2016年12月23日金曜日

楽 あれば、苦 あり…2016年 師走 



チンドン 登場 12/19


バナナの たたき売り 12/19 


名月 赤城山 12/19 


八尾 おわらぶし 12/19



ゆず湯  12/22


『古事記』に 見る 建築用語

 日本海文化悠学会も、『古事記』を 読む 会も、1月は お休みですが、『古事記』の 12月例会の 席で、針山 康雄 さんから 2月例会で 発表予定の レジュメを いただきました。タイトルは「『古事記』に 見る 建築用語を 考える」。一級建築士の 肩書を 持つ 針山 さんが、建築工学の 目で、『古事記』の 中から 建築関係の 用語を 拾いあげ、分析・整理の 作業を すすめて おられます。

 建築や 土木に ついて、わたしは まったくの 門外漢ですが、せっかくの チャンス なので、いっしょに 勉強させて いただきたいと 思って います。わたしに できる ことといえば、針山さんが とりあげた 用語に ついて、まず 戸籍しらべを する こと。すこし具体的に いえば、日本語(ヤマトコトバ)の 原理・原則に てらして、その 単語家族関係を たしかめる こと。あわせて、できれば 漢語や 英語などとの 音韻対応関係に ついても 考えて みる ことです。意外な 対応関係が 見えて くる かも しれません。どこまで やれるか、楽しみに して います。

 針山さんは『古事記』の 記事の 順番に あわせて、建築関係用語を とりあげて います。全部は 紹介 できませんが、わたしが かってに 選んだ だけ でも、「ツクロフ[修理]・ハシ[]・ハシラ[柱」・トノ[殿]・ト[]・カド[]・カキ[]・タルキ[垂木]・モヤ[喪屋]・タタミ[]・ウブヤ[産屋]・イハオシワクノコ[石押分之子]・ムロ[]・ムロヤ[室屋]・カハヤ[]・カナトカゲ[金戸蔭]・カツヲ[堅魚]・ミヤ[]・ミカド[御門・朝廷]」など、いろいろな 語音の コトバが 採集されて います。さて、これだけ 雑多な 語彙資料を どう 分析し、どう 整理すれば よい でしょうか?

 わたしは、まず ヤマトコトバの 組織原則に したがって、音形ごとに 単語を 区分します。そのうえで、基本的な 音形意味(事物の 姿)を 共有する 単語を まとめて 単語家族と して 分類・整理 します。具体的には、イズミが 考案した「64音図(50音図の 改良版。日本語だけ でなく、漢語・英語にも 適用できる)を 利用する ことで、比較的 簡単に 分類作業が すすみます。たとえば; 

  

カタ・ケタは、k-t音タイプ
カツヲ[堅魚]・カド[門・角]・ミカド[御門・朝廷]」などは、k-t音を 共有している ので、k-t音タイプの コトバと して 分類する ことが できます。上代語の2音節動詞と して、カツ[]・カツ[](合わせる)・クツ[]・ケツ[]などが 成立し、その まわりにカタ[方・肩・形・像・潟・葛]・カチ[]・カヂ[梶・櫂]・カヂ[鍛冶]・カテ[]・キタ[]・キダ[分・段]・クダ[小角・管]・クチ[口・鷹]・クツ[履・沓]・クヅ[]・ケタ[]・コト[琴・言・辞・殊・異・別]などの2音節名詞も できて います。多音節の 動詞では、カタス[]・カタツ[](あがめる)・カタドル[像・象]・カタブク[傾・斜]・カタム[堅・固]・カタヨル[片縁]・カタル[]・カヅク[]・カヅラク[]・カトル[主・校・制]・キタム(こらしめる)・キタル[来・来至]・キヅク[杵築]・クダク[]・クタス[]・クダス[下・降]・クダル[]・クツガヘス[]・クツガヘル[]・クヅル[]・ケヅル[削・梳]・コタフ[答・応・対]・コトヅ(口に 出して 言う)・コトホク[言寿・賀]などが あります。

カツは もともと「合わせる」こと ですが、「米を カツ[]」と いえば、「玄米の 一部を カチ割る」 こと(精米) です。剣道の 試合で いえば、「相手の 面を カチワル」ことが カツ[]ことに なります。

「コトバは コト[言」の ハ[端]、カタリ[語]の ワン カット]と 考えて みるのもおもしろいと 思います。カチワル 姿は、漢語でも カツ[割]、英語でもcutです から、音形・基本義とも カッチリ 対応して います。腰を すえて、キッチリ しらべてみる 価値が あると 思いますが、いかが でしょうか?

 富山弁には、カチアゲル・カチコム・カチコワス・・カチワル・カツカル・カツケル・カッチャ[搗屋]・キトキト など、かなり たくさんの k-t音語が ある ようです。



タツ・タタムは、t-t音タイプ
タタミ[]は、動詞 タタムの 連用形 であり、また 名詞形 でも あると 考えます。タムは、もと「タタ[楯・縦]+ム」の 構造で、「タタ[縦・楯]の 姿に する」こと。その タタ[縦・楯]は、動詞 タツ[絶・裁・立・断]()[](他下二)の 名詞形で、タテ[縦・楯]の 交替形。つまり、2音節動詞 タツを 中心に、名詞 タタ・タテ・タタミや 動詞タタム などが タチならび、t-t音の 単語家族を 組織して いると 考える ことが できます。タテや タタミ だけでは ありません。タチ[大刀・舘]や タツ[竜・辰] なども、t-t音語と しての 基本義タツ[立・断・絶・建]もの」の 姿を 共有して います。さらに いえば、上代語 2音節動詞と して、タツと ならんで、ツツ[](伝える)・トヅ[]が 成立して いる ほか、その まわりに ツタ[]・ツチ[土・椎]・ツチ[土・地]・ツツ[筒・管]・ツト[+]などの名詞が成立。3音節以上では、タタク[]・タタカフ[]・タタズム[]・タタヌ[](=タタム)・タタフ[]・タタフ[]・タタル[]・タヅヌ[]・タテマツル[奉・献]・タトフ[]・チダル[千足]・ツタフ[](伝わる。伝える)・ツツク[](自四)[](他下二)・ツツム[]・ツツシム[]・ツドフ[]・ツトム[]・トダル[十足]・トツグ[]・トトノフ[]・トドマル[]・トドム[留・停]・トドロクなどの 動詞も 成立して います。動詞の まわりには、もちろん t-t音の 名詞・形容詞・副詞 なども 成立して います。

 この作業を すすめる 場合、どんな 漢字で 表記されて いるか も 問題ですが、漢字は もともと 漢語に あわせて 作られた モジ であり、ヤマトコトバの ために 造られた モジでは ありません。いわゆる「訓読み」の 漢字は、アテジ[当て字]に すぎません。漢字の 便利さに たより すぎると、ヤマトコトバの 実態を 見失う おそれが あります。字の 字形は 参考に とどめ、あくまで コトバの オト(音形)を たよりに、t-t音 単語家族の 実態を タヅネル[] べき だろうと 思います。



タルキ・トリヰは、t-r音タイプ
タルキ[垂木]・テラ[]・トリヰ[鳥居] などは、t-r音を 共有して いる ので、これらを t-r音タイプと して 分類する ことが できます。上代 2音節動詞と して タル[垂・足]・チル[]・ツル[釣・吊]・テル[]・トル[] などが 成立している ほか、テラ[]・テラス[]・アマテラス[天照](神名)・タラシヒコ[帯日子](天皇などの人名)などの 用例も 見られます。

 ただ、「t-r音語の 系譜」に ついては、124日 「古事記を読む会」での 提案資料(補足)、サブ タイトル「アマテラス」と テラに よせて」と して、報告ずみ なので、くわしい 報告は 省略させて いただきます。



ツカ・ツク・ツクルは、t-k音タイプ
 ツク[衝・策・築・漬・給・尽・著・附]・ツグ[継・次・告]・ツクル[作・造]・ツクロフ[]などは、t-k音タイプと して 分類する ことが できます。上代語 2音節の 動詞と して タク[焼・焚・]・タグ[]・ツク・ツグ・トク[着・解]・トグ[磨・研・遂] など、名詞と して タカ[鷹・竹]・タキ[]・タケ[竹・嶺・岳]・タコ[]・ツカ[塚・握・束]・ツキ[坏・月・調]・トガ[]・トキ[]・トコ[] などが 成立して います。また、多音節動詞に、タカブ[](たかぶる)・タガフ[]・タガヘス[]・タカル(①高くなっている。②集まる)・タギツ[激・滝]・タクハフ[]・タグフ[]・タクム[]・タケル[]・チカヅク[近着]・チカフ[]・チギル[約束]・ツカサドル[]・ツカフ[用・役・仕]・ツカム[掴・攫]・ツカル[疲・労]・ツガル(つながる)・ツキタツ[築立・植]・ツキハム[]・ツクス[]・ツクノフ[]・ツクル[作・造]・ツクロフ[]・トキサク[解放] などが あります。・

テが ツク ところが ツカツカツカんで、ツギツギ・タクミに、さまざまな ものをツクル・ツクロフと いう ことに なります。ツク[付・附]と ツグ[継・次・告]の 関係についても、ク(清音)と グ(濁音)の チガイ だけ なので、基本義は 共通。Aと Bをツケル・クッツケル・ツナグ 姿は、やがて A(またはB)が ツナガル・ツグ[継]姿。Aが Bに むかって コトバを ツケル・ツナグ・ツグ[継]姿=ツグ[告]、と いう ことになります。



ミヤ・ウブヤ・ムロヤの ヤは、y-a音タイプ
 ここで 一つ、すこし かわった 音タイプの 語音に ついて 考えて みましょう。『古事記』に 出てくる ヤは いろいろ あり、建造物関連では ウブヤ[産屋・産殿]・カハヤ[]・ニヒナヘヤ[新嘗屋]・ヒトヤ[]・マヤ[]・ミヤ[]・ムマヤ[]・ムロヤ[室屋]・モヤ[喪屋]・ヲヤ[小屋]などが あります。すべて「~ヤ」の 構造で、ヤは 漢字で []と表記されるのが 普通ですが、[殿・谷]と 表記された 例も あります。ウブヤでも、カハヤでも、ムロヤでも、どれも みな、人や 動物を 入れる 構造物です から、ヤマトコトバと しては ヤ 1語で あり、漢字の 字形に こだわる 必要は ないと 考えることも できます。 

 それにしても、ヤマトコトバで イヘ[]と いう コトバが あるのに、同一事物を []と 呼んだので しょうか?「そんな ヤボな 話」と いわれるかも しれませんが、ここで ヤ[]の 戸籍しらべを して おきましょう。

 ヤマトコトバの 音韻組織を しめす「50音図」を みると、まず 母音が アイウエオ 5個 あり、以下 カ行音・サ行音など、それぞれ 5個ずつ ある ことに なって いますが、ヤ行と ワ行では、かなり 変則的な 現象が 見られます。ヤ行音 独特の 音形を もって いるのは、ヤ・ユ・ヨだけで、イの 段、エの 段では ア行と おなじ 音形と なって います。ワ行でも、ワ・ヰ・ヱ・ヲは ワ行音 独特の 音形を もって いますが、ウの段 だけは、ア行と おなじ 音形と なって います。

 どうして こう なったのか?それは、ヤ行音・ワ行音の 構造が、カ行音・サ行音などとくらべて、特殊な 構造を もって いる からです。たとえば、カは「子音k + 母音a」の 構造。サは「子音s + 母音a」の 構造」。ところが は「半母音y + 母音a」の 構造。ワは「半母音w + 母音a」の 構造。は、「母音iから 他の 母音に 変化する ときに 生まれる 音形」。Wは、「母音uから 他の 母音に 変化する ときに 生まれる 音形」。したがって、ヤ行 イ段が ア行の イと おなじ 音形と なり、ワ行の ウが ア行の ウと おなじ音形と いう のは、当然とも いえます。ヤ行の エに ついては、(ワ行の ヱの ように) いちど「y e」の 音形に なった ものの、その後y音が 脱落したと 解釈できる かもしれません。

 (時間が なくなり ましたので)以下、結論だけ 申しあげます。ヤマトコトバの ヤ音には、感動詞の ヤ[咄]、名詞の ヤ[矢・箭][屋・舎・家]、数詞の ヤ[八・弥]、副詞の ヤ[弥]、助詞の ヤ[哉・也] など、さまざまな 意味用法の ヤが あり、現代人の 感覚では、共通する 基本義が とらえにくく なって います。しかし、コトバは もともと 人々の 生活の 中で、必要に 応じて 生まれる ものです。口を ヨコ 一文字に ひっぱって、イーと 発声する、その姿が「イキを する=イキル」姿 であり、「ヤ[]が イク[行・射来]」 姿です。また、ヤマトコトバでは、動詞形(~する)の 語尾母音が -aに 変化すると、名詞形(~する もの)と なります。たとえば、サク[裂・割]と サカ[](裂ける地形)、ナフ[]と ナハ[](綯ったもの)など。

同様の 感覚で、仮設動詞ユ(イク・ユク姿)の 名詞形が ヤ[矢](イク・ユクもの)と 解釈する ことが できそうです。ユミも ヤも、ヤ行音の コトバ。もともと 狩猟や 戦闘に つかう もの ですが、矢を 数本 組みあわせる ことで、たちまち テント式の ヤ[屋・舎・家]が できあがります。

 数詞の []は、漠然多数を あらわす[]の 語尾母音交替Yoよりも さらに 大きく 口を 開くya音に よって、断然多数の ハチ[](=四の 倍数)に 当てた ことが 考え られます。

 その他、ヤマ・ヤマト、助詞の [哉・也]などに ついても、もとは 名詞[]から 意味用法が 変化した ものと 解釈する ほうが、より 合理的だろうと 考えて いますが、その議論を する 時間が ありません。くわいい ことは、「教育・文芸とやま」第22201612月、財法・富山県教職員厚生会)所載の 小論、「[矢・屋・谷・哉]の 系譜…日本人の 宇宙観を さぐる」を ご参照 いただければ 幸せです。



まちなか版・チンドン まつり

信子の 症状は、あいかわらず 一喜一憂の 毎日が つづいて います。食欲は ある のですが、「こんどは 大丈夫かな」と 思って いたら、しばらく して また ハキモドシが あり、見ている ほうが ガックリ。ご本人は、それほど クルシイと いう 気配を 見せず、そのあと また パクパク たべつづける ことも あります。かと 思うと、せっかく 用意した オカユを お茶碗の 半分も たべて くれない ことも あります。いったい どうしたらいいのか、オテアゲの 感じです。

まちなかへの 通所も、これまで 午後から だった のを、1111日からは 朝からの 通所とし、そこで 昼食を とれる ように なりました。食事の 内容に ついても、いろいろくふうして いただいて いますが、ハキモドシは やはり 止まらない ようです。

心配と いえば 心配ですが、92歳と いう 年齢を 考えれば、この年まで ほとんど 病気らしい 病気を せずに 生きてきた、それだけでも リッパな こと、ありがたい ことだといえます。心配ばかり して、わたしまで 倒れて しまったら、それこそ オシマイ。そうならない ように、介護の シゴトは できるだけ ヘルパーさんたちに お願いして、わたし自身の 時間を 確保したいと 思っています。この ブログだけは、さいごまで つづける つもりです。

まちなかでは、ひろい 浴室で ノンビリ 入浴できますし(22日は、ゆず湯)、そのあと マッサージも うけられます。1219日には、チンドンの みなさんが まちなか版・チンドンまつりを 公演して くださいました。



 あすは、クリスマス イブ。やがて おおみそか。そして お正月。みなさまに とって、どうぞ たのしい 年末年始で あります ように!

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