①政治面.北日、 12.9.19.
②テレビ番組欄。北日、12.9.9.
③経済面 。北日、12.9.8.
④ジュニア版。北日、12.9.6
⑤広告欄(求人)北日、12.9.9.
⑥広告欄(住宅)北日、12.9.9.
⑦イベント紹介記事。北日、12.9.7.
新聞記事のタテグミとヨコグミ
日本の新聞や雑誌は、いまのところタテグミ・タテガキが主流で、その内容の一部にヨコグミ・ヨコガキをとりいれている段階かと思われます。日本人はみんな、それがアタリマエと感じているようですが、日本人のアタリマエ(常識)と世界の人たちのアタリマエとのあいだにズレがありませんか。
いまさらアメリカやヨーロッパの新聞と比較するつもりはありません。日本のまわりの国々の新聞記事と比較して考えてみましょう。
「日本と中国はおなじ漢字をつかっているから同文だ」などとノーテンキなことをいうひとたちもいましたが、いまの中国は「簡体字」(中国式略字)の時代です。日本人には見当もつかない漢字がたくさんつかわれています。それだけではありません。半世紀以上もまえから、中国の新聞はヨコグミ・ヨコガキになっています。新聞だけでなく、公文書・雑誌・単行本、さらには中国語教科書にいたるまで、すべてヨコガキです。
朝鮮半島では、もっとはげしく変化しました。韓国でも北朝鮮でも、数年まえから新聞記事や町のカンバンから漢字が消え、ハングル表記に変わりました。もちろんヨコガキです。
こうしてみると、アジアで漢字にたよって新聞記事を書いているのは中国と日本だけ。タテグミ・タテガキが主流なのは日本だけということになります。ほんとうに、このままでよいのでしょうか。
ヨコグミ記事の現状
この4月ころから、新聞(北日本新聞)のヨコグミ記事をあつめて観察しています。その結果、予期した以上にヨコグミ記事が増加傾向にあることが分かりました。その典型的な例を画像として引用させていただきます。
①政治面(表紙)。北日、 12.9.19.
どの新聞でも、第1面が表紙に当たることもあり、政治ニュースなどがトップを占めることがおおく、ミダシ・本文ともタテガキが普通のようです。それでもよく見ると、「半日デモ125都市に」、「柳条湖事件81年」などのミダシがヨコガキで組みこまれ、紙面構成に役だっています。
また、この画面からはみだしていますが、写真「接続水域を航行する中国の監視船」や図表「中国で18日に反日デモが起きた主な都市」、「県内企業の主な中国進出状況」などの解説記事もヨコガキになっています。
さらにいえば、この日全紙面のモクジにあたる「きょうの紙面」欄もヨコガキ。最下部の広告欄もすべてヨコガキです。
②テレビ番組欄(裏表紙)。北日、12.9.9.
第1面についで見やすいのが最後の面(裏表紙)なので、大多数の新聞がテレビ番組欄に当てているようです。
電車の時刻表や各種のプログラムとおなじく、分きざみの時刻を表わす数字やローマ字やカタカナ語などがおおく、文句なしでヨコガキが定着したようです。
なお、この紙面にのっていた広告(7件)も、すべてヨコガキでした。
③経済面(証券市況) 。北日、12.9.8.
銘柄ごとに株価の変動を記録するものなので、算用数字ばかりがならびます。漢数字のタテガキでは間にあいません。
④ジュニア版。北日、12.9.6
「ぶんぶんジュニア」と題して、小中高校生むけの紙面づくりになっています。NIE(Newspaper
In Education )(教育に新聞を)運動の一環ということでしょう。
毎週土曜日は「Let’s えいGo!」ということで、簡単な英会話やニュース記事をよむ練習ができるようになっています。
つぎの時代の日本をささえるのはいまのジュニアです。このジュニアたちが、やがてヤマトコトバだけでなく漢語や英語などを自由につかいこなせる日本国民(世界市民)となることが期待されているのだと思います。
なお、この記事の下の紙面は、ケーブルテレビとFMの番組欄になっていました。
⑤広告欄(求人)北日、12.9.9.
「とやまの求人情報、はんさむ・ワーク」にかんする全面広告で、≪日・月≫と≪木・金≫のそれぞれ2日連載されています。「正社員」、「パート・アルバイト」、「契約・委託その他」に区分され、企業ごとに職種・資格・待遇・給与などの条件が一覧できるようになっています。
「パソコンや携帯電話でアドレスを登録しておけば、企業の求人情報が毎週日曜日と木曜日に届く」ということで、この世界でヨコガキは常識のようです。
⑥広告欄(住宅)北日、12.9.9.
「北日本不動産情報スミタク」も、見開き全面広告で、毎月第2・第4・第5土日に連載されています。「建物」と「土地」に区分され、物件ごとに価格、土地・建物面積、間取り、道路幅、交通の便などが一覧できるようになっています。WEBサイトでも、「スミタク」でチェックできます。この世界でも、ヨコガキが常識のようです。
⑦イベント紹介記事。北日、12.9.7.
ヨコガキ記事の中には、全体としてタテグミ・タテガキのように見せながら、実際にはぎりぎりまでヨコガキを採用した例が多数ありました。「とやまグルメランド inおやべ」の記事が、その典型的な例です。
もともと見開き2ページにわたるイベント紹介記事で、ここに画像として借用したのは、左ページの一部分です。右ページでは、タテガキで「食の逸品集結」、「県内外から32団体」などのミダシをつかい、この紹介記事をまとめています。これで、なんとなくタテグミ・タテガキのイメージを保っています。しかしよく見ると、ここでも記事の最上部にヨコガキで「イベント紹介要旨」をのせ、冒頭写真(イベント会場スタッフ)の解説文やミダシ「小矢部を召しあがれ」をヨコガキにすることで、記事全体を引きしめています。
左ページの紙面は、ごらんのとおりヨコガキ一色です。「とやまグルメランド inおやべ…あす開幕」というミダシで、ステージイベントスケジュールや無料シャトルバス運行の案内の記事もあります。「氷見カレーパン」など、ご当地グルメの紹介記事がつづき、カタカナ語や算用数字がたくさん出てきますが、ヨコガキのせいでしょうか、読んでいて違和感がありません。
この2ページの記事は、タテマエ上のアリバイとしてタテガキ部分をのこしています。しかしホンネは、すでに全面的なヨコガキ時代が来ることを予測し、準備しているのではないかと思われます。
韓国の急成長とくらべて
高が新聞記事のタテガキ・ヨコガキ。とはいうものの、新聞記事のあり方がその国の文化水準を示すものであることも事実です。ここで、先日斎藤康夫さんからいただいた手紙の一節をご紹介します(要旨)。
…(放送大学の“アジアと漢字文化…韓国・朝鮮の漢字”を受講して)、韓国の新聞中央日報のレイアウトが2008年、「漢字ハングルまじり文で縦組み」から「ハングルのみで、漢字なしの横組み」に変わり、商店街の映像でも漢字がなくなっているのに驚きました。
韓国の南北光ケーブルの完成とパソコンの普及で、日本とは大きな差がつき、サムソン電子株の急成長で社会も文化も勢いがついた感じです。(ソニー、パナソニックの凋落。)
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