臨峰苑しだれ桜
こおろぎ橋
あやとり橋
相倉合掌造り集落
村上家
岩瀬家
(写真はいずれも伊藤広美さんからの借用)
山中温泉へ
4月11日、東京から伊藤広美・淳子夫妻が来富しました。17日に故加藤富美さんの骨納め法事に出席するためです。愛犬ランちゃんとも、ひさしぶりのご対面です。
ちょうどサクラの季節なので、藤木美織さんもさそって、「2013年桜鑑賞ツァー」に出かけてはどうかと、かねがね伊藤広美さんから提案があり、12~13日、山中温泉へ1泊旅行に行くことになりました。
例によって、広美さんが愛車を運転、淳子さん、美織さん、イズミ夫妻が便乗。ホテルの都合で、ランちゃんは同行できないので、ペットの施設におあずけです。
12日: 富山発→北陸自動車道加賀IC→国道8号線→国道364号線→臨峰苑しだれ桜、無限庵→山中温泉吉祥亭
13日: 吉祥亭→こおろぎ橋、あやとり橋→金沢市卯辰山公園→北陸自動車道→富山
ことしはサクラの開花日が予想より1週間ほど早まったので、「桜鑑賞ツァー」としてはあまり期待していませんでしたが、臨峰苑のしだれ桜などはみごとでした。
心配していた天候も13日には回復して、こおろぎ橋・あやとり橋・卯辰山公園など、ゆっくり散策できました。
五箇山へ
伊藤さんたちが帰京する前日の4月16日。天候がよさそうだからと、五箇山へのドライブにさそわれました。
相倉合掌造り集落で村上家・岩瀬家などを見学しました。カヤぶき屋根の高いところまでハシゴをかけてのぼり、部分補修している光景も目にしました。
富山ではとうに花見は過ぎた感じでしたが、ここではいまをサカリと咲きほこっていました。かと思うと、あちらこちら雪がまだ消えのこっているところもありました。
たまたまはいったそば屋さんで食べたザルそばの味がわすれられません。これぞ手打ちそばの味というのでしょうか。しばらく待たされたあと、一口クチにしたソバのつめたさ、歯ごたえ、そしてコクのあるツユ…
五箇山と白川郷
昨年は岐阜県の白川郷をたずねたのですが、すこし観光地化されすぎた感じでした。ことしはやはり五箇山へということになりました。
まわりを山のミドリにかこまれ、合掌造りの屋根をながめていると、ひとりでに気もちがおちついてきます。まるで母親のフトコロにだかれているみたいな気分です。
クルマで移動するあいだ、運転する伊藤さんには申しわけないことですが、わたしはまわりの景色をながめているだけ。まったく気楽な身分です。そこで、目にする風景や地形と地名を結びつけ、「地名の由来」をデッチあげるゲームをはじめます。たとえば;
ゴカヤマ[五箇山]のゴカは、カガ[加賀]・ガケ[崖]・カケ[欠]などとおなじk-k音語で、ガケ[崖]を意味する地形名にちがいない。シラカワ[白川]のシラは、シラヤマ[白山]・シラギ[新羅]・ヤマシロ[山代・山城]などのシラ・シロに通じるs-r音語だが、地形名ではなさそう。スル・シル・コスル・シロガネなど、金属精錬にかんする技術用語として生まれ、やがて白山信仰ともつながり、日本各地に広まったものだろう…
身近な話でいえば、大根をスル・コスルと、シロイ[白]・シル[汁]がでます。そのシルをのむことで、その味をシル[知]ことができます。また、鉱石をスリつぶすことは微粒子にスルことであり、やがて鉱物をシル[知](発見・採取)ことにつながります。
シロ[代・城]はシラ[白]の語尾母音交替で、シル(スル・コスル)ところ。シロ[白]は、コスレてハゲちょろけた色。シラギ[新羅]のシラも、やがてシラガ・シロガネ・silk・silver
につながる…
そんなふうに、つぎつぎ妄想をふくらませます。アタマの体操になります。
シラカワ[白川]からショウガワ[庄川]まで
カヤブキの合掌造り集落も印象的でしたが、わたしとしてはなにより、シラカワ[白川]・シラヤマ[白山]・ショウガワ[庄川]・ショウカワ[荘川]などの地名のヒビキがいちばん気がかりで、また楽しみでした。
五箇山は庄川の上流地帯にありますが、さらにその上流に白川郷があります。そして白川郷の一部が岐阜県高山市荘川町に属しています。そしてこの一帯は、シラヤマヒメ[白山姫]をまつる白山信仰の根拠地でもあります。
わたしの推論では、ショウガワ[庄川]はもとシラカワ[白川]と呼ばれていたはずです。そのシラカワ[白川]の上流と中流にできた集落が同名のシラカワと命名されたことも自然なことです。ところがある時代、ヤマトコトバの地名を漢語ふうに読みかえる動きが流行し、シラカワ[白川]をショウガワ[庄川]と読みかえることになりました。シラ[白](訓読み)とショウ[庄](音読み)とは別音ですが、語頭音シが共通なので、なんとなく連想できる関係です。
川の名前が改名されるのにあわせて、集落の名もシラカワ[白川]からショウガワ[庄川]に変わります。ただし、まったくおなじ表記ではまぎらわしいということもあり、ショウ[庄]よりもショウ[荘]のほうがカッコイイと思う人もいて、ショウカワ[荘川]と表記することになったのかもしれません。
ちなみに、漢語ショウ[庄]とショウ[荘]はもともと同音tsiang>shuangの語。現代漢語では[庄]で[荘]にも代用しています。
ヤマトコトバの地名を漢語ふうに読みかえた例としては、ミヤガワ[宮川]とジンヅウガワ[神通川]などがあります(残念ながら、ナゾときをしている時間はありません)。
もっと身近な例があります。シラヤマ[白山]とハクサン[白山]、ニシマチ[西町]とニシチョウ[西町]などがそうです。「そんなの、ヤサシすぎる」といわれるかもしれませんが、ナゼ・ドウシテとネホリハホリ問いつめられたら、けっこう苦労すると思いますよ。
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