2011年6月7日火曜日

マウス、マスラオ、マッサージ

m-s音の単語家族しらべ(その3) 

ムスものがムシ[虫]



マシマス[坐]ところがマス[枡]


マウスと申しマスル



森にマシマス[坐]マシラ[猿]



マスラオ[益荒男]は筋肉隆々



筋肉をマサグル、マッサージ


コトダマ効果
3.11の大震災から3か月。テレビで見る被災地は、復興どころか、瓦礫の除去もまだできていません。たくさん集まった義捐金も、被災者の手元に届いていません。政府や国会も、政権の奪いあいには熱心ですが、肝心の政策審議はおざなりのようです。
ここまできたら、東日本だけの問題ではありません。この3か月のあいだに、世界中で日本国の影がかなりうすれてきた感じさえします。
そんなある日、NHKテレビで、「鶴瓶の家族に乾杯」を見ました。鶴瓶師匠とさだ・まさしの二人が石巻市の避難所を訪問する番組でした。落語家と歌手。いってみればなにひとつ生産することもできない二人。それが「コトバのあそび」をするだけで、被災者たちの心の傷をいやし、元気にさせていました。おまけに、テレビを見ているわたしたちまで。
「これがコトダマ効果だ」と思いました。人間とは、コトバをつかう動物。コトバの役割、効果はすごい。コトダマは、コトバのタマ[玉・珠・球・弾・魂]。鉄砲ダマのようにトビかけり、聞く人のタマシイを傷つけたり、ぎゃくに明るい灯をともしたりします。できれば日本国の総理にも、コトダマ効果を発揮してほしいところです。

m-s音の単語家族しらべ
前々回「マセグチ[馬瀬口]の尼寺」の項でm-s音語をとりあげてから、きょうで3回目。わたしが提唱する「64音図」の中で、m-s音タイプのコトバは、けっして多数派ではありません。それでも、日本語と英語のm-s音語を単語家族として比較してみると、意外なほど共通感覚をもって対応していることがわかってきました。
今回は、すこし総合的に「日英m-s音語の家族しらべ」をしてみたいと思います。

m-s-音語の基本義
ここでm-s音語というのは、m-子音のあとにs-子音がつづくタイプの語のことです。日本語では、マス・ムス・ムスコなど2音節以上になりますが、英語ではmass, mouse, miceなどのように1音節の例もあります。
そこで、「m-s音語の基本義は?」ということですが、わたしは、「m-音の基本義とs-音の基本義との連合」だと考えています。

m-音の基本義
m-音の基本義は、「m-音を発声するとき、発声器官に生じる感覚」です。
m-音を発声するには、いったんクチビルを閉じ、イキのながれを口の中に閉じこめます。そのイキがクチビルをモミ破ってモレでる。同時に、鼻にまわったイキが鼻の粘膜をマサグリ、共鳴を起こします。
このとき発声器官に生まれる生理感覚が、やがてm-音の音韻感覚と呼ばれることになります。つまり、m-音語には「ウミだす、ウマれる」、「ウメこむ、コモル、モグル」、「モム、マサグル」、「モレル」などの基本義が生まれることになります。             

s-音の基本義
s-音の基本義も、s-音の調音方法から生まれます。
「舌サキで上ハグキをサスル姿で、イキを吹きつける」ことでs-音が発声されます。そこで、s-音語には「サス、スル、コスル」などの基本義がつきまとうことになります。
たとえば、ス[為]・スル[為]という語音は、もとはスル[擦]・コスル[擦]作業(磨製石器づくりなど)をあらわす技術用語として生まれ、やがて(作業の種類を問わず)一般化された用法と考えられます。

ムスものがムシ[虫]
ムス[産]とは、ム[産]の作業をスルことです。
たとえば、てんとう虫や蝶などの昆虫は、タマゴからサナギ、幼虫、成虫など、くりかえし変身します。ムス[産]作業をムシかえすので、ムシ[虫]と呼ばれたのでしょうね。
ムスコ[息子]やムスメ[娘]も、男性と女性がムスバレ、ムス[産]作業にはげんだ結果として生まれたコ[子]であり、メ[女]でありマス。

マス[坐・座]ことは、マス[益・増]こと
お水、お酒、お米など(命の親)が「マシマス[坐]ところ」がマス[枡]です。
カラッポのマスの中に(お米を)入れマスと、それだけ存在量がマス[益・増]ことになりマス。

マウスと申しマスル
ネズミは、なぜネズミと呼ぶのか?定説はないようです。英語ではmouse、複数はmice。辞典には、「筋肉を意味するmuscleと同源」と解説しています。ネズミの動き、とりわけシッポ[尻尾]の筋肉がみごとな動きを見せる点に着目した命名と思われます。パソコンにつかうマウスも、小型ながらチョコマカ敏捷なはたらきをします。
そういえば、日本語のモウス[申]も、歴史カナヅカイではマヲスです。イズミの解釈では、マ[真]ヲ[尾・緒]ス[為]で、「ピンと尾を立てる、伸ばす」姿、また「筋道の通った話をする」姿をあらわすコトバです。

森にマシマス[坐]マシラ[猿]
「広辞苑」は「マシ[猿]=マシラの略」、また「マサル[真猿]=サル。マは接頭辞」と解説しています。
サルにちなんで「敵もサルもの、ひっかくもの」という表現があります。このサルは、「(負けて)立ち去る」姿ではありません。「サの姿にナル」、「サ[矢]のようにスットブ、トビカカル」姿です。
前記モウスに当てた漢字形[申]は、日本漢字音シンでs-音をもち、もとはイナズマ(電光)をえがいた象形文字。デン[電]やシン[伸](のばす)の原字。さらに、動物名としてはサル[猿]をあらわします。
このように見てきますと、日本語の動物名「サル・マシ・マシラ」は、英語mouse、mice、muscleと発想法がおなじ。マシラとは、森にマシマス[坐]マシラ[猿]が人間にマサル[勝]筋力ワザを見せることによる命名かと思われます。

マスラオは、筋肉隆々の男子
マスラオ[益荒男]はモノノフ[物部・武士]とならんで、上代語として成立しています。
モノは武器のことなので、モノノフといえば武装した男子をさします。マスラオは、漢字で[益荒男・丈夫]などと表記されますが、もともと「成長して、マスマス筋骨隆々となりマスル男子」の意味です。マウスmouseやマシラ[猿]の人間版のコトバ。
英語では、muscular(たくましい)の姿。また、いまどきの感覚でいえば、「キン肉マン」にピッタリのコトバです。

筋肉をマサグル、マッサージ
マスラオは、筋骨隆々の状態を維持するため、たえず筋肉をきたえる一方で、ときどき筋肉をマサグリ、コリをモミホグスことも必要。その作業がマッサージです。
マサグルは、マ[目]サグル[探]とも解釈できそうですが、辞典には漢字[弄]を当てています。つまり、目で見てサグルのではなく、手でマス[摩](こする、もむ)こと、モテアソブことです。緊張した筋肉をときほぐし、弾力性をとりもどす効果があります。
英語のマッサージmassageは、もとアラビア語がフランス語経由で英語にはいったようです。このm-s音は、按摩のマやマシラ[猿]のm-s音とも関係があるかもしれません。

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