2017年4月1日土曜日

タガ[箍]・タク[宅]・tagの タグイ[類]


…日漢英t-k音語の 系譜を タグル…


富山市日中友好協会総会 3/10


春遠からじ 3/12 


河津桜 3/13 


桜餅づくり 3/14 




<画像メモ>

◆富山市日中友好協会総会
3月10日。ホテルグランテラス富山で、富山市日中友好協会の総会が開かれ、記念講演として、富山大学経済学部教授馬駿先生が「製造漁業の国際競争力に関する日中韓比較」について報告されました。ひきつづき開かれた懇親会では、田添等楊さんと同席、ひさしぶりで、いろいろ思い出話などさせていただきました。



◆春遠からじ
 3月12日。散歩のおり、いつものとおり「雪見橋下流の風景」をスマホにおさめました。そのあと、よく見ると、カモ一家が水面をさかのぼってくるところでした。あわてて、もう一度スマホのシャッターを切りました。

 日ざしの関係で、カモ一家の姿が分かりにくいのがザンネンですが、あのときわたしはあの詩の文句を思い出していました。「冬来たりなば、春遠からじ」



◆河津桜
  3月13日。デイサービスまちなかの集会室に、先日からかざられているサクラですが、この日、みなさん帰宅準備で移動し、無人になったテーブルにおきかえて、スマホにおさめました。
 この年になると、クルマの運転もできず、めったに旅行もできません。まちなかへ通うだけで、居ながらにして本格的な「ヒナ飾り」をながめたり、「静岡県川津のサクラ」をながめたりしていると、それだけで季節感をとりもどし、イノチのよみがえりを感じることができます。楽しみです。



◆桜餅づくり
 3月14日午後、どうにか美織さんの都合がついたとのことで、藤の木病院へ面会に行ってきました。この日はちょうど、ボランテアの方々が「桜餅づくり」を実演しておられる
ところでした。許可を得て、その場面をスマホにおさめました。信子は菓子屋の娘として育ったので、むかしのことを思い出したようで、「桜餅の皮の作り方は…」などとしゃべりはじめ、ゴキゲンでした。実演のあとは試食会。見学していたわたしたちにまで配給され、試食させていただきました。とてもおいしかったです。ゴチソウサマ。





<コトダマ ひろば>

タガ[箍]・タク[宅]・tagの タグイ[類](仮説)

…日漢英t-k音語の 共通基本義を さぐる…

  前回、多賀大社の タガと 桶・樽の タガ[箍]との 話を させて いただきました。そして、ひととおりt-k音日本語の 戸籍しらべを すませました。もちろん まだ 不備な 点やまちがった 点なども 多数ある ことと 思いますので、お気づきの 点は お教え いただければ 幸せです。

 わたしは、「t-k 2音節動詞を 中心に、t-k音の 各種品詞語が 整頓し、t-k音単語家族を 形成している」、「そこには、日本語の 音韻組織原理や 原則が はたらいている」と 考えています。前回の議論で、t-k音日本語の 組織原理や 原則が ほぼ 分かってきたと 思いますので、ついでにt-k音の漢語や 英語に ついても、単語家族の 組織原理や 原則をたしかめ、やがて 日本語と英語の 音韻対応関係を さぐる 手がかりを つかみたいと いうわけです。

 「そんなムチャなことを・・・」といわれるかもしれませんが、わたしはずっと以前から、これが「ごくアタリマエの方法・手続き」だと考えています。「日漢英t-k音語の対応関係」にかんする提案も、こんどがはじめてではありません。2009年12月発行の「教育・文芸とやま」第15号(財法、富山県教職員厚生会、年刊)でも、小論「タク・ダク・タクル・タックル」を発表させていただきました。その内容は、年内に刊行予定の『コトダマの世界Ⅱ』に掲載することにしいますが、以下そのご紹介かたがた、これまでたどりついた「日漢英t-n音語の対応関係」(仮説)をまとめてみます。

 「コトバの意味は子音できまります。「t-k音語の意味は、t-音とk-音が表わす意味(事物の姿)の連合である」という前提で、話をすすめます。



1.t-k音の日本語
◆香をタク[焼・焚]。櫛で髪をタク[綰]。櫂で舟をタク(漕ぐ)…現現代日本語ではあまり見かけない用例もありますが、いずれも上代語に用例があるものばかりです。タク=「タ[手]+ク[来]」の構造で、「手が出て来る」、つまり「ツキデル」姿が共通基本義だと考えてよいでしょう。

◆タクものがタカ・タケ。タクことがタキ…動詞タクの語尾母音をa, e, i,oと交替させることによって、タカ[鷹・高・竹]・タキ[滝]・タケ[竹・丈・長・岳]・タコ[蛸]など、さまざまな名詞をつくることができます。語尾母音の変化はt-k音語にゆたかな「意味のひろがり」をもたらしますが、あくまでt-k音の基本義の範囲内。「(手足が長く、高く)ツキデル」姿というタガ(ワク)がはまったままです。

「タク[焼・焚]、タク[綰](タガネル)、タク(漕ぐ)などをまとめて1語と見るか、それぞれ別語と見るか、それも問題ですが、かりに別語と見る場合でも、はじめにまずタク[手来]のような動詞が成立し、やがてそのまわりに同音で類義の動詞タク[焼・焚・綰…]が成立したと考えることができます。また、名詞タカ・タキ・タケ・タコなどの場合は、動詞タクの語尾母音が交替しただけで、基本義は共通なので、「動詞タクから派生した名詞」と考えてよいでしょう。      



2.t-k音の漢語
 『学研・漢和大字典』の解説を参考に、t-k音漢語の基本義を考えてみます(発音表記は、日本漢字音・上古音・漢字・現代音の順)。

◆タカク、ツキデル、ツキダス
タクtok卓zhuo 抜きんでる。台。ツクエ。*ツキデル(目立つ)姿。タク[櫂]・テキ[擢・的]と同系。

タクdog櫂zhao (舟をこぐ)かい。*タカク・ツキデル姿。

テキdok擢zhuo ぬきんでる。ヌキダス。*ツキヌケル姿。



◆ダクダク・ツギツギ、汗がデク[出来]…日本語では、血や汗がツギツギ流れ出る姿を「ダクダク」、「汗ダク」などと表現します。このダクは、上代語タクと同系、つまりタク[手来]・デク[出来](ツキデル)の姿を表わすコトバと考えられます。そこで、日本語タク・ダクなどに対応するようなt-k音漢語があるか、さがしてみることにしました。T-k音漢語(漢字)数は大量ですが、テマ・ヒマをかけ、汗ダクになってさがせば、該当しそうなt-k音語がツギツギ出てきます。

タクdak澤ze サワ。つや。うるおい。*ツギツギつながる沼。

ヤクdiok 譯yi ある言語を他の言語に直して、意味をつなぐ。*コトバをツギツギつなぐ。

エキdiok 驛yi+ 厩。宿場。*ツギツギ連なるさま。

エキdiak 液ye 一滴ずつ、ツギツギ垂れる汁。



◆ヤネ・ハネ・ワキの下にダク

タクdak宅zhai すまい。すまう。*ヤネの下で」定着(定住)するさま。ダク・ダカレル[抱]姿でもある。タク[乇]は、草が地下にじっとネヲ定着させたさま。

タクt’ak托tuo 預ける。のせる。物をのせる受け台。*ダカセル[抱]姿でもある。

タクt’ak託tuo まかせる。かこつける。*ダカレル・ダカセル[抱]姿でもある。



◆タク[手来]・タクル・タクル・ヒッタクル

タクdak擇ze えらぶ。*タ[手]ク[来]・タクルに通じる感覚の語音。ツギツギ容疑者を調べあげ、犯人をエラブ・タクルさま。

チョdog調diao, tiao ととのう。ととのえる。あしらう。しらべる。みつぎ(物納)。

ソtsag租zu みつぎ(年貢)。かりる。かり賃。*ショ[且]は、一線上に物を重ねたさま。租は、収穫した作物の上にかかって徴収されるもの。組(糸をツギツギ重ねる)・祖(ツギ笠重ねる世代)などと同系。

チョウtieng徴zheng めす。もとめる。きざす。*ツキデル・ヒキアゲル姿。トウ[登]・ショウ[昇・証]と同系。

シャクdhiok杓shao ひしゃく。*ツキダス・スクイトル姿。シャク[酌]・チョウ[釣]と同系。

シャクtiok酌zhuo (酒を)くむ。*ツキデル姿。タク[櫂・卓]・チョウ[釣]と同系。

チョウtog釣diao つる。つり。*ツキデル姿シ。ャク[杓・酌・的]と同系。



◆タク・ダク・イタダク・タクワエル

チョウteng頂ding いただく。頭上にのせる。いただき。*ツキデル・ツキアタル姿。テイ[丁・釘・亭]と同系。

セイdhieng盛cheng, sheng もる。さかる。さかり。*ツキデル姿。

チョdiag苧zhu カラム。麻の一種。*じっとツキタツ姿。チョ[佇](たたずむ)と同系。

チョdiag儲chu 設ける。用意しておく。設ける(利益を得る)。*ショ[諸・庶]・チョ[貯]と同系。

ゾウdzang蔵cang, zang 隠す。隠れる。クラ。内臓。*掌中に納め、包み隠す姿。ソウ[倉]と同系。

ソウts’ang倉cang くら。*食糧をタクワエル納屋。

タイteg戴dai いただく。ジッと頭の上にのせておく。*ジッとツキタツ姿。タイ[待]・ダイ[台]と同系。

チクt’iok畜chu タクワエ。タクワエル。

チクtiok蓄chu かこって飼う動物。飼う。たくわえる。やしなう。*もと、栄養分をたくわえて作物をやしない育てる黒い土のこと。シュ[守]・シュウ[収]と同系。とくに、チク[蓄]に近い。

チョtiag貯zhu タクワエ。タクワエル。*ワクの中に財貨をツメコム・ツギ[注]コム(集中する)姿。ト[都・賭]と同系。



◆シメツケル・セメツケル・スクメル

テイdeg締di しまる。しめる。むすぶ。しめ。*手でまとめて」シメツケル・シメククル姿。

テキdek敵di かたき。*まっすぐツキアタル相手。テキ[適]と同系。

テキthiek適shi ゆく。とつぐ。かなう。

テイteg帝di 世界をまとめる最高神。みかど。*帝の甲骨文は、三本の垂れた線を一印でまとめてシメツケル・スクメル姿の象形モジ。オウ[王]・コウ[皇]の字形を参考。

テイteg諦di つまびらかにする。あきらか。まこと。*トキアカス姿。テイ[締]と同系。

トクtok督du 見る。部下をとい締まって率いる。統べる。*目(視線)をからみツケル姿。シュク[叔・菽・淑]と同系。

セイtieng正zheng ただしい。ただす。まともである。*字形は、足が目標の線めがけてまっすぐに進むさまを示す。セイ[征]の原字。セイ[聖]・テイ[貞・挺]などと同系。

セイtieng政zheng まつりごと。ただす。*もと、まっすぐに整えること。のち、社旗を整えるすべての仕事のこと。セイ[正・整]と同系。

セイtieng征zheng いく。ゆく。うつ。もとめる。とる。*セイ[聖・整]と同系。

セイtieng整zheng ととのえる。ととのう。きちんとそろっていること。

ソクtsiu足zu あし、あゆみ。たりる。たす。*ツク・ツケル・ツケタス姿。

                                                                                                                                                                    

3.t-k音の英語

 『A.H.D.』フロク「インド・ヨーロッパ語の語根と派生語」の解説を参考に、t-k音英語

の基本義を考えてみます。

◆deik- ツク・ツキデル・ツケル

teach 教える。*知識や技能をツキダス・うエツケル。

dictionary 辞典。*コトバをツキダス・ミセツケル。

dictation 指令。*ある信号(コトバ・シグサなど)をツキダシ、そのとおり行動させること。

index 索引。*通の情報をある種の規準にしたがって整頓し、必要に応じて個別の情報をツキだサセル仕組み。

indicate 指摘する。*ツキトメル・ツキダスこと。

disk 円盤。*広く、遠く、ツキデルもの。



◆dek- デク[出来]・トク[解・説]

doctor 医者。*病気の原因・症状・治療法などをトキ[解・説]アカス人。

doctrine 学説。*モノゴトの筋道をトキ[解]分け、トキ[説]明かすもの。

document 記録。*書きツケられて、デキ[出来]たもの。

dogma 独断論。*ひとりだけツキデル姿の議論。

paradox 逆説。*逆のトキ[説]かた。

decorate 飾る。*デカデカと飾りツケル姿

dignity 威厳。*ダカク、ツキデル、タケダケシイ姿をまわりに見せツケルさま。


◆deuk- タグル・ツキダス・引きツケル

tug 引きツケル。

tow 引く。*ヒキツケル姿。

tie 縛りツケル。

dock 波止場。船をツケル場。

duct 導管。*ツキヌケル姿。

conduct 指揮する。*ツキソウ、いっしょにツキデル姿。

product ツクリ出す。

educate教育する。*才能をツキダス・ウケタス姿。



◆dhig- ツク・ツキサス・トリツケル

dike 堤。

ditch溝を掘る。

dig 掘る。

pretix 接頭辞。



◆tag- タク。手をツケル。タクル

tact 手ざわり。

taste 趣味。

tax 税金。

taxi タクシー。

contact ツキアイ。



◆teks- タグル・ツクル・デキル・テギワ

text 本文。

tissue 組織。

context 文脈。

pretextカコツケ。

technical 技術的な。



◆tong- ツキトオル・感じる

thank 感謝する。

think 考える。

thought 考え。



◆(s)teg- デク[出来]・デコ[凸]・ダク[抱]

thatch 草ぶき屋根。

deck ①甲板。②飾る。

tile タイル。

detect 見ツケル。

protect 守る。



<おわび>

 わたしの勉強不足で、今回も時間切れ。3月末までに公開の予定だったものが4月にずれこんでしまいました。しかも、「t-k音の英語」にかんする解説が未完成のまま、とりあえず公開することになりました。April fool状態になったことを、心からおわび申しあげます。


2017年3月18日土曜日

多賀大社 名物「糸切り餅」から


…t-k音 タカ・タガ・タグヒ[類]の 基本義を タグル…




ウメが サキました 3/1


ハルト君の 絵手紙 3/4 


絵てがみ とどきました  3/4 


古事記を読む会 3/5 





画像に ついて

ウメが サキました…3月 日、雪見橋たもと、本田和裁学院わきの ウメの 古木が、ことしも 花をさかせました。長く つづいた 冬の寒さが おさまり、やがて あたたかな 春が くる ことを 知らせて くれました。

ハルト君の 絵手紙…3月3日。東京から 西田一家が 来訪。ハルト君が 信子あてに 絵てがみを 描いて、持ってきて くれました。最近 はまって いると いう「サカナづくし」の 絵に「とやまの おばあちゃん、はやく よくなると いいね」と 書きそえて ありました。

絵てがみ とどきました…3月4日、藤の木病院へ。はじめの 予定では、ハルト君から 直接 絵てがみを わたすことに していた のですが、インフルエンザ 流行中の ため、病院の 指示で 予定を 変更。西田父子は 残留。母親 規子さんの 手から 信子へ 渡すことに なりました。

古事記を 読む 会…3月5日、茶屋町 豊栄稲荷神社で、古事記を 読む 会の 研修会と 総会が 開かれました。研修会では 五十嵐 顕房さんが 「神話に 見られる 外来文化の 伝来」と 題して 報告。「蘇民将来」、「樹木の種を まいた 五十猛命」、「常世の国との 往来」、「天孫降臨」、「天之日矛の 来訪」、「神功皇后の 新羅親征と 馬の 伝来」に ついて報告の あと、まとめと して、「日本国への 人や 文化の 伝来に ついては、イネの 伝播ルートを 知ることが 大切…日本の 稲作農耕の 源流は どこか…中国大陸内でも、黄河流域と 長江流域と では、おおきな 相違点が あった…稲作農耕の 伝来に よって、高床式住居 (履物を 脱いでから、部屋に はいる)が ひろまる など、日本列島住民たちの 生活様式に 変化が もたらされた」と 指摘されました。





田賀大社の「糸切り餅」

 規子さんの 実家が 大津市と いう ことで、おみやげに 田賀大社 ゆかりの 「糸切り餅」を いただきました。この餅の 味や デザインも おもしろかった のですが、わたしには、この「糸切り餅」が ナゼ「多賀大社の ミヤゲ品」に なったのか、さらに いえば、「タガ[田賀・箍]と イト[糸]」の 関系が 気に なりました。

「糸切り餅の 由来」に ついて、多賀屋店主が つぎのように 解説して います;

 …糸にて切るは国家平和にして、刀鎗用ひず、且つ寿命を保ち、長く栄えしめんが爲、この心を表す所以なり。

かなり 古めかしい コトバヅカイ なので、現代人には あまり ピンと こない かも しれませんが、よく 考えて みると、「ナルホド そうか」と 思う点も あります。いまどき、餅を 切るには、包丁を 使うのが 普通ですが、それは 金属利器の 包丁が 伝来して からの 話。金属製包丁が なかった 時代には、もっと 別の 方法で 切って いました。その一つが 「糸切り」法。餅の 胴体に 糸を 巻きつけ、引きしぼる ことで 餅を 切り分ける 方法です。包丁に くらべて、糸のほうが 食品と 接する 面積が 小さい ので、それだけ 食品の 味を そこなう 心配が ないと いう メリットも あるようです。

 この「餅の 胴体に 糸を 巻きつけ、ひきしぼる」姿は、そのまま 「樽の タガを 引き締める」姿に 通じます。このこと から、田賀大社 ゆかりの 名物と して アピールしやすい 商品と なった ことが推 定されます。

なお、「糸切り」法の 対象に なる のは、餅に かぎりません、土器づくりの 分野でも、整形作業が 終って、台座から 切りはなす 段階で、この 「糸切り」法が 用いられて います。



割られた タケ[竹]が、タガ[箍]へ 変身

ややこしい 議論は あとまわしに して、タカ[高・竹]から タガ[箍]へ、そして オタガ杓子へと 変身を トゲた 可能性が 出てきました ので、一つの 仮説として 提案させて いただきます。「独断と 偏見の カタマリ」と おしかりを うける ことは 覚悟の上で、ご教示を おまちします。

タケ[竹]は 日本列島各地に 分布し、食用(タケノコ・ンマなど)、各種器具(弓矢・釣竿・飲食物容器・楽器・建築現場の 足場・垣根)の素材用などと して、日本人の 生活と 深く結び ついて います。それだけ、コトバの 面でも、タケ[竹]の同族語と 見られる コトバが 多数 成立して います。タガ[箍]も、その  一つです。

タガは、タケ[竹]を 割って、ヒモ状の 輪と した もの。樽や 桶を つくる 時、円形に組んだ 板の 外側に、この タガを はめて ダキ[抱]しめ、固定します。これに よって、容積の タカ[高]も 固定される わけです。

上代語に タガ[箍]や ダク[抱]の 用例は 見あたり ませんが、3音節動詞 タガヌ(下二)の 用例が あり、「あてがう。束ねる」の意と 解されて います。「タガ[箍]+ヌ[寝]の 構造とも、「タ[手]+カヌ[兼]」の 構造とも 解釈できます。いずれに しても「タガを かける」、「手を アテガウ、タバネル」、「(タガ・タバ・輪の 中に)ハメコム・トジコム」姿です。口語では タガネルと いい、同義語に ワガネルが あります。



お伊勢 参らば、お多賀へ 参れ

 田賀大社は、中世から 近世に かけて、伊勢・熊野と ともに 庶民の 参詣で にぎわったと され、「お伊 勢参らば、お多賀へ 参れ、お伊勢 お多賀の 子で ござる」などの 俗謡も 記録されて います。たしかに、田賀大社の 祭神は イザナギ・イザナミ 二柱の 神で あり、『古事記』の 記事でも、アマテラス大神は イザナギ・イザナミ 夫妻の子と 明記されて います。さらには、「イザナギ大神は、淡海の 多賀に 坐す」との 記事も あり、これを 多賀大社の 記録だと する 説も ある ようです。ただし、『日本書紀』では「カクレミヤ[幽宮]を 淡路の クニ[洲]に つくり[構]」と している ことから、『記』の 「淡海」は[淡路」の 誤写である 可能性が 高いと されています。



オタガ杓子は、もと 竹製か?

 田賀大社 ゆかりの 名物と して、もう 一つ「オタガ杓子」が ある そうです。その由来に ついても、考えて みました。と いっても、インターネットで 入手できる 情報・資料とニラメッコした だけですが。結論は こんな ぐあいです。

 上代語に 動詞 タグ[食] (食べる。飲む)の 用例が ありますので、その 名詞形と してタガが 成立した 可能性も あります。竹の 一節を 切りとり、ちょっと 加工する だけで、食品容器・水筒・杓子などと して 使うことが できます。日本に かぎらず、東南アジアなどでも、竹筒に もち米と ココナツミルクを 詰めて 火に かけ、タキ[炊]あげた ものが、飯と して 提供される との ことです。

オタガ杓子の 素材は、竹では なく、杉です。現行の ものは、飯を 盛りつける 部分がひらたく なって いますが、初期の ものは おおきく くぼんで いたと いわれて います。当時の 米は 粘り気が なく、バラバラ こぼれやすかった からです。その点では、竹のヒシャク[柄杓]に 近い 形状だったと 思われます。

 ただし、ヒシャクと いう コトバの 語源が また 複雑です。一説では、水を すくう ための 瓢箪を 指す「ヒサコ」が「ヒサゴ」に 変化し、やがて さらに「ヒサク」、「ヒシャク」に 転じた もので、「柄杓」は 当て字だと しています。ヒサコ・ヒサゴ・ヒサクなどは、s-k音の コトバなので、おなじく s-k音の 漢語 シャク[勺・杓](水を 汲む。杓子)との あいだに 共通の 音韻感覚が はたらき、違和感 なしで 交流・交替 できた 結果かも しれません。

 漢語では、シャク[杓]の 同義語と して、トウ[斗]が あります。「ツキデル 柄を もつ杓子」を 描いた 象形モジ。上古音tug、現代音douで、トウ[豆・頭]など と同系。ツキタツ・ツキデル 姿を 表わす コトバです。北斗七星も、「杓子の姿を した 星座」への 命名ですが、ト・トウ[斗]は、飲食容器から や がて その 容積単位を 表わす コトバと なり、また、「ツキデル」「ツッコム」姿から、「タタカウ[闘]」姿を 表わす ことにも なりました。

現代漢語でも、オタマジャクシの ことを カト[科斗]と 呼んで います。『学研・漢和大字典』では、「カk’uar科keは、「禾(いね)+斗(ます)」の 会意文字で、「作物を はかって等級を つける ことを 示す」と 解説されて います。ただし、カト[科斗](オタマジャクシ)の 場合は、等級と いう よりは、カタチ・姿に よる 分類と 考えた方が よいかも しれません。漢語カ[禾](穂を 垂れた イネの姿)、カトウ[科頭](頭巾や 冠を つけず、丸坊主の 姿)などの 語音は、k-t音日本語 カタ[形・型]・スガタ[姿]などに 通じる 感覚の 語音と いって よいでしょう。

 さらにいえば、漢語カhuar禾heや カ  k’ua科rkeは、もともと k-r音グループの コトバなので、日本語動詞 クラブ[較]・クラス[暮]や 名詞 カラ[殻・柄]・クラ[倉・鞍・座]・クラシ[暮]・クラヰ[位]、さらには 英語class, clear, color, grade, group, categoryなどとの 対応関係に ついて 考えて みるのも おもしろいと 思います。なお、英語など では、r-音と l-音が それぞれ 別の 意味・用法を もって いますが、日本語など では、その区別が ありません。すべて ラ行音 (実態はr-音)と して あつかわれて います。



固有名詞は、タカラの 山

 「多賀は 固有名詞だから、意味とは 関係ない」などと いう 人も おられる ようですが、そんなことは ありません。人名でも 地名でも、かならず それぞれ 固有の 意味・情報が こめられた うえで 命名され、長期間 通用している のです。その意味で、固有名詞は 「タカラの 山」と 考える べき 存在です。ただ、時間や 空間の 変化と ともに、人々の 意識も 変化し、コトバの 意味・用法も 変化しますので、それぞれ 命名当時の 意味・用法が たどりにくく なっている ことも 事実です。



t-k音語の 戸籍しらべ

さて、固有名詞 タガ[多賀] 本来の 意味・用法は どう解釈すれば よい でしょうか?それには、日本語の 音韻組織原則に したがって、タガtagaと いう 語音が 表わす 基本義を さぐる 方法しか ない でしょう。タガの ガは カの濁音 なので、タガtagaは t-k音グループの コトバとして あつかう ことに なります。

 t-k音の コトバでは、上代語の 段階で タク[焼・焚・斜]・タグ[喫・食]・ツク[著・附・託・搗・衝・突・築・漬・給・尽]・ツグ[継・次・嗣・告]・トク[著・着・解・説]・トグ[研・磨・遂]などの 2音節動詞を はじめ、タカ[鷹・竹・高]・タキ[滝]・タク[栲]・タケ[竹・嶺・長・高・菌]・タコ[蛸]・チギ[千木]・ツカ[塚・握]・ツキ[坏・桃花鳥・月・調・槻]・ツギ[継・次]・ツゲ[黄楊]・トガ[咎]・トキ[時]・トコ[床]など、多数の 2音節名詞も
 成立して います。いいかえれば、これらt-k 2音節動詞を 中心に 多数の t-k音 名詞・形容詞・副詞などが 組織されたと 考えられます。



動詞タクの 名詞形が、タカ・タキ・タケ

たとえば、動詞 タクと 名詞 タカ・タキ・タケとの 関係を 考えて みましょう。動詞タクは、「タ[手]+ク[来]」の 構造で、基本義と して 「(手が )ツキデル」、「手を) ツケル」、「(目標まで)ツク・トドク・トゲル」、「(モノゴトを)トク[解・説・溶]」・トグ[研・磨]などの 姿を 表わして います。名詞に ついて いえば、天空 高く ハバタキ、エモノに むかって タカル(集中攻撃)・タタク 鳥が タカ[鷹]。空に 向かって ツキデル、成長速度の 高い イネ科 植物の 一つが タカ・タケ[竹]。水が はげしく(急速に)ツキデル 姿が タキ[滝]。空に 向かって ツキタツ・ツキデル 地形が タケ[峯・岳]、と いう ことに なります。



田賀大社は、t-k文化 記念館(?)

ここまで、多賀(大社)と 箍を中心に、t-k音の 日本語に ついて 戸籍しらべの 作業を すすめて きました。t-k音語 全体から みれば、まだ ほんの 一部分に すぎませんが、それでも 日本人が このt-k音に さまざまな 意味・情報を こめて t-k音語を つくり、情報交換に 使用し、環境の変化に あわせて、つぎつぎ あらたな 意味・用法の t-k音語を 生みだして きたことが 見えて きました。

 いいかえれば、t-k音 日本語の 戸籍しらべを している だけでも、縄文時代・弥生時代から 現代に いたるまでの 歴史の 証言が 入手できると いう ことです。

 日本で 見られる 竹は、その多くが 帰化植物で あり、ほとんどが 中国原産と されています。その竹の 伝来が 日本列島 住民の 生活改善に 役立ち、t-k文化 (食品・調理器具・器具素材など)とも いうべき ものを もたらしました。その記憶が、「お多賀参り」の原動力に なっていると 考えられます。その意味で、田賀大社は「t-k文化 記念館」の ような 存在です。

 このあと、さらに 漢語や 英語の t-k音語を 採集して 比較すれば、人類語と しての「t-k音の 基本義」を 確認する ことが でき、やがて「日本語・漢語と インド・ヨーロッパ語との 関係」を さぐる ヒントを タグリよせる ことが できる かも しれません。ちなみに いえば、漢語でも 竹は t-k音で、チクtiok竹zhu。また、英語tag(荷札)も、ツケタス(外部から囲む。ダク[抱]) 姿。つまり、タガ[箍]に 通じる 姿の コトバです。