]・ウガツ[穿] 姿は、(視点を変えれば)BがAをマク[巻]姿。
カン巻402 kiuan> juan. ①まく。②まき。③単位(書画の数)。
ケン券143 k’iuan> quan. ①手形。②印紙やきっぷ。*ひもで巻いて保存する手形。
ケン捲534 kiuan> juan. ①まく。②背をまるく曲げ、苦労して行う。
ケン絹1002 kiuan> juan. きぬ。ケン[繭・巻]などと同系。*カイコのマユの姿。
セン穿946 k’iuan> chuan. ①うがつ。穴をあけて、糸を通す。②通り抜ける。③衣を着る。
カン勧164 k’iuan> quan. ①進める。口をそろえ、または、くり返してすすめる。②進める。仕事やよい案に従うように力づける。
kiuat…エグル・ケヅル・カットする姿。
ケツ缺678 k’iuat> que. ①かく。かける。えぐりとる。②かける。たりない。③かけめ。
kag…ワッとヒロガル・ヒロゲル姿。
コ胯1060 k‘uag>ku. ①また。②またぐ。*両足を大の字にひらく姿。
コ跨1276 k’uag>kua. ①またぐ。わたる。②またがる。③また。
コ袴1179 k’uag>ku. ズボンのように、マタが分かれた衣服。
コ誇1215 k‘uag>kua. ほこる。ほこり。おおげさにいう。
カ瓜846 kuag>gua. うり。まるくて、割れば中がくぼんでいるうり。
kuan…ウ音の口形からア音の口形にナル。そのナリモノ。また、ツラヌク姿。
カン冠124 kuan> guan. ①かんむり。②冠をかぶる。*ワ[輪](中空の姿。
カン官351 kuan> guan. ①つかさ。②おおやけ。③役人になる。④人体いろいろな役目をする部分。政府の官職。
カン館1492 kuan> guan. ①やかた。②やど。③公用に使う大きな建物。
カン棺653 kuan> guan. ひつぎ。
カン管964 kuan> guan. ①管楽器。穴があいている笛。②くだ。③つかさどる。④ワクをはめてまとめる。
カン菅1111 kuan> jian. 草の名。かやの一種。
カン灌782 kuan> guan. 水をそそぐ。*水がまるくウズ(ちいさなワ[輪])をなして流れこむ姿。
カン寛365 k‘uan> kuan. ①ひろい。②ゆるやか。③くつろぐ。④ゆるす。
カン盥888 kuan> guan. ①てあらう。②たらい。*まるくくぼむ、ワ・ワナの姿。
カン祼925 kuan> guan. 酒をそそぎ、神の降臨を祈る儀式.古訓ハタカ。
カン毌697 kuan> guan. つらぬく。まるい子安貝を、横線一印で貫くさまを示す会意モジ。
カン貫1253 kuan> guan. ①つらぬく。②趣旨や意味が、ひと筋にとおる。③なれる。
カン慣489 kuan> guan. なれる。*ワ[輪」の中をツラヌク姿。
カン関1405 kuan>guan. ①かんぬき。②とざす。③せき。④物と物とのつなぎ目のカラクリ。⑤かかわる。
カン串23 kuan> guan. ①つらぬく。②うがつ。*貫・慣と同系。
kuar…ワ[輪]の姿をもつかたまり。ワリコム姿。また、輪の中につつみこむ姿。
カ冎122 kuar>gua. えぐる。まるく穴をあける。くりぬく。カ[渦・蝸]・カツ[滑]と同系。
カ鍋1386 kuar>guo. なべ。
カ蝸1158 kuar> wo. かたつむり。*まるいウズマキの姿。
カ果632 kuar> guo. ①くだもの。②結果・因果の果。③はたす。*木の上にまるい実がなったさま。
カ菓1111 kuar> guo. くだもの。
カ裹1183 kuar> guo. ①つつむ。②つつみ。
カ窠948 k‘uar>ke. ①す。②あなぐら。*まるいネグラ。
カ課1224 k‘uar>ke. ①こころみる。②官吏登用試験。③学業・仕事・税の義務としての割り当て。
カ顆1475 k‘uar>ke. ①つぶ。まるい頭。③土のかたまり。
カ過1325 kuar> guo. ①すぎる。②度をすぎる。②すごす。④あやまつ。あやまち。
カ戈500 kuar> ge. ほこ。敵をひっかけて、カギ型にエグル武器。
kuat …キ[杵・木]をアテル、ククル、ケヅル姿。カタカタ・ガタガタ・ゴトゴトなど、音がやかましい。
カツ括525 kuat> kuo. くくる。結んでたばねる。
カツ刮142 kuat> gua. ①けずる。えぐる。②えぐり取るように、財物をとりたてる。
カツ聒1045 kuat> kuo. ①口でガヤガヤ・ワイワイとさわぐ。②かまびすしい。やかましい。
カツ闊1409 k‘uat> kuo. ①ひろい。②はるか。③ゆるい。ゆるくする。*ヒッカカルものをケズリながら、水が勢いよく流れる姿。
ケツ抉513 kuat> jue. ①えぐる。②ゆがけ。矢を射るとき、指先にはめるカギ型の道具。
ケツ決711 kuat> jue. ①川の水が堤をコ型にえぐって切る、さける、切れる。②きめる。きまる。③きっぱりと覚悟をきめる。
ケツ玦835 kuat> jue. おびだまの一つ。コ型のワ[輪]の姿。
ケツ訣1208 kuat> jue. ①わかれる。②きっぱりと、ひと言でいいきった秘伝。
ngiuat…カドの部分がカット(カチワル・カツ[割]・cut)され、のこった部分。
ガツ(グヮツ)月615 ngiuat> yue. ①月。まるくえぐったようにかける月。②一か月。*[月]は、三日月を描いた象形モジ。まるくえぐったように、中が欠けている月。
nguad…ケヅル[削]・エグル[抉]姿。
ガイ(グヮイ)外296 nguad> wai. ①そと。ほか。②遠い地方。③そとにする。*[外]は、「卜(うらなう)+
音符月」の会意 兼形声モジで、月のかけ方を見て占うこと。月がかけて残った部分、つまり、外側の部分のこと。
thiuat…ワ・ワクでトリおさえ、ワキ・ヨソのものから解き放す、ワケル作業。
セツ説1221 thiuat> shuo. ①コトバで説きあかす。②しばったものを解きほぐす。
tuat…ワ・ワクからツキデル姿。
ダツ脱1063 t’uat> tuo. ①ぬぐ。②ぬけ出す。
・uak…ワ[輪]・ワク[枠]でカコム・ワク・ワケル[分・別]姿。
ワク攫828 huak>huo. ①える[得]。②えもの(輪・枠の中にトリワケずみ)。カクとも。
・uan…まるく曲がる。ワ型のナリモノ
ワン腕1066・uan>wan.うで。まるく曲がるところ。中国では、おもに手首のつけね。
ワン碗912・uan>wan. まるく曲がった木製の容器。
ワン椀657・uan>wan.まるく曲がった木製の容器。
ワン湾761・uan>wan.①くま。まるく曲線をなしてくぼんだ水辺。②いりえ。③まがる。
・uar…まるく輪型にくぼむ姿。
カ窩949・uar>wo.あな。むろ。あなにかくしこむ。カ[冎]は関節の姿。
カ・ワ渦754 ・uar>wo. うず。うずまき。カ[鍋・蝸]と同系。
・uat…ワ・ワクをアテル・メグラス・ワタル・ワタス姿。
アツ斡578 ・uat>wo. めぐる。めぐらす。*アツ[斡]は、「斗(北斗七星)+ ケン[乾]の略態」の会意モジで、北極星を中心に北斗七星が円を描いてめぐることを示す。ケン[乾]は、日が高く登るように高くあがった旗を示す会意モジで、太陽や天をあらわす。また、カワク[乾・干]意を含む。アッセン[斡旋]は、「①めぐり歩く。②両社の間に立って、世話する。取り持つ」の意。つまり、ワタル・ワタス姿。
a-a音の英語
『アメリカの遺産・英語辞典』フロク、「インド・ヨーロッパ語の語根と派生語」の中から、ワ行拗音関連項目を一部紹介します。語根・基本義・派生語の順に表記します。日本語訳および各項*印以下は引用者。
wal- (to be strong強い) valid正当な, value価値, avail役立つ,
valor武勇, prevail普及している, wield権力を振るう.*ワ[輪]をふるってワリコム、ワケル(ワケマエをとる)姿。
we- (we) we我々。*⇔ワ[吾]。
webh-
(to weave) weave織る.編む, web織物・編物, waferウエハース, waffleワッフル, wave波,
wobbleよろめく。*ワ[輪]の姿になること。織物・編物はワ[輪]の集合体。 ⇔ワブ[侘](ガッカリ・ガックリ、うなだれて、ワ[輪]の姿勢になる)。
wed-¹
(water水, wet湿気) water, wet, wash洗う, winter冬, whiskeyウイスキー, vodkaウオッカ。*waterは「wa + ter」の語音構造で、「ワ型のテ[手](ツク・デル・トルもの)」の意。固体・液体・気体と変身し、宇宙のスミズミまでシミワタル存在。また、すべての生物の根源でもある。⇔ワタ・ワタル・ワタス。
wed-²
(to speak話す)
comedy喜劇, melody旋律, parodyもじり詩文, rhapsody狂想曲, tragedy悲劇。*コトバのワ[輪]がワッとデル、ワキデル姿。
weg-
(to be strongつよい, be lively生き生きしている) wake¹起きる, waken起こす, watch見守る,
wait待つ, vegetable野菜, vigor活力, vigil徹夜。*ワキのものをカキワケ、ワキデル・ワカレル姿。⇔ワク[湧・沸・枠]・ワカ[若]・ワキ[脇・湧]・ワケ[分・別]。
wegh-
(to go行く,
translate運ぶ in a vehicleクルマ)
weigh¹重さを計る, weight重さ, way道, always常に, awayあちらへ,
wagon四輪車, vogue流行品, vehicle,
via~経由で, voyage航海, convey運ぶ。*シナモノの重さを計り、重量別にシワケル。そのワク[枠]にあわせて、ハコ・クルマ(ハコモノ)・ミチを整備し、効率的にハコブというシステムづくりの中で生まれたコトバ。 ⇔ヰ[韋・違・圍・偉・位]。
wei-
(to turn回す,
twistよじる) wire針金, ferrule石突, vise万力。*マガル・マゲル姿。
weid-
(to see見る)
guide案内する, wise賢い, wisdom知恵, idolアイドル, wit機知,
view視覚, visa査証, vision見えること, interviewインタビュー, provide提供する、review見直し, idea考え, history歴史, story物語,
penguinペンギン。*カキワケ見る姿。
weik-¹
(clan氏族)
village村, ecology生態学, economy経済。*ワク・ワカレル・ワケル姿。
weik-²
(to bend曲げる,
wind曲がる) wicker枝編み用の小枝, weak弱い, week週。*前項と同源。
weik-³
(to fight戦う,
conquer征服する) victor征服者, evict追い払う。*オシワケル姿。
weip-
(to turn回す)
wipeこする。ふく, whipムチ, vibrateふるえる。*ワの姿になる。ワナワナ・ワナナク、フルエル、ビビル姿か。⇔ワブ[侘]。
Wekw- (to speak話す) vocal声の, voice声, vowel母音, vocation職業。*ワキデル姿。
wel-¹
(to wish望む,
will~しよう) well²都合よく, wealth財産, will¹意志, will²~しよう。*ワキデル姿。
wel-²
(to turn曲がる)
roll転がる, waltzワルツ, willowやなぎ, walk歩く, well¹井戸,
wallow転げまわる, revolve回転する,
valley谷間。*ワ・ワル・ワレル姿。また、ワがコロガル姿。Walk, waltzは、輪型のワク(枠・コンパス)で、地面をワル・ワケル(=アルク)姿。⇔アルク[歩]。
wer-²
(to turn曲がる,
bend曲げる) inward内側へ, worth価値がある, version翻訳, convert変える, worry心配する,wringひねる,
wrong正しくない, wrestleねじ倒す, wrapくるむ, rhapsody狂想曲, worm虫。*ワ・ワル[割・悪]・ワレモノ・ワルモノの姿。⇔ワル[割・悪]・ワラ[藁]。
wer-³
(to perceive気づく,
watch見つめる), wary注意深い, aware気づいて, steward給仕長, rewardほうび, guard見張る, panoramaパノラマ。*ワル・ワレル・ワケル・ワカル姿。
wer-⁴
(to coverかぶせる)
weir堰, cover, garage車庫。*カブル・カブセル・カバウ姿。⇔カワ(カハ)[河・川・皮・側]。
wer-⁵ (to
speak話す) word語, verb動詞, verve詩,
adverb副詞, proverb。*ワル・ワレル・ワレモノの姿。
werg-
(to doする) work働く, allergyアレルギー, energyエネルギー, organ機関。*ワル[割]・ヱル[彫]・ヲル[折]・オル[織]などの作業を表わす語音か。やがて成果をエル[得]ことができる。
werse-
(to confuse) war戦争, guerrillaゲリラ, worseより悪い, worst最悪の。*ワル・ワレル・ワルモノ・ワレモノの姿。
まとめ
ここまで、ワ行拗音を中心に漢語・英語の拗音語を採集し、日本語(ヤマトコトバ)との音韻比較資料づくりの作業をすすめてきました。英語音については、先行研究資料「インド・ヨーロッパ語の語根と派生語」(一覧表)が公開されているので、その中から該当する用語を採集させていただきました。その点、漢語や日本語については、「日本語(もしくは漢語)の語根と派生語」(一覧表)と呼べるような先行研究が見あたらないので、自己流で作業をすすめ、かなりのテマ・ヒマがかかりました。漢語のワ行拗音については、音形とその意味用
法との対応関係から見て、もうすこしすっきりした分類法にしたかったのですが、学習不足のため、まだまだ未熟なままご覧いただくことになりました。おゆるしください。
それでも、いくつかあらたな発見がありました。漢語についていえば、今回採集した漢語の上古音はすべて母音ua(もしくは iua)をもっています。そして、その音形が表わす意味(事物の姿)を考えてみると、「①(水・空気などが)ワッと、ワキデル姿。②ua音を発声するときの口形が変化する姿。③ワ・ワク・ワナなど、円形もしくはカタマリ (点や直線ではない) の姿」などをあげることができます。
「そんなことぐらいは常識だ。いまさら議論する必要はなかろう」といわれるかもしれません。まさにそのとおりで、コトバの「意味」は,そのコトバの音形が本来もっている「基本義」によって決定されるものであり、これは日本語・漢語・英語を問わず、「コトバの音形とその意味との対応関係」にかんする基本原理だと考えてよいでしょう。
ところが、日本の大学や研究所では、この「常識」や「基本原理」はわすれられているようです。語法・文法面での「外国語との比較研究」は花ざかりですが、音韻面からの比較研究はほとんどゼロの状態がつづいています。インド・ヨーロッパ語にかんする研究水準にくらべて、日本語や漢語にかんする音韻面での比較研究は、すくなくとも数十年遅れていると思います。表意モジ漢字の便利さに気をとられ、漢字の字形をおいかけまわすうちに、「コトバは「口で話し、耳で聞くもの」という常識(=基本原理)をはずれてしまった状態がつづいています。まずは研究者たちに、問題点を自覚していただきたいのですが、これがまたかなりの難題です。
英語については、「インド・ヨーロッパ語の語根と派生語」(一覧表)の中から採集しましたが、wa-型語根はwal-1例だけで、あとはすべてwe-型という結果になりました。このことについては、日本語の造語法の原則として、「母音アとエは相互交替の関係にあり、意味は変化しない」とされていることを思いだしました。「母音aとeの交替関係」という原則は、日本語だけでなく漢語や英語の造語法にも共通してみられる原則ではないいか?そう考えることにしました。
日漢英のワ行拗音を採集・比較する作業の中で、いちばんの収穫は、日本語ワタ・ワタル・ワタスなどの語音が英語water, wetなどの語音と対応関係にあるらしいと気づいたこと。
さらには、漢語音の中でも同様な感覚をもつ語音が多数成立しており、とりわけアッセン[斡旋]などのアツ[旋]・uat>woがその代表格で、インド・ヨーロッパ語と日本語(ヤマトコトバ)との対応関係を斡旋したことの証言かもしれないと気づいたことです。
いまのところはまだイズミ個人の「妄想」として無視されるかもしれませんが、アツ[斡]の意味用法は比較的明快なので、このあと考古学・歴史学の資料とつきあわせることで、この用語が成立した絶対年代を特定できるかもしれません。「ワタル・water・アツ[斡]」などの語音が「東洋と西洋にワタル言語交流」の存在を証明できるかどうかの判断資料が出てくることを期待しています。
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