2014年10月25日土曜日

「原点に立つ」と いう こと 

 …書道家丸岡佐恵子作品集を拝見して
 
 
 
秋の 日ざし、A
 
 
秋の 日ざし、B 
 
 
ステファニーさんの 作品 
 
 
丸橋さんの 作品 
 
 
 
秋の日ざし
1018日(土)。散歩の 途中、O家の 白壁を 背景に した 鉢植えを 拝見。朝の ヒザシを うけて かがやく 木の ミドリ白壁に クッキリ 映しだされる カゲ。そして その横に ある 鉢植えの 葉の 茶色。毎日 見られる、なんでもない 光景と いえば それまで ですが、このときは なんとなく「日本の 秋」を 感じ させ られ ました。
そのあと 遊歩道で、サクラの 落葉が 舞い散って いるのを 見かけました。カメラを 構えると、わたし 自身の カゲが かぶさって 見えます。去年も 一昨年も 見た 光景。「ことしも、この季節に なったんだ」と 思いました。
この季節に なると、夏の ヒザシの ような、ギラギラ 焼きつける はげしさは ありません。そのかわり、日ごとに よわく なって ゆく ヌクモリを このまま だきしめて いたいと 感じさせる ものが ある ようです。
1019日(日)。遊歩道 いちめんに 落葉が 散って いました。きのうと おんなじ 構図で シャッターを きりました。ブログの 画像には、こっちを えらびました。
 
棚橋さんの作品
1020日(月)。アピアの リハビリ教室に 通う ように なって、やがて 1年に なります。定員15名 ほど。いっしょに 手足を うごかして いる だけで、話しあう 場では ないので、だれが どんな経歴の 方か など、いっさい 分かりません。とは いう ものの、リハビリの はじめや おわりに ヒトコト・フタコト 声を かける ことも あり、リハビリの とき にも「1, 2, 3, 4 …」と 声を 出します。また、リハビリの なかにも「シリトリ」や 「○○づくし」などの ゲームが くみこまれて います。そんな とき、おおきな 声で はっきり いう人も います。ちいさな 声の 人も います。口数の おおい人、すくない 人。さらには、見た ところ 運動神経 抜群で、「いったい 何の リハビリに こられた のか」と 思われる 人も います。ぎゃくに、室内での 移動にも ツエを つき、カイゾエが 必要な 人も います。たしかに「十人 トイロ[十色]」です。
そんな 中で、丸橋 佐恵子さんが 書道家で「モジ と コトバ」の 問題に 関心を もっておられる ことが 分かりました。いちど わたしの 作品(コピー)を おわたし した ことがあり、わたし からも 丸橋さんの 作品を 見せて いただけたらと お願いして、前回(13)その作品集を 見せて いただく ことが できました。
作品集の 内容は、①書に かんする 随筆 2篇、②各種 書作品の 写真 ファイル1冊。それと 別に「百人一首」(かな書き) 1巻。
1週間だけ お借りした のですが、研究資料として コピーを とらせて いただいた うえで、20日に お返し しました。
 
アメリカ人留学生の書作品
丸橋さんは 随筆「書と留学生」の 中で、アメリカ人 留学生に 書道を 指導した ときのことを 語って います。
19784月、書道講師 として 県立 会津女子高等学校に 奉職。そこで アメリカ人 留学生 ステファニー・フォークさんと 出会います。ステファニーさんは、アメリカでハイスクール1年を 終了。前年8月 来日。留学期間は1年。書道の 時間 だけ、1年生と いっしょに 授業を 受ける ことに なります。そこで どんな 出会いが あったか?「書と留学生」から すこしだけ ご紹介します。
(筆、墨、紙、硯など)用具名はわかっているようだ。〝筆で日本の文字を書いたことがありますね〝ハイ″〝何を書いてみましたか″〝ヒラガナデス″その時間、彼女の書いた平がなは、小筆のごく先の部分だけを使って書いた単調な線質の文字であった。特に「ゐ」「ゑ」はわからないらしく(日本の生徒も知らない者が多い)…
曲線から成る一字一音の平がなは、西洋人にとっては難解この上もないものなのであろう。昨年9月より日本で学び、平がなの大部分を読み、且つ毛筆という用具によって文字を書けるようになっていたステファニーの中に想像以上の困難な道程を見る思いがした。さらに又、おおくの教師による短期間での深く厚い教育の跡がしのばれた…
文字の意味がわかると、うれしそうにニッコリ笑い…一字の文字の中に自分の書いたことのある文字、見たことのある文字を見つけると非常にうれしそうな表情をする。たとえば[]という字は[火・西・土]から成り立っている。既成文字の組み合せによって別の新しい意義を表わす「漢字」に特に興味を持った…
時間を重ねるにしたがって、ステファニーの書も線がしっかりしてきた…半紙に堂々と腕を使って大きく書けるようになった。いい作品が出来たときは、皆にその作品を見せる。クラスメートは一斉に拍手をしてステファニーの作品をたたえる…(その)あたたかい心を知って。私自身胸を熱くした…
ステファニーの書への学びの姿から、私自身があらためて悟らされたことがある。それは常に原点に戻ってみるということである。自我を捨て原点に立ってもう一度見つめなおした時、新しいものが生み出され、且つ発想の転換が得られるかもしれない…
 
「原点に 立つ」と いう こと
わたしは 中国語が 専攻ですが、書道は ニガテ。こんど 丸橋さんの 書作品を たくさん拝見させて いただきましたが、書法技術の 面から 論評する 資格など ありません。それよりも、随筆「書と留学生」を 読んだ ことで「原点に 立つ」ことの 重要性を あらためて 考えてみる 気に なりました。たしかに、学生は あらたな 知識や 技能を 習得しようとする 姿勢が 原点。ステファニーさんに とっては、未知の 国へ 来て、母語(英語)とはまったく 異質の コトバや モジに 挑戦する という ユメが 原動力に なって いました。丸橋さんに とっても、日本の 典型的な 芸術としての 書道を 次の 世代に 伝える 姿勢が 原点。その 書道教室の 中に たまたま 外国人が ひとり まぎれこんで いた ために、もともと 日本人同士の 技能伝達の 場 だった はずの ものが、民族の ワクを こえて 国際交流の 場に 変身して しまった わけです。
人も 国家も、孤立しては 生きて ゆくことが できません。共存共栄・異文化共生を目指す姿勢こそが「原点に立つ」ことだと思います。

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