2014年11月29日土曜日

「英語学習 小3 から」報道に よせて

 
 
「教員研修が課題」
 

 
「危機に立つ文系学部」 
 
 
「新学習指導要領を諮問」 
 
 
 


画像に ついて
 「教員研修が課題」 北日。14.11.9.
  ②  「国の補助金配分」 北日。14.11.14.
 ③「新学習指導要領を諮問」 北日。14.11.21.       いずれも 北日本新聞記事から 借用させて いただきました。
 
 
 
 
 

「英語学習 小3 から」の課題
11月9(日)。北日本新聞「英語学習 小3 から…教員研修が課題…政治主導に批判も」という 記事が のって いました。要約して ご紹介します。英語学習を小学3年からに前倒しし、生国5年からは正式な教科にする計画を、文部省が進めている。「アジアトップクラスの英語力」を目標に掲げたが、教員の研修の必要性などが指摘されている。一方で、政治主導で進む英語教育改革に批判もある。
計画では、小学34年は、学級担任を中心に指導し、英語でのコミュニケーション能力を養う「活動型」の学習を週に1~2コマ程度行う。

中学校では、卒業段階の達成目標を現行の「英検3級程度」から「英検3級~準2級程度など」に引き上げた。高校卒業段階では「英検準2級~2級程度など」から「英検2級~準1級」とさらに向上を目指す。

特に小学校の教員は今後、専門でない英語を授業で話すことも求められることになる。教員研修が課題となるが、「忙しい教員に研修を受ける時間があるのか」と疑問の声も出ている。

英語教育の改革が進められる背景には、グローバル化が進む中で日本人の英語力が高いとはいえず、政府・自民党や経済界が「日本の死活問題」と危機感を募らせていることがあった。
今後、中央教育審議会などでの検討を経て学習指導要領を改訂。18年度から段階的に先行実施し、20年度から全面実施する。

この記事に あわせて、「識者の声」も 紹介されて います。
鳥飼玖美子立教大特任教授(英語教育論) 文科省には、発音をふくめてしっかり教えられる教員を養成してほしい。教育職員免許法を改正し、第2言語習得理論、音韻論、コミュニケーション学などを習得できるように要望したい…英語を学ぶことは面白いし、英語ができれば全く違う世界を知ることができる、ということを子どもたちには知ってほしい…

藤田保上智大教授(英語教育学)
一番のポイントは、教員の意識改革だ。ペーパーテストの採点で成績を評価してきた教員が、コミュニケーション能力を評価することになる。いままでとは違う方法を受け入れる必要がある…英語を実際に使うことの意味や手ごたえを感じられる授業を工夫してつくり出すことが大切だ。

 

「危機に立つ文系学部」
1115()北日本新聞の 特集記事「富山大の現在<4>」に 注目しました。要約すると;
…文部科学省は昨年度、全国の各国立大の社会的な役割を示した「ミッションの再定義」をまとめた。それは、少子化を踏まえて文系学部の縮小を検討しなさいという意味だ…富山大人文学部の立川健治教授・学長補佐(近代史)は「目先の利益に結びつかない学問に税金を使うな、ということだろう」と話す…既に文系縮小の流れは、生まれつつある。福井大は、社会科学の領域を担った地域科学過程を2021年度までに廃止すると発表。埼玉大は理工系の大学院を強化する一方、二つの文系大学院を統合するほか、教育学部の定員を4年間で100人減らす方針…人文学部の松崎一平教授・副学長(西洋哲学)は大学を「人生の芯をつくる場」と表現する。学生には社会観や人生観をしっかり形成してほしいし過去の思想家たちがかさねてきた人生の思索と対話することも、大切だと考える…

 

「新学習指導要領を諮問」 
1121()。北日本新聞に「新学習指導要領を諮問」の 記事が のって いました。119日の 記事「英語学習小3から」と 一連の 報道で、要約すると;

下村博文文部科学相20日、学習指導要領の全面改定を中教審に諮問した。英語教育を充実させるため小学校で教科にするほか、高校では日本史を必修化するなど大幅な改定となる…諮問は「何を教えるか」だけでなく「どのように学ぶか」を重視。自ら課題を発見し、解決する力を身に付けられるように、学習・指導方法の在り方の検討も求めた…中学では日本語を使わない英語の授業を基本とし、高校では幅広い話題で討論できるようにするなど充実を図る…

 

音韻感覚習得に 効果的な 指導法
日本語でも 英語でも、コトバには キク・ハナス・ヨム・カク4つの 側面が あります。こんどの 英語教育改革では、これまでの ヨム・カク活動 中心の 学習から キク・ハナス活動 中心の 学習へ 切りかえる ことが 求められて います。ヨム・カク活動では モジという 視覚資料を たよる ことに なりますが、キク・ハナス活動では 音声という 聴覚資料に たよる ことに なります。キク・ハナス 学習活動の 基本は、事物を 見たり 聞いたり した とき、即座に 日本語や 英語で 表現できる ように する ことです。

日本の 小中学生が コトバを 学習する ばあいで いえば、第1段階で 「ヤマ・カワ・ウミ」 などの ヤマトコトバを おぼえ、第2段階で 同義語として 「サン[]・ガク[]」「カ[]・セン[]」「カイ[]・ヨウ[]」 などの 漢語(外来語)を おぼえ、第3段階で「マウンテン・リバー・シー」などの カタカナ語を おぼえて いる ようです。

ここで「漢語」「カタカナ語」「外来語」などと 呼んで いる コトバは、「もと 外国語」では あっても、「外国語」そのもの では ありません。すでに 日本語の 文脈の 中で 話され、日本語の 音韻感覚・音韻組織に したがって 発音されて いる から です。もともと 外国語だった ものを、すこし 手直しして、日本語として 認めた という こと です。その結果、どう なるか?日本語の 音韻感覚に あわせて 変化して いる ので、話し手(日本人)が 外国語(漢語・英語など)の つもりで 話しても、相手の 外国人には 意思が 通じないという 現象が おこったりします。

こんどの 英語教育改革は、英語を 外来語として では なく、日本の 第1言語(現代日本語)と ならぶ 第2言語として 活用しようと する こころみです。それには まず、日本語(ヤマトコトバ)の 音韻感覚に かわる 英語の 音韻感覚を 習得する 必要が ありますが、ここで 効率的な 学習指導法が 求められ ます。小中学生は、すでに ある 程度 日本語の 音韻感覚を 身につけて います。「b-v-」「s-z-th-」「l-r-」など、日本語と 英語の 発音の チガイを 重点的に 練習する ことが 必要な ものも ありますが、あらためて練習する 必要の ない 音形も あります。

教師も 生徒も いそがしい 教育現場です から、みじかい 時間で 大きな 効果を もたらす 学習指導法が 求められ ます。前記 鳥飼 玖美子 教授が 文科省に「教育職員免許法を改正し、第2言語習得理論、音韻論、コミュニケーション学などを 習得できるように」と要望して いる のは 当然の こと です。

 

言語観の ズレが 問題
英語教育改革の 政策が 着々と すすめられて いる かに 見える 一方で、教育の 現場、とりわけ 小学校での 準備は おくれて いる ようです。教師たちが いそがし すぎて、講習を 受ける 時間が ないとの こと ですが、もう 一つの 原因が あり そう です。それは、あたらしい 英語学習指導法の 講習に 必要 かつ 十分な 講師陣が 用意されて いない のでは という 問題です。

いま 日本の 大学や 研究所 などで、日本語と 外国語(英語・漢語 など)との 比較研究はたしかに おこなわれて います。しかし、その 大部分は 語法・文法に かんする ものであり、音韻面 からの 比較研究は めったに 見あたり ません。このような 実情を 考えると、文科省が 計画して いる 教員研修も、実力の ある 講師陣を ととのえる うえで、たちまち 人材難の 問題に ぶつかる のではと 心配に なります。

どうして こんな ことに なった ので しょうか?問題の 背景 には、日本人の 言語感覚の ズレが あると 思われます。英語学習に かぎった 話では ありません。「コトバ とは、どんな ものか?」「日本語は、いつ・どの ように して 生まれ、どの ように 変化して き た のか?」「日本語と 漢語・英語 などの 音韻感覚は、どこに・どれだけ 共通点・相違点が 見られるか?」こういった 問題に ついて、国語教育や 外国語教育の 場で あまり つっこんだ 議論を して きません でした。

たとえば 小中学校の 国語教育の 現場では、いちばんの 関心事は 漢字の ヨミカキ能力の 問題。ローマ字は 小学校で いちおう 教える けれども、音素モジ として 自由に 使いこなせる までの 指導は できて いません。モジは、コトバという 音声信号を 視覚信号として のこす ための 道具 なの ですが、日本では 漢字だけが 正式な モジと され、カナで サインしても 受けつけて もらえない ことが あります。

文書の 形式に しても、そう です。「公文書の ヨコガキ」は かなり 普及して きましたが、いちばん 基本に なる 「国語教科書」「新聞」「文芸書」などが いまでも タテガキの姿勢を くずして いません。日本人の 言語観・歴史観が 問われる 問題かと 思います。

2014年11月14日金曜日

飛騨・信州の 紅葉

 
 
碌山美術館、A
 
 
碌山美術館、B 
 
 
大町ダム、A 
 
 
大町ダム、B 
 
 
白馬ジャンプ競技場
 
 
 
1027日 から 28日に かけて、「飛騨・信州の紅葉狩り」に 行って きました。というと、カッコイイ のですが、じつは 例の とおり「連れて 行って」いただきました。 
はじめの 予定 では、藤木美織 さんも いっしょに 5人で 出かける ことに して いましたが、美織 さんが 体調不良(母親の介護づかれ)の ため 参加できなく なりました。
25日() 夜、伊藤広美・淳子さん夫妻、藤木美織さんとともに、桜木町奥田屋で会食。奥田屋と いえば、むかし から 有名な 料亭 ですが、最近は 不況続きで 経営が むつかしく なって いる との 話も ききました。
26() 午前、伊藤 さんの クルマに 便乗して,市内 奥田新町 楽翠亭美術館を 見学。「現代 アート セレクション」の テーマで 展示中。鑑賞力の とぼしい わたし には、展示作品 よりも この 和風邸宅の 現代風美術館への 変身ぶりに 興味を ひかれ ました。オーナーが 環境事業会社「石橋産業」と 聞かされて、ナルホドと 感心。同時に また、料亭奥田屋のことを 思いだしたり しました。
27() 午前10時、伊藤 さんの 愛車に 便乗させて いただき、富山を 出発。~道の駅〝奥飛騨~ 道の駅〝風穴の里~安曇野 穂高“碌山美術館”~大峰高原 七色カエデ~くろよん ロイヤル ホテルの 順で まわりました。
絶好の 天気と までは ゆきません でしたが、富山の 平野部とは ちがって、どこも みなみごとな 紅葉ぶり でした。
碌山美術館の 案内書表紙を かざって いたのは「新緑」に おおわれた 美術館でしたが、「紅葉」で おおわれた 姿も アジワイが あると 感じました。
くろよん ロイヤル ホテルでは、生まれて はじめて 吉兆 さんの 日本料理を たのしみ ました。
 
28()朝から 快晴。9時 出発。くろよん ロイヤル ホテル~高瀬渓谷(大町ダム・七倉ダム)~白馬 ジャンプ競技場~富山。
  
感想:
天候にも めぐまれ、おかげさまで どうやら 無事 予定の コースを こなして 自宅まで帰って くる ことが できました。94歳 老人と しては、それだけで めでたい こと、ありがたい ことだと 思います。このあと、来年の 花見の ころ、あるいは 紅葉の ころ、自分の 体調が どう なって いるか、それは 神さま だけが ご存知の こと。それより なにより、平和ボケと いわれる、この 平和な 社会が どこまで もちこたえ られるか、その ほうが 心配です。
旅行の 思い出を まだ 整理できずに いた ところに、はやばやと 伊藤 さん から 寫眞と ファイルを ごっそり 送って いただきました。今回の 画像は、すべて 伊藤 さんの 作品 からの 借用です。

2014年11月6日木曜日

モミジの 季節に 思う こと

 
 
 
紅葉、A
 
 
紅葉、B 
 
 
カモ一家 
 
 
日本海文化悠学会研修会 
 
 
 
 
 
 
 

1024()いたち川べりの サクラ並木が すっかり モミジ色に なって きました。モミジは もと モミチで、動詞 モミツの 連用形 兼 名詞形。夏型 から 冬型へと 気候が変化するに つれて、木の葉も しだいに 黄色・茶色を モミダス という ことで しょうか。

雪見橋 から ながめて いると、下流 から カモ一家が さかのぼって くる のが 見えました。せっかくの シャッター チャンス でしたが、あいにく 橋の カゲに はいって しまい、画面が 暗く なりました。ゴメンナサイ。

午後、豊栄稲荷神社 社務所日本海文化 悠学会の 研修会が あり、講師の 藤田 富士夫さんが「古代の 神奈備山を さぐる 視点―主に 明日香村の 景 から―」と 題して 講演され ました。

藤田さんは、カムナビ[神奈備]を 「カミ[神]の ヘ[]神の イマス[] ところ」と 解釈した うえで、「カムナビ山」の名に ふさわしい 条件(山の形や 位置関係 など)を 規定して ゆきます。

『万葉集』の 時代、都に 住む 人たちが 毎日 ながめて、「神の イマス[] 山」と 感じて いた から こそ、「カムナビ 山」と よぶ ことに なったに ちがい ない。

ところが、現実は どうか?「明日香の 神奈備 山」の 候補地を めぐって「イカヅチ[]丘説」「甘樫丘説」「ミハ[三輪]山説」「岡寺山説」などの 諸説が あり、まだ 決着が ついて いない。

そこで、藤田さんは 自分の 足で 現地を 歩きまわり、どこで・どの 方角・どの 山を ながめれば、どんな 姿(山景)に 見え、「カンナビ 山」を 感じとれるか、実地検分 しました。その 結果、岡寺山が もっとも「明日香の 神奈備 山」の名に ふさわしい 実景を もって いると いう 結論に 達した との こと です。

わたしどもは 現地の 地形・山景を 直接 見て いない のですが、たくさんの 資料写真 などを 見せて いただき、ナルホドと ナットク させられ ました。

いつもの ことながら、考古学者 藤田さんの 基本姿勢に 敬服するとともに、当日 配布資料の中の 文句が 気に なりました。

私の視点…原則;地名や名称【を基本とする】は参考(にはならない)程度の資料。

(スペースの つごうで、以下 イズミの 所見を 列記します)

  この 1行には、日本の 国語(国文)学会に たいする 警告書・挑戦状の ような 意味がこめられて いる ように 感じます。そうだと すれば、イズミも ほぼ 同感です。

  さは さり ながら、地名や 名称には「重要な 情報資料」が こめられて いる ことも事実で あり、藤田さん ご自身も「カンナビ 山」「ミハ 山」「アスカ」などの ナマエに こだわって 議論を すすめて おられます。「参考には ならない」 どころか、「基本」問題と されて いる よう です。

  せっかく ここまで 議論を 深めるの なら、「カンナビ 山」 だけで なく、いろいろな 日本語(ヤマトコトバ)の 実態考古学の 手法で さぐって みたら と 思います。さしあたりは、アスカ[明日香・飛鳥]・カミ[髪・噛・上・守・神・紙]・カム[上・神・噛・甘]・ミハ[三羽]・ミワ[三輪・神] など から でも よいで しょう。甲類カナの カミ[髪・噛・上・守]乙類カナの カミ[]とは、実質 どれだけ ちがう のか?カム[上・神・噛・甘]は、ナゼ 同音 なのか、など。

  とことん さぐって ゆく うちに、ふるい 常識と しての 言語観が ふきとんで、あらたに 客観的・合理的な 言語観(音韻感覚)が 生まれてくる かと 思います。それは おそらく 日本語 だけ でなく、漢語や 英語 などにも 通じる 言語観(音韻感覚)に なって いる こと でしょう。

 
1025()。この 季節に なると、あちこちで 菊の 展覧会 などが 開かれて いる よう です。町内 でも、N家の 花壇に 大輪の 黄菊が ならび ました。