2020年4月27日月曜日

コロナさわぎで、渦の中


観葉植物  4/14  2618


オリガミ(カブト)  4/15 


スゴロクで世界一周 4/16


臨時・理容室セット 4/17  


「県内初の死者」報道 4/19 


観葉植物
 414()。ブログをつづけていると、毎回巻頭をかざる写真が必要になります。満100歳のボケ老人がヒトリゴトをつぶやいた文章だけでは、だれにも読んでいただける自信がありません。その点、なにか絵になるものがあれば、まずは気軽に「絵をながめる」ことからはじまり、ついでに文章についても、「23行は目をとおす」ことにつながるかもしれません。そう考えると、とにもかくにも、まずは絵になるネタを確保しなければなりません。
 ところが、こんどのコロナさわぎで、ブログの画像がネタぎれ状態になってしまいました。
「老人ホーム」は、もともと絵になるネタのとぼしい場所です。かりに芸術的に見て絵になるネタが見つかっても、居住者の身体を写した画像は、プライバシーの問題があり、ブログで公開することができません。
 つい先日までは、定期的に「音の会」、「社会人大楽塾」、「訪問販売」などの行事が組まれていたので、ブログ画像のネタとして利用させていただきましたが、このさき当分のあいだ、アテにできません。
 なにか、絵になるものがないか?あちらこちら、さがしまわったあげく、食堂マドぎわにかざられた「観葉植物」1鉢にたどりつきました。ただし、なんと呼ぶ植物か?ナマエも分からないままの紹介になります。自分の、日ごろの学習不足を思い知らされました。

オリガミ(カブト)
415日(水)。午後、「機能訓練」のフロクとして、オリガミ「カブトづくり」をしました。簡単な作業のはずですが、いざやってみると、けっこう時間がかかりました。「先を見とおすチカラ」、「判断するチカラ」がおとろえてきたことがよく分かります。
 さびしくないといってはウソになりますが、なきさけぶほどのことでもないと、考えるようになってきました。もともと赤ん坊として生まれたころの「考えるチカラ」は、ゼロからのスタートです。還暦をすぎたくらいで、知識・能力ともピークをむかえます。そのあとは、ぎゃくに、これまでためてきた知識や能力をつかいはたすウゴキが目だってきます。ゼロ→頂点→ゼロ。これが1個のイキモノ(イノチ)の実態です。「よくがんばったね。オツカレサマ」と声をかけたい気持ちです。

スゴロクで世界一周
 416()、午後、「機能訓練」のフロクとして、「スゴロクで世界一周」のゲームをしました。
サイコロをふって、目の数だけコマをすすめるのですが、その途中、場所によって、「さらに3コマ分すすむ」とか、「○○までもどる」、「1やすむ」など、いろいろ指示がでます。わたしも、サイコロをふる方向やウデの高さなど、さまざま工夫してみましたが、なかなか目が出ません。「もどる」、「やすむ」の連続で、ダントツ・ピリの成績でした。
 それでも、しばらく、コロナ・ウイルスのことをわすれ、童心にかえって、ゲームにうちこむことができました。

臨時・理容室セット
 417()午後、6fに「臨時・理容室」が開設され、わたしも髪をカットしてもらいました。コロナ・ウイルスさわぎで、「音の会」、「訪問販売」など部外者の訪問による行事が軒並み中止になった中で、南砺市の「髪や金沢支部」の理容師さん(女性2)の来訪だけが認められています。
 6f食堂のテーブルの位置を変え、床にビニール・シートを敷きつめ、縦長の鏡を立てかけます。これで、「臨時・理容室」がセットされたことになります。
 コロナ・ウイルス対策として、「三密」は禁物ですが、コレばかりは別。ホームのスタッフが代行できることでもありません。やはり、部外から資格のある業者の来訪をもとめるしかないということでしょうか。
 業者の了解を得て、セットの写真をとらせていただきました。

「コロナ県内初の死者」報道 
4月19日()。コロナ・ウイルスの ことは、まだ どこか ヨソさまのことの ように 思って いましたが、北日本新聞 朝刊トップ記事で、「県内初の死者。老健施設、90代女性」と 報道され、ビックリ しました。
リハビリテーション・ホームは、「有料老人ホーム・めぐみ」と おなじく、医療法人・社団・啓成会系列の 施設です。啓成会は、「桝谷内科」および[桝谷整形外科]を 中核として、「有料老人 ホーム」、「ケア・ハウス」、「グループ・ホーム」、「デイ・サービス」などの 施設を 設置・運営しています。各施設のサービス内容は、質・量ともさまざまで、そのまま利用料と連動しているようです。
 死者が出たということで、こんどは「三密」をさける動きがきびしくなりました。たとえば「機能訓練」の中止です。特別行事がないかぎり、毎日午後実施されてきた「機能訓練」ですが、19日から、「三密をさけるため、当分の間中止」となりました。これまで、予想もできなかった変化です。
 1fの「桝谷内科」は、一般外来はしばらく「休診」となりました。これまでは、ホーム入居者が1fの内科まで出むいて受診するという形式でしたが、こんどからは、看護師さんが入居者の部屋をたずね、症状をききとり、その場で医師に電話で報告し、診断をもとめるという方式に変わりました。医療の現場がいそがしくなりすぎて、「医療崩壊」をまねくことがないようにという施策の一環かと思われます。
三度の 食事については、いまのところ、自室で 一人だけで食べる人もいますが、各階ごとに数人で会食する形式が普通です(fでは、大テーブルに3人)。このさき、どうなるか、それは分かりません。
 お医者さんやホーム・スタッフの方たちに感謝しながら、せっかく生かされたイノチ、のこされた11日をたいせつにすごしたいと考えています。
                    
s-s音日本語の基本義日本語の系譜(13)
 前回まで、k-k音日本語の基本義について追究し、あわせてk-k音の漢語や英語の基本義との対応関係についてさぐってきました。今回は、s-s音日本語の基本義を追究することにします。
 これまで、いくつかの音形について「音形とその意味(事物の姿)との対応関係」をさぐる作業を経験した中で、すこしばかり「効果的な作業要領」を習得できたように思っています。ただくそまじめに作用作業をすすめ記録するだけでは、記録する本人もつかれますが、そのレポートを読まれる方にも、「退屈で迷惑」を感じさせるだけで終わる可能性があります。
 そこで今回は、①まず、できるだけしぼりあげたテーマを設定し、議論の途中で脱線しないように気をつける。②具体的には、「コトバは、単語・音節・音素の段階まで分解でき,それぞれ基本義を表わしている」との認識にもとづき、「s-音語」、「s-s音語」の音韻構造の分析作業をすすめ、その音形が表わす意味との対応関係をさぐることにします。
 s-音語の基本義を考えるうえで、s-音以外の子音をふくむs-k, s-m, s-rなどの音形と比較することも参考になることはまちがいありませんが、そうするとぎゃくに議論の焦点ボケてくるおそれがありますので、今回はわざと省略することにしました。とにもかくにも、まずはひとりでもおおくの方に読んでいただき、「音形と意味との対応関係」に関心をもっていただけたらと願っています。

擬声・擬態語
 ザアザア・サヤサヤ・サワサワ・ザワザワ・ジイジイ・シオシオ・シャアシャア・ジャアジャア・シュウシュウ・ジュウジュウ・シワシワ・ジワジワ・スイスイ・スウスウ・ズシズシ・スヤスヤ・ゼイゼイ・ソヨソヨ・ソワソワ。
 擬声・擬態語は品詞語が成立するまえの時代のコトバであり、そこからやがてさまざまな品詞語が派生したと考えられるコトバです。品詞語として「音形とその意味・用法との対応関係」をさぐるうえで、擬声・擬態語の実態が参考になります。まずは、一つずつ、「擬声語か?」、「擬態語か?」、「名詞形・動詞形などとの関係は?」など、思いをめぐらすことから、さまざまなヒントが得られると考えています。

「象形言語説」によるアプローチ
日本語の文脈では、ササsasaといえば、すぐにササ[]を連想し、サシsasiといえばサシ[](モノサシ)スシsusiといえばスシ[](スッパイ)か、スシ[寿司](酢メシ)を連想することになるかもしれません。しかし、日本語が成立したばかりの時代、上代語の中では、かなりちがった感覚の意味用法がおこなわれていたようです。上代から現代にいたるまでの音形や意味・用法の変化を見とどけたうえで、s-音語の基本義」設定にとりくむべきだということになります。
もっと手がるにs-音語の基本義」をたしかめる方法がナイかと、いわれれば、ナイことはありません。「象形言語説」にしたがって、ムダのナイ議論をすすめれば、みじかい時間のうちに、客観性・論理性をもった「基本義」にたどりつくことができます。ただし、「象形言語説」は、いまから半世紀ほどのむかし、イズミ個人がかって提唱した仮説であり、学会承認されたものではありません。
今回は、ひとまず「象形言語説」にしたがって議論をはじめ、「s-音語の基本義」をめざして、まっしぐらに議論をすすめることにします。

音形とその意味との対応関係
象形言語説」にしたがえば、こうなります。
単語は、音節の段階まで分解することができ、さらには音素まで分解することができる。各音素はそれぞれ独自の意味(事物の姿)をもち、それらの意味を総合したものが、その音節の「基本義」を構成する。同様に、単語の「基本義」は、これを構成する音節が表わす「基本義」の総合である。
以下、s-音語の「語音構造」や「音形と意味との対応関係」などについて、具体的にしらべてみましょう。

s-単音節語
[羅・紗]うすもの。薄い絹織物。「紗」の字音の国語化し  た語。
[] 矢の古語か。→投グルサノ・ヒトサ・フタサ。
  *  サ ッ・スッとトビサルものの姿。そのまま、[]の姿でもある。⇔シthiershi//センtsianjian.
[] 形状言。幅が狭い意。→サモノ・サシ[]。⇔[沙・砂・些]・サイ[細・砕]シキ・ショク[]・ソク[]。⇔small, smile, smell, smelt, smith,
サ 接頭語。ほとんど実質的な意味はない。韻分には頻用されるが、散文には少ない。→サガミニカム・サネシサネテバ・サ根延フ・サ百合・サヲ鹿。*「鹿の角」、「植物の根」、「百合の花」などの姿を「矢の姿」と見たてる意味用法。サカ[坂・酒]・サキ[先・裂・﨑]・サク[裂・割・咲・避]・サケ[酒・鮭・避]のサ。[]がツキサス・ツキサク姿を、ヤya音でなく、サsa[沙・砂・些]・サイsai[細・砕]などのサsa音で表現しもの。
サ 接頭語。五月の意をあらわす。→サ月・サ蠅ナス・サ夜。*五月は、イツツ[]の月であり、またイネ[]の根やハヘ[]ハヘ[]まわる(生長する)時期でもあります。その姿を「矢がサス[]・サシカフ[指更]」姿とみなした用法と考えられます。
サ 接尾語。①形容詞の語幹に接して、~であることの意をあらわす。→太サ・楽シサ・悲シサ・トモシサ。②名詞について、方向の意をつけ加える。→横サ・タタサ[]。③動詞について、移動の途次にあることを示す→帰ルサ・来サ。*サワル・スレルなど、接触の程度を表わす用法。
サ[然] 指示副詞。そのように。→サテ。⇔so, such.
シ[師・僧]¹学芸・技術に秀でたもの。元来、漢語と考えられる。→クスリ[]師・ハニシ[埴師]‣法師・絵師。
[] イシのイが脱落した形。石。または、磯。*イトitotsに変化するとイソisoとなる。⇔シ[]・ショ[]
[] 下方。した。シダル[]・シヅエ[下枝]などの複合語の中にのみ認められる。→タカクラジ[高倉下]。*このシはシモ[下・霜]などのs-m音語を構成する語音であり、また、シタ[下・舌]・シツ[倭文]・シダル[垂]・シヅ[垂]・シヅカ[寂然]・シヅク[沈]・シヅム[沈・鎮]などのs-t音語を構成する語音でもある。s-m音語日漢英3言語間における音韻対応関係については、四半世紀まえに指摘ずみです。くわしくは、スミノエ」神はSMELTING MAGICIAN…スミ・シム・SMITH』(1995年)をご参照ください。s-t音語については、s-t音漢語(サツ[札・殺・擦]。セツ[切・舌・折・泄・窃・屑・接・設・雪・)s-t音英語sit, sitter, sitting, stand, standard, stay, set, store, strike, string, street)とのあいだに、さまざまな音韻対応関係が成立していることが推定されます。
シ 風。複合語を構成している例しか見えない。【考】方角をあらわすニシ[西]・ヒガシ[]は、もともと風位名であったといわれ、ニシは西風である。→シナト・シナツヒコ・アラシ・ツムジ・ヒムガシ。*カゼ[]=空気の振動。その振動する姿や振動音などをシ音でとらえた可能性があります(やがてシゴト[仕事]のシに通じる)。
シ〔羊蹄〕 ぎしぎし、蓼科の多年生草本。食用にもした。
(代名) 中称。人も、事物もさす。
() 文中、種々の連用文節に接して、その語句を指示する。→ワガ名シ惜シモ・吾妹ヲ見ラクシヨシモ・妹シ見エナバ・吾ガ背子ト二人シヲレバ。
(シク) 体言に接して、~らしいさま・~のようなさまの意の形容詞を作る語尾。→犬ジモノ・馬ジモノ・鹿子ジモノ・畏ジモノ・雪ジモノ。
[](助動特殊) 動詞・助動詞の未然形に接して、①動作・存在・作用などについての否定的な推量をあらわす。→サネ有ラジ・荷重キハ堪ヘジ。②多くは自己の行動についての、否定的な意志・決意をあらわす。【考】推量の助動詞ムの否定と考えればよい。→心ハモタジ・言ハ果サズ。
[渚・洲] す。なかす。川や海の浅瀬の砂の現われたところ。*ミヅ[]とツチ[]がスレ[]アウところ。
[] 砂。*岩石が、水の流れにサラされ、小サナ・ツブ[]になった姿。
[] ものの集まっている場所。①鳥獣虫類などの巣。②人の住居。*イキモノのシリ[]とス[]ミ付いた場所とが、「シリ[尻・知]アイ関係」になっている。
[] すのこ。竹や葦、こもなどの茎、麻の茎幹などを粗く編んだ織物。*ス[]とおなじ姿。
[] 酢。塩やヒシホとともに調味料として用いられた。ヒシホス[醤酢]は、ヒシホと酢をまぜたものであろう。
ス 接頭語。飾らない。そのままの。はだかの。→ス足・ス直。⇔ス・ソsagsu.
[] する。先行成分として、体言または動詞の名詞形の補充をうけて、これを動詞化することが多い。①ある行為をする。動作主に行為実現の意志性が認められるもの。②ひとりでにそうなる。③ある状態にある。*もともと、スル[]・コスル行為を表わす語音だったものが、やがて一般化されて、「なにでもよい、ある行為をする」ことに変化したことがわかります。
ス 動詞語尾。①下二段に活動するいわゆる使役の助動詞スは、上代において、まだ発生していないといわれている。しかし、ノコル―ノコス、アマルーアマス、カクルーカクス、ナガルーナガスなど、接尾語との対比において、明らかなように、語尾スは、他動詞ないしは使役動詞を構成すると認められる。②四段に活用し、動詞未然形に接して、軽い敬意、または親しみの気持ちを添え、敬語動詞を構成する。
ズ[不](助動特殊) 活用語の未然形に接して、その動作・存在・属性の存することを否定する意を表わす。 
セ[瀬] 浅瀬。川や海の浅くなっているところ。フチの対。
セ[兄・背] 夫・恋人・兄弟・友人など広く男子を親し み呼ぶ称。
セ[背・脊] 背中。交替形にソがある。*左右にサク[]・サケル姿。またソムク[背・背向・背剥]姿。
[石花] カメノテの類をさすといわれる。甲殻類の海産節足動物。
[狭・迫] 形状言。狭いこと。形容詞サシの語幹と同源。セク・セム等はこれから派生したものか。*英語音second, sect, section, secretなどとの音韻対応も考えられます。 
[] 麻。甲類カナ。複合語の中にのみ現われる。【考】ソ[]は乙類カナ、ソゲ[]の ソは甲類であり、コロモデと並べて、やはり衣服の意かと考えられることなどから、ソは単に麻という一つの植物の名ではなく、ひろく繊維をとる植物としての苧麻類の、さらには繊維の称であったかとも考えられる。
[] 十。ミソ[三十]・ヨソ[四十]・ムソ[六十]・ヤソ[八十]など複合した例のみ。
[追馬] 擬声語。馬を追う声。*漢語でも、馬を動かすときの掛声がソウtsugzouです。ただし、現代漢語では、ソウ[]は「アルク[]の意味用法が普通です。
[] きもの。乙類カナ。【考】ソデ[]をコロモデ[衣手]ともいうことを思えば、このソは甲類と思われるのに、事実はすべて乙類のソを表わす訓仮名に用いられている。不審である。⇔ス・ソsagsu.
[其・彼] 代名詞。中称。乙類カナ。聞き手に近いもの、または文脈中すでに話題にのぼった事物を指示する。【考】ソレ・ソコなどは、このソより派生した語である。指示副詞サと通じ合う合う面を持つ。*スグ・ソバにあるもの、スレアウ存在という感覚から、「シジ[指示]スル」感覚が生まれたと推定されます。
ソ〔背〕 セの交替形。乙類カナ。→ソガヒ・ソトモ・ソヒラ。ソムク。
ソ[具] 乙類カナ。完全・充足の様な意の語か。→ソダル・ソナフ。
ソ(助詞) 乙類カナ。文末にあって、動詞の連用形について、先行のナと相応じ、禁止の意を表わす。

s-s2音節動詞
サス[刺・指] ①突き刺す。刺し入れる。②竿をさして舟を操る。③網やわなをしかける。④占有する。⑤火をともす。⑥注ぐ。⑦縫いつづる。⑧指名する。さしつかわす。⑨指さす。めざす。
サス[刺・指] 天然自然の現象としておのずから発現することに用いる。①光がさす。②雲が立ちのぼる。③植物の芽や葉柄・枝などが伸び拡がる。【考】前項のサスが非人称的ないしは再帰的に使われたものである。
サス[閉] とざす。戸を閉める。
シス「殺」 死なす。殺す。
スウ[居] 据える。物を置く。すわらせる。*スエル・スワル場所とシリ[]・コシ[]とは、たがいにスレ[]アウ・シリ[尻・知]アウ関係。
スス〔凝烟〕 煤ける。*スス[](住ミ付クモノ)とスル姿。
セス[] ス[]の尊敬語。

s-s2音節名詞など
ササ はやし詞。特にカグラ[神楽]の時に用いることが多 い。
ササ[小竹・竹葉] 小さい竹。竹の葉をもいう、
ササ 酒の異名か。
ササ 形状言。こまかい・ちいさいの意。→ささやか・イササカ・ササヤク。⇔ショウ[小・少・消・笑]・サク[]。⇔small, smile, smash, smelt, smoke.
サシ[] 城。朝鮮語に由来するか。【考】アイヌ語のチャシ(城砦)であるとする説や、意義未詳の枕詞サネサシのサシにこのサシをあてる考えもある。
サシ 接頭語。サス[刺の連用形。→サシ交フ・サシ上ル・サシハサ[]ム。
サシ[] せまい。語幹サが複合語中に用いられることが多い。
サス 屋根の左右両端に合掌形に交差して立てる木。【考】「叉手」[杈首]ともに字音の上から日本語のサスの表記として適当であるが、確実に字音語ともいいがたく、むしろ和語を漢語らしく見せるためにこのような表記を選んだのではなかろうか。*サシハサム・ワク[]・サク[]の姿。⇔サツ[札・冊]。⇔sash(サッシュ。窓枠)
シシ[肉・宍] ①身体の肉。筋肉。②肉。食肉。
シシ[獣・鹿・猪] けだもの。特に食肉のために獲ることの多い鹿・猪をさすことが多い
シシ チチ[]の東国語形。【考】アモシシ[母父]・マクラタシ[枕大刀]・カシ[徒歩]・アメツシ[天地]など、チの頭音が口蓋化する傾向が下野・武蔵・下総・常陸に集中して現われる。
スシ[醢] すし。魚介類に塩を加えて漬けこみ、日をおいて酸味の生じたもの。
スス[凝烟] 煤煙。*ケムリがマッスグ・ススミ、まわりにシミコミ・スミつく姿。
スス 煤ける。*前項の動詞形。
スス ~しながら。サ変動詞スの終止形を重ねたもの。
スズ[鈴] すず。神事に用いられるほか、クシロ[釧]やアユヒ[足結]につけて装身具とし、また鷹の尾につけて鷹狩りに使用し、駅馬を利用する公の使いは大きな鈴を携えて、官使のしるしとした。*スズの音は、smokeと同様に、まわり一面にシミコミ・スミこみ、やがてシメきることになる。
スソ[裾] 裾。衣服についていうが、山の麓の意に転用することもある。*キモノのキレがススム(伸び拡がる)、その先端部。⇔ソsagsu//サクsaksuo
セゼ[瀬瀬] あちこちの瀬。
ソソ ものの軽く動く音を表わす擬声語か。*ソッとサワル・ソヨソヨ・ソヨグ姿。

まとめ
 s-音は、マサツ音なので、おなじ調点で発声されるハレツ音t-とは、まったくちがった感覚を表わす語音となっています。具体的にいえば、ハレツ音t-から「ツヨイ・フトイ・ズブトイ・アツイ[厚・熱]・デカイ・」などの感覚を表わすコトバが派生しているの対照的に、マサツ音s-からは「ヨワイ・ホソイ・チイサイ・スコシ・スクナイ・ウスイ・セマイ・ホソイ・スズシイ」などの感覚をあらわすコトバが多数派生しています。
単音節語サ・シ・ス・セ・ソの基本義を端的・具体的にいえば;
サ=s+as-スルもの。ヤ[矢・箭](サス・スル・スレルもの)のイメージがつよい。
シ=si=スルこと。動詞ス[]の連用形兼名詞形。漢語音でいえば、シ[矢・仕]に通じ るイメージ。
 ス=s+u=ス・スル。動詞。基本義は「スル[擦]」の意だったが、やがて一般化されて、「なにか行動する」の意に変化した。スの語尾母音u-は、もともとゼロだったかとも考えられる。あったとしても、a-(マルイ・オオキイ)i-(ヒトスジ・ウスイ・ホソイ)とちがい「口をとじて、無言・中立」の感覚。
 セ=se=前後左右からヤ(矢・波など)がサシ[射・指・刺・差]セマル[迫・狭]姿。サの交替音。
 ソ=so=セとおなじく、サの交替音。サ(矢・箭の姿)から→セ(背・瀬の姿)→ソ(麻・十・衣の姿)へと、自然の流れで、つぎつぎs-音語が派生した。
   上代語の用例として、サ[羅・紗](ウスモノ)・シ[師・僧]などと表記したものがみられること、さらにはクスリシ[薬師]・シルシ[知師・知僧]・ハニシ[埴師・土師]などの表記もみられることから、これらのサやシは「元来漢語であり、ヤマトコトバではない」とする意見も出されています。たしかにそのとおりですが、だからといって、ヤマトコトバの音韻組織の中にサ・シの音型がなかったとも考えられません。
   おなじく「人類の言語の一つ」として、日漢両言語はそれぞれの音韻体系を組織しましたが、その途中で「あるタイプの姿」をした事物を「ある音型」(s-, t-など)でとらえる方法をあみだし、さらにs-k, s-r, s-t, t-k, t-r, t-tなど様々な音タイプの語音を生みだしてきました。そうした中で、ヤマトコトバ系か、漢語系か判別しにくい語音用例が生まれるのは、むしろ当然のことです。もともと、コトバは、「人間同士で意思を通じあう」ための道具。話し手は、自分の音韻感覚をもとに、コトバが相手に通じることを前提にしてしゃべり、聞き手は、自分の音韻感覚にあわせて、相手のコトバを正確にうけ止めることができると信じて聞きとります。ただし、現実は、「正確に話す」、「正確に聞きとる」ことについて、なんの「保証」もありません。そのため、コトバのユキチガイから、おおきなトラブルになることもあります。
  そこで、コトバの流通回路に、脱線・転覆などの事故がおこらないような安全装置が必要になります。そのシカケを考えるのが国語学者・研究者のシゴトだと思います。



2020年4月8日水曜日

コロナ・ウイルスとさくら


ひな祭りのご膳 3/3


射的ゲーム 3/25  


はるかに望む立山連峰 3/25 


いたち川のさくら() 3/31 


いたち川のさくら() 3/31






研修会の「進め方」について
31日に開かれた『古事記』を読む会については、前回のブログでご報告したとおりです。おかげさまで、古代国家大和朝廷の成立に当たって、景行天皇や倭建命が果たした役割について、あらためて「歴史の真実」をたしかめる場になったと感じています。ありがとうございました。
 ただ、これまで研修会の「進め方」について、すこし気づいたことがありましたので、途中でしたが、イズミから提案させていただきました。それは、「発表者は、自分の考えをまとめ、スジミチどおりシャベルだけで、精いっぱい。出席者全員にナットクしてもらえかどうか観察する余裕はない」、そこで対策として、「発表者とは別に司会者(議長・進行係)をたて、全員が集中できるように整理したほうがよくないだろうか」という提案です。ついでにいえば、「記録係」を指名するという方法もあります。こうした形式・手続きをととのえ、記録をのこすことによって、研修会のレベルが毎回わずかずつでも向上したか、それとカラマワリしただけか、客観的な判断材料がえられると考えています。

ひな祭りのご膳 
 33()。きょうは、春の節句、ひな祭りの日ですホームの食膳にひな祭りのカードがかざられ、食後のクチナオシに「桜もち」をほおばることができました。先日からのコロナ・ウイルスさわぎで、なんとなく暗く・さみしい気持ちになっていたのですが、「春は、やっぱり来てくれたんだ!」すこしだけ、元気をとりもどした感じです。

「音の会」中止
3月4日(水)。午後2時から「音の会」開催の予定でしたが、コロナウイルスの感染拡大を受け、集会自粛のため「中止」と知らされました。当然のこととは思いますが、やはりさむざむとした感じがします。

防災訓練 
 3月9日(月)。午後、ホーム「めぐみ」としての防災訓練が実施されました。事故発生を知らせるサイレンがひびきわたる中、自室から出た居住者が、スタッフの誘導にしたがって昇降口まで移動する。「訓練」の中味は、ただこれだけのことですが、たいせつなのは、参加者ひとりひとりの心構えの問題です。「治ニ居テ、乱ヲ忘レズ」コロナ・ウイルスのこともあります。いつ・なんどき・どんな形でおそわれるか分からない災難にそなえて、これを機会に、思いをめぐらし、カクゴ[覚悟]をきめておくことが求められていると思います。

行事予定、のきなみ中止
 これまで、ボランティアの方たちの来訪・出演によって成りたっていた文化活動などが、のきなみ「中止」となりました。
312()。「社会人大楽塾」が中止。
313()。「移動販売」が中止。
319日()。「ハーモニカの会」が中止。
 つい先日(3/5)「音の会」が中止と聞かされたときは、「あれっ」という感じでしたが、こんどは、「ついに、ここまできたか」という感じ。お先マックラで、あかるいヒカリが見えてきません。
321(土)。13:3014:40長念寺での彼岸法要も、ホームからの「自粛要請」で、欠席」することにしました。

カミキリの日 
3月24()。午後1時すぎ、6fの特設「理容室」で髪をカットしてもらいました。いつもなら、定刻まえから順番まちのお客さんが23人席についていたのですが、この日わたしがのぞいたとき、先客はひとりも見あたりませんでした。先日から、「面会禁止」、「外出自粛」が通達されているので、その影響かと思われます。

射的ゲーム 
3月25日()。午後2時からのリクレーション・タイム、9fで「射的ゲーム」に参加しました。三段組みの射的台がセットされており、至近距離の座席にすわり、銃にこめたコルク弾を命中させていると、春まつりの屋台であそんでいるような気分になってきました。

白雪にかがやく立山連峰
射的ゲームをたのしんだあと、ドアをあけてベランダに出てみました。雲ひとつなく9階ベランダからの景色ですから、あたり一面、高層ビルが背くらべしている光景ですが、そのはるか彼方に、をいただいた立山連峰が白くかがやいている姿が見えます(写真では、分かりにくいかもしれませんが)。「富山は、国のマホロバ」と歌いたくなる気分です。

「面会禁止」と[外出禁止]
 330日(月)。コロナ・ウイルスの感染防止対策の影響が、この「老人ホーム」の生活にまで、ジワジワおよんできたようです。つい先日までは、「富山県内の感染者セロ」ということで、割と気楽に考えていたのですが、「家族でも、面会禁止」と書面で通知されたとたん(3/24)、「アリャー」という気持ちになりました。
  わたしは「老人ホーム」に入居したのを機会に、さまざまな会合への出席を見なおしました。「富山市民国際交流協会」や「富山市日中友好協会」などは、「脱会届」を出してはいませんが、なんの活動にも参加していません。そんな中で、「日本海文化悠学会」と「『古事記』を読む会」の月例会だけは、出席しつづけてきました。しかし、自分の体調のおとろえから考えた結果、「悠学会」への出席は124日(新年会)かぎりで、ウチドメとさせていただ
 きました。
 さいごに一つだけのこった『古事記』を読む会」ですが、
その月例会(4/5)を目前にして、こんどはホーム「めぐみ」
から「外出許可」が出るかどうか、心配になってきました。
施設長さんに「外出許可」をお願いしましたが、「市当局と
も相談しての結論」として、「許可できない」とのことでし
た。
 そこで、わたしはすぐメールで、『古事記』を読む会あて
に「45日の研修会には欠席します」と報告しておきまし
た。気ごころの知れた仲間たちと、すきなだけしゃべった
り、聞いたりすることができる、唯一の場でしたが、ここで
中断して、このさき、どれだけ待てば再会できるやら、見当
がつきません。たいへんなショックです。
【追記】41日になって、「いろいろ検討した結果、4月研
修会は中止し、つぎの研修会日程については改めて案内す
る」と連絡がありました。エィプリル・フールならぬ現実と
いうヒニクを痛感。


いたち川のさくら

 331日(火)。快晴。午後、「機能訓練」の一環として、「めぐみ」スタッフが運転するクルマで、さくら見物につれていっていただきました(女性二人と同行)。大泉町のドンドコあたりから、「お地蔵さんの水」で有名な」石倉町、雪見橋などをめぐり、やがて松川との合流地点まで、いたち川べりのさくらを満喫しました。開花宣言を聞いたのは、つい2~3日前だったかと思いますが、もうほぼ満開といってよい状態でした。

 このさくらは敗戦直後、わたしが中国から引きあげてきた年(1946)に植えられたもので、高さは大人の背たけほどありましたが、そのの太さは、コドモのウデほどしかない、カボソイものでした。強風でフキ倒されないようにと、ツッカイ棒がそえられていた姿をおぼえています。それが、いま見ると、腰まわり(尻まわり)は、人間の数倍。枝・葉をひろげ、花をかざす姿は、数十人の大家族集団の祭りさわぎを連想させ、たしかに圧巻です。

 ことしは、コロナ・ウイルスのこともあり、いたち川のさくら見物はムリだろうと、あきらめていたやさきに、よい思い出のタネをいただきました。ありがたいです。
 
富山県でも感染者発生
 コロナ・ウイルスの感染者数について、330日の北日本
新聞朝刊では、「東京68人(富山県ゼロ)」と報じていま
したが、その直後、事態が急変しました。
 31日朝刊、「県内初確認…富山の20代女性」
 41日朝刊、「県内2人目感染…南砺の20代看護師…東京   78人」
 2日朝刊、「新たに3人、5。京産大生と食事」
 これまで、コロナ・ウイルスは「よそさまの家での災難」
という感じでしたが、ここまで来ると、「今日・明日にで
も、わが家にまで土足でフミこんでくるかもしれない」、お
そろしさで、体がふるえてくる思いがします。
 日本政府の対応の仕方も、目まぐるしく変化しました。は
じめは、ことし夏開催予定の東京オリンピック大会を断乎
実施するとの姿勢を見せていましたが、まもなく「1年間延
して実施」の姿勢に変化しました。しかし、まだウイルス
の正体も分かっていない状態ですから、来年夏までに、世界
規模の感染がおさまり、東京大会成立の条件がととのうとい
証はゼロです。また、開催地東京の受け入れ態勢ができ
たとしても、世界各国から選手たちが出場してくれなけれ
ば、東京オリンピックは成功できないでしょう。
 いずれにしても、「人類の破滅」をにおわせる戦争、「第
2次世界大戦をこえる」かもしれない」大規模な戦争です。
「自分たち(国・民族)だけ、生きのこればよい」とい誘惑
まけて、「国や民族間の抗争」がはじまるようになれば、
全人類対コロナ・ウイルス」の構図くずれ、「人類破滅への道」をひた走ることになるでしょう。

k-k音英語の基本義…日本語の系譜(12)
 前回は学習不足のため、k-k音漢語の語彙数予測をあやま
り、予想をはるかにこえた大量の資料を処理するのにテマ・
ヒマがかかり、ブログの更新をおくらせてしまいました。申
わけありません。
 それにこりて、今回「k-k音英語の基本義」解説にあたっ
ては、できるだけテマ・ヒマをかけず、ぎゃくに自分が主張
したい点は強調するように心がけました。いささか強引すぎ
感じがあるかもしれません。ご異論があれば、お聞かせい
ただきたいとぞんじます。
 以下、A.H.D.(アメリカの遺産・英語辞典)フロク「インド・ヨーロッパ語根とその派生語」
(一覧表)の中から、関連項目をご紹介します。IE語根・基本義・派生語の順。日本語訳および各項*印以下の「注」は引用者の責任。

Gau- (to release解放する) gaudy¹はなやかな,joyよろこび, enjoy楽しむ, rejoiceよろこぶ. IE語根のgau-は、ヤマトコトバでいえば、トク[]などにあたるコトバですが、音形の面でgau-とトクとの共通点をさがしても、なかなか見つかりません。それでもなお、しつこくさがしてみると、やっと見つかりました。gau-g-トクのtoは、いずれも「語頭もしくは語尾にk-, g-音をもつ」という点で共通というわけです。その点からいえば、漢語の「カイkegjieなどはもともとk-k音タイプのコトバなので、gau-と対応関係をもつ語音といえそうです。カイ[]字形についても、「角+刀+牛(刀で牛の体や角をバラバラに分解すること)の会意モジと解説されています。ちなみに申しそえますが、ローマ字で「k^g-」のようにちがった字形で表記すると、日本人の耳の感覚では、まるでちがった系統の語音かと感じることがありますが、英語や漢語の文脈では単なる「交替関係」と見られているようです。日本語のばあいでも、「50音図」という呼び名のとおり、カ行音・サ行音タ行音・ハ行音のコトバについて、清音と濁音のチガイを無視し、それぞれ一括したものを一つの「音グループ」として計算しています。まったくおなじ発想かと思われます。
Ghe- (to release賃貸契約を更新する, let go行かせる) go行く, ago以前, heir相続人, heritage遺産, gait歩きぶり.*ヤマトコトバのク[来・消]・イク[生・射来・息来・行]・ユク[]・ヤク[矢来・焼]などのク(k)音がもつ「共通基本義」が連想され、国籍や民族のチガイをこえた共通感覚を、カスカながら感じとることができます
Gheu- (to pour注ぐ, pour a libationお神酒) gutはらわた, funnel煙突, fusion融解, confuse混乱させる, refuse¹こばむ.k-,g-音を発声する時、口や肺にイキをため、そのイキをクチから一気にハキダス・フキダス・goサセル・ユカセル[]。呼吸器官や酒造りのハタラキを表わす語音。その途中でハラワタや煙突の中をクグッタリ、酵素のハタラキで細胞が分裂(融解)してサケ[酒・裂]になったりする。うっかりしていると、酒造りの作業をrefuseされ、計画が混乱することもあります。
Gheu(e)- to callさけぶ, invoke祈願する) god, giddyめまいがする.*声帯をフルワセ、イキをgoサセル・ユ[]カセル姿。メマイがするとき、人は無意識のうちに、godにむかってgoすることになります。
Gwa-  (contracted短縮された from gwae; to go行く) come来る, become~となる adventure冒険, convenient便利な, eventできごと, invent発明する, base¹土台, basis基礎, acrobat軽業師. *カムを発声するとき、上下のハ[]がカミあってクル[]姿がcome. Become beは、アル・アラワレル姿。あらたな企画にむかってgoする・ブチアタル姿がadventure。あらたな企画がつぎつぎ実現し、現実となれば(become)、これほど便利な話はありません。ただし、器具の発明でも、カルワザのワザでも、その土台の部分がしっかりカミアッテいる・ユルガナイことが前提条件です。
Gwei- (to live生きる) quickすばやい, vivid目のさめるような, vital活気のある, vitaminビタミン, whiskeyウィスキー, bio-ギリシア語系造語要素。Lifeの意, hygiene衛生学.v-音はクチビルの音。B-, m-音などと交替関係にある語音と考えてよいでしょう。日本語ウム[生・産]・ウマレル[生・産]・マ[目・間]・ミ[見・身・実]・ム[]・メ[目・芽・女]、漢語マ・バ[馬・媽]・ボ[]、英語mamma, mother, marryなど、いずれも民族のチガイをこえて、共通の音韻感覚から生まれた語音と思われます。つまり、「m-音を発声するとき、発声器官に生まれる感覚」と「男と女が結婚して、コドモが生まれるまでの経過」とのあいだに共通点があるとの視点から生まれた語音と考えられます。
Gwhi- (threadより糸, tendon) filament糸状のもの, file¹とじ紐, profileプロフィール.*g-(go), w-(wind), h-(hew?)などのイメージを総合したものとして、filament, fileなどの語が生まれたことが推定できそうです。
Gwou (ox雄牛, bull雄牛, cow雄牛) cow¹, beef牛肉, bugle¹軍隊ラッパ, butterバター. *前項参照。「g-wou」の構造。Go, windの語音から「糸状」、「腱」が連想され、やがて「筋骨たくましい雄牛」、「勇壮な音色をひびかせる軍隊ラッパ」、「牛肉のアブラ身からとれたバター」などが連想されたことが考えられます。
ka- (to like好む, desireのぞむ) whore売春婦, caressそっとなでる, charity慈善, cherishいつくしむ. *かるくヒッカカル・ヒッカケル姿。
kai- (heat) hot熱い, heat. *つよく・おもく、ヒッカカル・ヒッカケル姿。また、加熱して、カリタテル姿。漢語カイ開kaiと音義とも対応する語音。漢語では、「湯をワカス[]」ことをカイスイ「開水kaishui」といい、お湯のことも、kaishui(ワカシタ水)とよんでいます。ヤマトコトバのカルkaru[]は、漢字カイ[]の上古音k’erに対応する語音と考えると分かりやすいでしょう。つめたい水は、加熱され、カリタテラレルと、カルくなり、まわりをカキワケ、ワキあがります。度がすぎると、水分が失われ、やがてカル[涸・枯]・カレルことにもなります。
kakka- (to defecate脱糞する) poppycockたわごと, cacophony耳ざわりな音.*子音はk-だけ、母音はa-だけ。そのkaをくりかえすだけの、単純・明快、熱気のこもった語音。ウソ・クソをコク[]ときの感覚。「脱糞」とは、生理的に必要な作業ですが、敵から攻撃されたばあい、反撃する余力がない、きわめて危険な状態です。そのため、日常生活の中で、「めったにクチにしてはいけない」コトバとされています。日本語でも、「カッカしている」といえば、「興奮して、平常心を失っている」状態をさしています。ついでにいえば、メンドリcockがタマゴをウム姿から、日本の擬態語コキリ・コッキリ・コキン・コクリ・コックリ・コックン・ゴクゴク・ゴクリ・ゴックリ・ゴクン・ゴックンなどを連想することもできます。
kau- (to hewたたき切る, strikeうつ) hew, haggle口うるさく値切る, hoe, hay干し草.クイ[]ツク・カミ[]ツク姿。日本語クワ(<クハ)[]は、動詞クウ(<クフ)[]の未然形兼名詞形。クイ[]は、その連用形兼名詞形。
keg- (hook掛け釘, tooth) hook, heckleやじり倒す, hack¹切り刻む.*カク[搔・懸・欠]・カカス[]・ヒッカケル・クイ[]ツク・カミ[]ツク姿。
kei¹- (to lie横になる; bedねどこ, couch長いす; beloved最愛の, dear親愛な) city都市, civic都市の, civil市民の, cemetery共同墓地.*ヒッカケル・・ヒッカカル・ヒキヅル姿。
Kei²- (to set in motion動かす) cite招集する, excite興奮させる, inciteはげます, kinetic動的な.*カク・ヒッカク・カキマワス・シゲキする・ウゴカス姿。
Kekw- (to excrete排出する) copro-“dung”の意を表わすギリシア語系造語要素.kakka-の項を参照。コッポリ・コッキリ・ゴックンとコキおとす姿。
Keu- (to perceive気づく, see見る, hear聞く) hear, acoustic音の, show見せる, sheenかがやき.*「k-u(v)」の構造。「キ[]がクル[]」、「キ[]がフル[触・経・振]」などの姿。耳もとで、かるくkickすると、効果抜群、よくキコエル。よくキク[]
Keue- (to swellふくらむ; vaultアーチ形天井, holeあな) caveほら穴, cavern大洞窟, concaveくぼんだ, excavate掘りぬく, church教会.*「キ[]がクル」姿。キのハタラキによって、アナ[](安全な空間)が現われる。
Ko- (stem of demonstrative pronoun meaning“this”指示代名詞の語幹) he彼は¹, him彼を, his彼の, her彼女の、彼女を, itそれは、それを, hereここ, henceだから, et ceteraなど. k-音を発声する途中でヒッカカルものの例示。指示代名詞だけで、これだけあります。時間があれば、日本語コレ・コノ・ココなどのkoとの対応関係をしらべるのもおもしろそうです。
Ko- (to sharpenとがらす, whetとぐ) cone円錐.*ロやカイを水中におろしてコグ[]姿が連想される語音です。また、ヤマトコトバのコ[小・粉]や漢語のコク[]などとの対応関係も考えられます。コグ姿=コク[]・シゴク姿=コク[]の姿=トガラス・スルドクする姿。
Kwei¹ (tu pay支払う, atone罪をつぐなう, compensate補償する) pain痛み, penalty処罰, punish処罰する, impunity刑罰をまぬかれること.[]のハタラキは、器具の生産など、プラスの面がおおきいのですが、ヒッカカル・カケル[]など、マイナスの面があることも事実です。その実態を認めることから、「加害者を処罰する」、「被害を補償する」などを意味するコトバも生まれてくるわけです。
Kwei² (to pile up積みかさねる, build建てる, makeつくる) cheetahチータ, poem, poet詩人.*動物の姿や詩歌の姿を、建築物とおなじく「構造物」としてとらえる視点から生まれたコトバ。土台となるアシクビからはじめて、アシ[足・脚]・胴体・ウデ・テクビ・クビ・アタマと、一段一段ツミカサネル感覚です。
kweie- (to rest休息, be quietじっとしている) while間(時間), tranquilおだやかな, coy内気な, quiet静かな. *テマ・ヒマかかる作業そのものをカク[欠・闕]・カカス・ヤスム・ジッとしている姿。
kwo- (stem of relative and interrogative pronouns関係代名詞・疑問代名詞の語幹) whoだれ, whatなに, whyなぜ, whichどれ, howいかに, whenいつ, whereどこ, whether…かどうか, neither…でも…でもない, eitherどちらかの, quote引用する, quality性質, neuter中性の, alibiアリバイ.*まっすぐgoする・クル[]・クリヌク・ツラヌク途中で、なにかがヒッカカル・カンケイ[関係]する姿。人間関係・品質関係・位置関係・時間関係・方式関係など、さまざまあります。日本語でも、カ音は疑問詞として定着しています。また、場所を意味する接尾語(ココ・ソコ・アソコ・ドコ)としても利用されています。さらにいえば、漢語でも、疑問詞カfarhe(ナニ)との対応関係が推定されます。Go through するには、途中でヒッカカルもの(=カ[何])をマタグ(カk’uagkuag)、スギル(カguarguoなどの作業が必要になるわけです。

まとめ
 前回「k-k音漢語の基本義」調べでは、予想をはるかにこえてテマ・ヒマがかかり、ブログの更新をおくらせてしまいました。申しわけありません。それにこりて、今回の「k-k音英語の基本義」調べでは、できるだけテマ・ヒマをはぶき、用件だけ強調するように心かけました。「要件」とは、「英単語の音形と意味(事物の姿)との対応関係」を調べてみると、日本語のばあいとソックリの姿が見えてくるという事実です。
 ごくおおざっぱな議論になってしまいましたが、どうかおゆるしください。