2011年3月1日火曜日

春遠からじ

アオサギ君、冬バージョン










「残照/老の讃歌」




アオサギ君、冬バージョン

冬になると、いたち川の散歩もあまりパッとしません。太陽のヒザシがおとろえ、木も草も鳥も鯉も、みんなくすんだ色ばかり。なかなかシャッターを切る気持になりません。

でもよく見ると、みんなそこに生きていました。カモ一家もアオサギ君もちゃんといました。どんなに寒くても、どんなに雪が降っても、負けずに生きぬいていました。「冬来たりなば、春遠からじ」です。


「残照/老の讃歌」
先日、東京にいる姪のるり子ちゃんから電話がありました。
「こんど母が本を出しましたので送ります」
そして翌日、さっそく宅急便で本がとどきました。
ハードカバーで、179ページ。タイトルは「残照/老の讃歌…安達とく子歌集」

わたしは短歌も俳句もやりませんので、上手・下手などの評論はできません。でも、万葉集などを読むのは楽しみですし、人さまから歌集や句集をいただくのもうれしいです。

まず、作者・安達とく子さんの略歴を見てびっくり。1917(大正6)年、新潟県生まれ。
わたしより3歳も年上で、歌集を出される心意気に敬服しました。
ひととおり読んでみて、作者の素直で率直な歌いぶりや、まわりの人たちへの思いやりをこめたマナザシに感動しました。
以下、わたしが共感をおぼえた作品など、いくつかご紹介させていただきます。

<序>
眼もかすみ記憶もおぼろになりたるに最後の歌集を思いつくとは
子や孫の助けを借りてまとめたる九十三歳この喜びは
仏壇にまず捧(ささ)げたりすこやかに我が残生(ざんしょう)の生きし証(あかし)を

<曾孫・孫ら>
赤ちゃんじゃないから抱っこは駄目だよと離れてゆきぬ彼の成長
背もスラリ二十歳(はたち)の孫の胸に抱く乙女あるらしほのぼのと聞く

<姑と嫁と息子>
良い嫁と人は言うなり ハイそうと 姑(しゅうと)の出来もなかなか良くて
遠慮なし それで互いに気を遣い 姑と嫁と息子の関係
寿司よりも嫁の料理に箸(はし)がゆく十一人の我が一族と

<夫>
金曜の夜は我が許に帰り来るひと月ばかり愛人のごとく
生(なま)たらこ切れ目はじけて煮上がりぬ夫が好みし冬の一品

<家>
婿(むこ)殿(どの)の建築なるも現在も家族みんなで不安もなくて

<友>
姑(はは)ゆえに泣きし世代の友達が嫁に気遣(きづか)う今の暮らしは

<跋>
専門は英文学の子に頼るパソコンなどは我は知らずも
性格も趣味も異なる母と子が心ひとつに纏(まと)めあげたり

2011年1月3日初版。(株)NHKビジネスクリエイト発行。定価 2000円。

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