『古事記』を読む会 10/6
夢の平のコスモス、A 10/10
夢の平のコスモス、B 10/10
夢の平のコスモス、ℂ 10/10
國から賞状と銀杯 10/25
ヒヨコ釣り 10/29
お堀まで散歩 10/31
『古事記』を読む会
10月6日(日)午前、茶屋町豊栄稲荷神社で開かれた「『古事記』を読む会」に出席しました。この日のテーマは「欠史八代」。服部往雄さんがレジュメ(A4判3㌻)を準備し、「欠史八代」の問題点について解説されました。
「欠史八代」とは、『古事記』・『日本書紀』において系譜(帝紀)は存在するが、その事績(旧辞)が記されない第2代綏靖天皇から第9代開化天皇までの8人の天皇のこと、あるいはその時代を指す。
8人の天皇たちの実在を疑問視する説を初めて提唱したのは、津田左右吉である。津田の初期の説では、それに次ぐ崇神~仲哀天皇・神功皇后をふくめ、「欠史十三代」を主張していた。津田は不敬罪として提訴され、1942年に有罪判決を受けた。
しかし、その後の研究で崇神以降の実在性が強まり、現在の歴史学では2代から9代までの実在を疑う「欠史八代」説が主流となっている。
欠史八代の天皇
綏靖天皇・神惇名川耳天皇(かむぬなかわみみのすめらみこと)
安寧天皇・磯城津彦玉手看天皇(しきつひこたまてみのすめらみこと)
懿徳天皇・大日本彦耜友天皇(おおやまとひこすきともすめらみこと)
孝昭天皇・観松彦香稲天皇(みまつひこかえしねすめらみこと)
孝安天皇・日本足彦國押人天皇(やまとたらしひこくにおしひとのすめらみこと)
孝霊天皇・大日本根子彦太瓊天皇(おおやまとねこひこふとにのすめらみこと)
孝元天皇・大日本根子彦國牽天皇(おおやまとねこひこくにくるのすめらみこと)
開化天皇・稚日本根子彦大日日天皇(わかやまとねこひこおおひひのすめらみこと)
非実在と考える根拠は以下の通り。
これら八代の天皇は古代中國の革命思想である辛酉革命に合わせることで、皇室の起源の古さと権威を示すために偽作したという推測がある。辛酉とは、干支の一つで、中国では革命の年と考えられ、古来より21回目の辛酉の年には大革命が起きるとされてきた。那珂通世は、聖徳太子が政治を始めた601年が辛酉の大革命の年であるため、『日本書紀』の
編者がそれに合わせて、神武天皇の即位紀元を算出したと『上世年紀考』(1897年)で提唱した。現在の歴史学会では、この那珂の説が定説となっている。
2~9代に限らず、古代天皇たちの寿命が異常なほど長い。たとえば神武天皇は『古事記』では137才まで生きたと記されており、このことは創世記の天皇たちが皇室の存在を神秘的に見せるために創作されたことを示唆している。
『日本書紀』における初代神武天皇の称号『始馭天下之天皇』と10代崇神天皇の称号『御肇國天皇』はどちらも「ハツクニシラススメラミコト」と讀める。本来は崇神が初代天皇だったが、「帝紀」[旧辞]の編者らによって神武とそれに続く八代の系譜が付け加えられたと推測される。また、神武の称号の「天下」という抽象的な語は、崇神の「国」という具体的な語と違って、形而上的な概念であり、やはり後代に創作された疑いが強い。
すべて父子相続となっており、兄弟相続は否定されている。皇統の歴史を古く見せかけるために、兄弟相続など同世代間での相続を否定したと考えるべきである。
陵墓に関しても、欠史八代の天皇には矛盾がある。第10代崇神以降は、多くの場合祖の陵墓所在地には、考古学の年代観とさほど矛盾しない大規模な古墳がある。だが第9代開化以前は、考古学的に見て攻勢に築造された古墳か、自然丘陵のいずれかしかない。
魏志倭人伝には、倭人は長命で、「その俗正歳四節を知らず。ただ春耕秋収をはかり年紀となす[其俗不知正歳四節但計春耕秋収為年紀]」と記されていることから、記紀の記載の天皇の寿命は疑いがある。
明快に解説していただき、よい勉強になりました。ありがとうございます。せっかくの機会なので、ピントはずれかもしれませんが、わたし個人の感想を記します。
第2代綏靖から第9代開化まで、八代の天皇が実在しなかった疑いがつよくなりました。そうなると、『古事記』の中の「八代の天皇にかんする記事」は、まったくのナンセンスということになるのでしょうか?かならずしも、そうともいえない感じがします。もとになる「記事」があったからこそ、「欠史八代」(津田説)という「歴史事実」が発見されたのですから、その意味では重要な研究資料を提供する「記事」だったといえます。また、「八代にわたる天皇の存在」はユメと消えましたが、八代の天皇の称号から、当時の人たちが「天皇」に対して寄せていた「ユメ・イメージ・人間像」みたいなものが残されたように思いますが、どうでしょうか?
長ったらしい称号ですが、その内容を分析してみると、ざっとひろっただけでも、つぎのような語音をでふくんでいることが分かります。
オシ[押]・オホ[大]・カハ[川]・カム[神]・カヱ[香殖]・クニ[國]・クル[牽]・シキツ[磯城津]・シネ[稲]・スキ[耜]・スメラミコト[天皇]・タマ[玉]・タラシ[帯]・テ[手]・トモ[友]・ヌナ[氵+亭]・ネコ[根子]・ヒコ[彦]・ヒト[人]・ビビ[日日]・フトニ[太瓊]・ミ[看]・ミマツ[観松]・ミミ[耳]・ヤマト[日本]・ワカ[稚]。
ごらんのとおり、さまざまな分野にわたる用語ですが、これを【「鉄器」スキ[鋤]による稲農耕を推進=日本列島改造】というテーマに当てはめてみれば、どれもこれも重要な用語ばかりだということが分かってくると思います。「ウソからでたマコト」ということわざのとおりですね。
「欠史八代」の長ったらしい称号は、歴史事実としては「ウソ八百」でしたが、そのおかげで、当時の人たちがユメ見ていた「天皇像」(政治権力者への期待)の実態を21世紀のわたしたちがかいま見る資料がのこされたということでしょう。それにつけても、まずはその日本語そのものについて、「どんな語音が、どんな意味(事物の姿)を表わすのか」基本的な原理・原則に照らしてチェックしてとりくむことが必用かと思います。具体的な用語例について説明したかったのですが、あまり「長ったらしく」なるので、とりやめます。ごめんなさい。
補聴器試着
10月10日(木)午前、加納耳鼻科医院で補聴器を試着。補聴器の効果については、これまでさまざまな評判を聞かされ、まよっていたのですが、Mioriさんがいろいろ情報を集めてくれた結果、この日、加納耳鼻科で業者の説明をうけ、仮の補聴器を着用することになりました[イ1] 。思ったより小型で単純な感じ。聞こえなくなっていた小さな音がひろえるようになったこともたしかです。購入するかどうかは、一週間試着したあとで決定します。
夢の平コスモス・ウオッチング
補聴器試着まで順調に作業がすすみ、お天気も絶好の秋晴れ。気分転換のため、Mioriさんのクルマで砺波「夢の平コスモス・ウオッチング」会場まで足をのばすことになりました。会場の施設がどうなっているか、くわしいことがわからないまま、途中コンビニでサンドイッチ・おにぎり・いなりずしなどを準備して、会場をめざします。
会場へ到着。案内のチラシをもらい、休憩所のテントの片すみで一服。まずは、持参した弁当をひろげて腹ごしらえ。あわせて、会場全体を観察します。冬はスキー場となる斜面一面にコスモスが植えられ、みごとな「ユメの世界」が演出されていました。コスモスは[秋桜]と書かれることもあります。コヨミの上ではまちがいなく秋ですが、まるで春の花見の席にまよいこんだ気分にされてしまう。ユメを見させてくれる場=「夢の平」です。
チラシによれば、土日や祝日にはさまざまな行事が組みこまれ、リフトも運行されるとのこと。そうなると、たいへんな混雑ぶりになることでしょう。それにくらべれば、きょうの方がしずかに花を楽しむことができるので、ラッキーだったと思います。
腹ごしらえができたところで、いいよコスモス・ウオッチング開始。Mioriさんが案内所からクルマいすをかりてきて、乗せてくれました。わたしの記憶では、コスモスは人間の腰の高さくらいのはずでしたが、いざ実際に花ばたけに来てみると、ほぼわたしの背たけほどの高さなのでビックリしました。立ちあがって、スマホの画面をのぞいてみて、シャッターを切るまでに時間がかかりました。自分の頭の中にもっていたイメージと画面に写しだされた映像とが一致してくれなかったからです。一段高い視点から、一面にひろがるコスモスを見おろす感覚の画面をとりたかったのですが、いまの自分にはムリだったようです。クルマいすに乗ったままシャッターを切れば、それこそ「いちめんのコスモス=満天の星」のイメージの作品となるでしょう。とにもかくにも、いろんなユメを見せてもらった一日でした。
アロマ・ケア
10月15日(火)午後、自室でアロマ・ケアをうけました。ベッドでのケアに先立ち、特製の「足湯装置」がもちこまれ、腰かけの姿勢で20分間、足をあたためます。そのあと、ベッドでアロマ・ケア。前回はウツブセの姿勢でしたが、今回はアオムケのままだったので、それだけ楽な気分でした。なんという名の香水かもわからないまま、ただボケーとして天国をさまよっている感じ。そして、たちまち40分のケアが終わりました。そのあと、ヒザから下が一段と軽くなった感じがしたのもたしかです。
ただし、アアロマ・ケアは「医療行為」ではないので、これで左右の足指のシビレという症状がなくなるという保証は一切ありません。患者が病気をなおそうとして「ワラにもすがる」気もちになるのもアタリマエ。そして、「現実はキビシイ」というのもアタリマエなんですね。
補聴器購入を決定
10月18日(金)午後、加納耳鼻科で業者と再会。試着して1週間、ほぼ順調に経過したことから、購入することに決定。次回、25日にテスト用から新品の「マイ補聴器」に切りかえの予定です。
10月25日(金)。9:30~入浴。一番ブロに入れていただきました。11時に加納耳鼻科へ。先日から補聴器を試着していましたが、ほぼ順調に経過しましたので、この日、正式に購入契約をすませました。軽量・小型で、使い方も簡単そうなところが気にいっています。1週間か10日ぐらいで電池交換が必要とのことなので、自分でうまくやれるか、すこし心配ですが、なんとかやってみましょう。
國から「賞状」と「銀杯」
加納耳鼻科を出たあと、富山市役所へ向かいました。長寿福祉課で、國から支給された「老人の日記念、令和元年九月十五日、内閣総理大臣」と記された「賞状」と「銀杯」を渡されました。職員の方が、イズミのスマホにその場面をおさめるというサービスぶりで、恐縮しました。なお、今回は国からの支給であり、このあとイズミが誕生日をむかえたときに、こんどは富山市からの祝い品が予定されているとのことでした。
メガネの強度が限界
耳鼻科をすませたあと、ついでに片山眼科医院へ向かいました。毎日パソコンにむかい、ワードでブログの下書きなどの作業をしていますが、字典で意味用法などをたしかめることがショッチュウあります。ところが、視力がおとろえてきたため、最近はメガネのほかに虫メガネをもちだし、それでも字形を読みとれない事態が続出。あせれば、あせるほど、目がつかれるだけ。あきらめて、ベッドによこたわり、しばらく目をつぶり、ツカレをほぐすほかありません。そんなわけで、このさいメガネを作りなおしたいとおもいました。
しばらくぶりで、各種の検査をうけました。しかし、さいごにわたしが「メガネの新調」を申しでたとき、医師からの宣告はショッキングなものでした。「いま使っているメガネが強度の限界です」
「あとは虫メガネにたよるしかない」となれば、どこの店へゆけばよいか、まよいましたが、とりあえず瀬戸文具店へたちより、そこで「3倍」と表示された虫メガネが見つかったので購入しました(これまで使っていたのは「2倍」表示)。これで「一件落着」となることを願っています。
故信子の月命日、お勤め
10月26日(土)。午前9時半から、1fで内科検診。10時半から、長念寺住職志田常無さんをお迎えして、故信子・月命日のお勤めをしていただきました。前日、市役所を通して国から支給された「賞状」と[銀杯]を信子の写真にそえて並べておきましたので、信子にとってよい供養になったと思っています。
ヒヨコつり
10月29日(火)午後、「機能訓練」のフロクとして、「ヒヨコつり」ゲームをしました。ヒヨコの頭のテッペンに磁石がとりつけてあり、つり糸の先に垂らしたつり針(磁石月)で、ヒヨコをツリアゲルという趣向です。ヒヨコの足うらに10点・20点・100点などの点数が書かれてあり、さまざまな楽しみ方ができるようです。
お城まで散歩
10月31日(木)午後、「機能訓練」の一環として、ホームの住人数人で、お城のあたりまで散歩にでかけました。絶好の晴天。暑くもなし。寒くもなし。風もなし。往復で1㎞そこそこでしょうか。2本のストックをついて、イッショケンメイにあるきました。ひさしぶりの歩行訓練になったと思います。
p-音の漢語・英語…日本語の系譜(第9回)
p-音の漢語
ヤマトコトバの語彙体系の中で、p-p2音節動詞がハフ[這]1語だけということが分かりましたが、意外でした。ハ行音ではじまる2音節動詞なら、ハク・ヒク・フク・ヘグ・ホク・ハム・ヒム・フム・ヘム・ホム・ハヌ・ハル・ヒル・ヘル・ホル・ハス・ヒス・フス・ヘス・ホス・ハツ・ハヅ・ヒヅ・ウツ・フツ・ブツなど、かなり多数成立しているのに、動詞がハフ1語だけというのはナゼか?フシギです。日本語だけの現象なのか?漢語や英語の世界ではどうなっているか、気になります。まずは漢語ですが、現代漢語にp-pタイプの音節そのものがありません。上古漢語では、たしかにp-p音タイプの音節が成立していたようですが、それも具体的には1個しか見つかっていません。『学研・漢和大字典』によれば;
ハフ[法]724piuap>fa
【意味】①のり。人々の生活を取り締まるために定めたわく。おきて。②のり。きまったやり方。③刑罰の定め。④模範。手本。⑤仏教の真理。⑥のっとる。手本としてのきまったわくに従う。【解字】「水+鹿・馬に似た珍獣+去(ひっこめる)」の会意文字。池の中の島に珍獣をおしこめて、島の中では自由だが、外に出られないようにしたさま。ひろく、そのような、生活にはめられたわくをいう。その語尾がm-に転じたのがハン[範]biamで、これもわくのこと。(規則の)ソク[則]もノリととよまれるが、これはs-k音タイプの語で、ソク[即]と同系。「くっついて、はなれられない」姿です。
ここまで考えてくると、わたしとしては「ワの系譜」(ワ・ワタ・ワタル・water)との関係が気になってきます。たとえば、日本語で「これは~です」「こんにちは」などといいます。この「ハ」は上代語の段階ではハphaと発音されていたものが、やがてワwa音に変化したのですが、もとの音韻感覚が21世紀現代まで生きのこっている感じの語音です。
それともう一つ。たとえば英語のstopperは「stop止める +
erひと」の構造で、stopの語尾子音をダブらせて表記するシカケになっています。日本語のハ行音の場合も、ハ[葉・歯・羽・端]は「p + a」。動詞フ[言・乾・干・嚏・経・歴]の基本形はフphuと表記されます。この場合、語尾母音の-uはゼロに近いのですが、カナ表記ではphuとphのチガイを表わすことができません。
ハ[歯・葉・端]・ハモノ[刃物・葉物]などのハは、かならずどれほどかのハバ[幅]をもつ存在であり、ハバといえば、広さを限定したワク[枠](ハイマワルバ[場])ということになります。また、ワク[枠]が「多数ある中から、特定の基準に合うものをトリワケル[取分]」姿であるように、ハク[吐・掃]・ハカ[①墓。②(ハカドルの)ハカ]・ハコ[箱]などのphak音は、ハク・ハグ・ハキダス・ハキトル姿(動詞)を表わす語音であり、やがてその語尾母音を-a, -oとすることによって、「ハギとったもの」の容器(名詞)を意味するようになっています。
つまり、この段階で、ハpha音はワwa音とならんで「ハの系譜」形成しはじめていたと考えられます。ただし、このハpha音自体がワwa音に変化したことで、事態が一変します。すでに「ワの系譜」が「ワ・ワタ・ワタル・water」をふくむ大規模な系譜に成長していたことから、もともと「ハの系譜」に属していたものがそっくり「ワの系譜」に合併・吸収された可能性があります。
そんなふうに考えると、話のツジツマが合ってくるようで、おもしろいテーマかと思います。ただし、まだ思いつき程度の仮説です。ご教示をおまちします。
p-音の英語
日本語でも漢語でも、p-音の系譜は意外なものでした。英語の世界では、どうなっているでしょうか?いつものとおり、「インド・ヨーロッパ語語根とその派生語」(一覧表)のなかから、関連項目をひろい、さぐってみます(各項、日本語訳および*印以下は引用者の責任)。
bha-¹ (to shineひかる) beaconかがり火, berry イチゴ類, banner国旗, photo写真,
fantasy空想, phase様相.*パッとヒカル・カガヤク姿。⇔(いないいない)バー。
bha-² (to speak話す) fableつくり話, fate宿命, infant赤ん坊, prefaceはしがき, abandon見捨てる, banish追い出す, phono-音声を表わすギリシア語系造語要素, symphony交響曲, confess告白する, blame責める.*パッとトビダス[飛出]、ベチャベチャしゃべる姿。
bha-bha- (broad beanそら豆) bean豆. *パッとトビダス[飛出]姿のナリモノ。⇔(イナイ・イナイ)バア。
bhau- (to strike打つ) beatブツ[打],
buttock尻, butt¹物の底部・基部・支持部,
buttonボタン.*ウツ・ブツ[打]姿。⇔ハpag巴・把ba(巴=バッとウツブセ[うつ伏]になる姿)。
bheue-
(to beある,
exist存在する, grow育つ) be, husband夫, booth仮小屋, build建てる,future未来,
neighbor隣人, beamハリ[梁]・ケタ[桁].*アリ[有・在]・ハベリ[侍]の姿。⇔ハベリ[侍]。
epi-
(near近い場所に, at~において, against~にさからって) epi-ギリシア語系造語要素。*アフ・アヒ[合・会・逢]の姿か。
op-
(to work働く, produce生み出す) opera¹オペラ, operate作動する, copiousおびただしい, copy写し.*オフ[負・追]・オス[押]の姿か。
pa- (to
protect守る, feed食物をあたえる) fodderまぐさ, furにこ毛,
food食べもの, feed, companion仲間,
company会社.*ハ[葉]をハム[食]ことで、育つ。ハ[羽]にくるまれて、育つ。仲間がフエル[増]。ナカマがアフ[会]マ[間]=バ[場]が会社。また、フワフワ(フハフハ・フハヤ)の場。⇔フハフハ。
papa-
(a childs word for “father”) papaパパ, popeとうちゃん.*パッとトビツク・ハリツク・ハイマワル姿。
pau-
(fewわずかの,
little小さい) few, paraffinパラフィン, poor貧しい, poverty小馬, encyclopedia百科事典.*ハシッポのわずかのスペースをハイズリマワル姿で採集した事項を集大成したものが百科辞典。
pe(i)-
(to hurt傷つける)
passion感情,
passive消極的な, patient患者.*ハ[歯・刃]・ハリ[針]で傷をツケル姿。
peie-
(to be fat太った, swellふくらむ) fat, pine¹松, Irishアイルランドの.
peu-
(to cut傷つける, strike打つ, stamp踏みつける)
account談話, compute計算する, count¹数える, pave舗道.*ハリ(=pin)を(道路に)ウチこむ姿(=pave)。コトバを口から空間へウチこむ姿(=count, account)。
peue-
(to purifyきれいにする, cleanseきれいにする) pure純粋な, purge清める, Puritan清教徒.*ヨゴレ・ホコリをホオリ[放]出す姿。
po(i)-
(to drink飲む)
potable飲むに適した, poison毒素, potion1回の飲み量, beerビール, symposium討論会.*ポイとホオリ[放]こむ姿。
pu-
(to rot腐る, decay低下する) foulよごれた, filthごみ,fuzzyケバ[毛羽]状の, pusウミ[膿].*ブツ(ウツ[打])、打たれてクタクタ・グタグタになる、あるいはケバ[毛羽]・ニコ毛状になることも。⇔フbiug腐fu.
まとめ
ここまで、ひととおり日漢英のp-音語の音形と意味との対応関係を見てきました。ただし、漢語については、p-p音語ハフ[法]piuap>faとp-n音語ハン[範]biam>fanをとりあげただけでしたから、これでは漢語p-音語全般にわたって議論する資料として不足です。やはり、テマ・ヒマかけて、p-k, p-n, p-r, p-tなどの語音について、ひととおり「語音とその意味との対応関係」をたしかめたうえで、議論をすすめるべきだったと思います。具体的には、およそつぎのような項目が考えられます。
① p-k(ハク[白・百・伯・拍・泊・迫・剥・博・薄]・フク[伏・扶・服・副・福・腹複])。
② p-n(ハン[半・判・反・坂・板・搬・凡・帆・氾・犯・範]・ヒン[品・浜・貧・頻・瀕]・フン[分・粉・紛・焚・噴・憤・糞]・ヘン[片・返・変・便・鞭・扁・篇・編・辺]・ホン[本・奔・盆・翻])。
③ p-r(ハ[巴・波・]ヒ[皮・彼・披・非・飛・罷・肥])。
④ p-t(ハツ[八・伐・抜・閥・発・鉢]・ヒツ[必・泌・筆]・フツ[弗・佛・拂]・ベツ[別・瞥)・ボツ[悖・勃]。
いまさら、すべての項目についてというわけにもゆきませんが、見本ていどということ
で、pak音語だけでも追加報告させていただきます。
たとえば漢語ハク[白]は、色彩の一種としての「白色」を表わすコトバとして通用しており、だれも異議がないようです。しかし、ハクphakという語音は、どうして「シロ」という色彩を表わすことになったのでしょうか?『学研・漢和大字典』によれば、「白…どんぐり状の実を描いた象形文字で、下の部分は実の台座、上半は、その実、柏科の木の実のしろい中みを示す」と解説されています。イズミ流の解釈は、さらに単純・気楽なものです。ヤマトコトバでも「ハカ[計・量・墓]・ハガ[芳賀]・ハク[吐・掃・著・帯]・ハグ[剥]・ハケ[刷毛]・ハコ[箱]」は、同系のコトバ。動詞ハクは、「ハ[歯・刃]
+ ク[来]」の構造で、「ハグ[剥]・ハキダス」姿を表わす。ハク[吐・掃]は、境界線をこえてハキダス姿です。ハカユクのハカ[計・量]やハカ[墓]は、動詞ハクの未然形兼名詞形で、動詞形サク[割・裂]と名詞形サカ[坂]の対応関係とおなじ。ハコ[箱・函]は、ハカ[墓]の語尾母音交替。ハキだし、ハギとったものをおさめるイレモノです。また、ハコの「身と蓋」は、もともと一体の素材であり、身の上部をすこしだけハギおとして、フタをうけ、もとの「一体」の姿をとりもどすようになっていました。
これとおなじ視点で観察してみると、漢語ハクphak[白・伯・拍・泊・柏・粕・箔・舶・迫・帛・剥・博・薄・簿・爆]についても、まったくおなじような感覚でコトバ(単語)が組織されている姿が見えてきます。まず、漢字ハク[白]の音形は「ハ(ハモノ)
+ ク(ル)[来・繰・刳]」の構造であり、基本義は「ハモノでクル・エグル・ハク・ハグ」姿であり、色彩としてのハク[白]は、派生義にすぎません。ドングリの実をハクと呼んだのは、その姿が「ハカマをハク」姿に見えたからと考えるほうが、実態に即しています。さらにいえば、ハカマは、「ハク[剥]もの」であり、漢語音ハクについても、ハとクに分解して基本義をさぐることができます。
ハ音の漢語としては、ハ[巴(パッと伏せる。腹バイ)・把(テノヒラを当てる。カブセル)・爬(虫が這ヒマハル)・波(カブサル水)・派(流れがワカレル)などがあり、ク音では、ク[九(両手の指を9本目まで曲げる。引き締める)・久(背が曲がった老人)・口(クチ・アナ)・工(上下二線の間にアナを通す)・弓(カラダを曲げる)・公(パッと開く)・古(祖先の頭蓋骨。ヒカラビ、カタイ)]などがあります。
ハク音のコトバが表わす意味とは、これら「ハ音・イ音がもつ基本義の総合」に限定されます。具体的にいえば、ハク[剥pluk]は「ハ[巴・派]+ ク[久・口・公]」、「水の流れがワカレル」、「パクパク・パクル・ハギトル」姿。字典では「物の表面がポロポロ・ハゲ落ちるさま」と解説されています。
ハク[白bak]は、ドングリの実の上半身が茶色ですが,ひと皮ハガス[剥]と、シロイ中身が出現します。また、それは「ハカマをハク[佩bueg」姿であり、ハカマの部分がハゲ[剥]茶色になっています。ハク[伯]は、「人+音符白」の形声文字。父と同輩の年長男子。ハク[拍]は、「手+音符白」の形声文字。ハク[搏]とおなじく、「テノヒラで打つ」姿。ハク[迫]は、「辶(足の動作)+音符白」の形声文字で、ぴたりヒッツクさま。
ハク[薄]は、「艸+音符フ溥」の会意兼形声文字で、草木が間をあけずにせまって生えていること。薄く(セマク)平らです。
【お詫び】
毎月2回はブログを更新したいと願っていましたが、ワードで原稿作成の段階で、トラブルがつづき、その願いもかないませんでした。申しわけありません。それでも、「これは~です」のハ音が、phaからwaに変化したことの意義を考えなおすきっかけが得られ、よい勉強になりました。
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