2013年2月4日月曜日

北代遺跡の大きな謎、小さな疑問


悠学会研修会 
 
 
三角壔形土製品
 
 
北代遺跡の大きな謎、小さな疑問
125日。日本海文化悠学会第8回研修会に出席しました。もともと茶屋町の豊栄稲荷神社を会場に予定していたのですが、12月は雪で足場が悪いことが心配で、千代田町の丸十さんでということになったそうです。あわせて、研修会のあと新年の懇親会も予定されました。
この日のテーマは「北代遺跡の大きな謎、小さな疑問」。発表者は史跡北代遺跡(北代縄文広場)解説ボランティアの西村盛一さん。見学者から寄せられた疑問・質問とその対策などについて報告されました。
①古代の火おこしについて
②三角壔形土製品について
③高床建物と柱穴のクジラ骨について
縄文土器づくりの仕事か?
考古学などまったく門外漢のわたしですが、やじ馬みたいな好奇心だけはあります。「三角壔形土製品」とか「柱穴のクジラ骨」などは、はじめて耳にしたコトバです。
 
トウケイ[壔形]って、どんな形?
三角壔形土製品」の写真を見せていただき、「富山、新潟、石川、長野の縄文時代中期の文化の中に発生し、盛行し、周辺の関東、東北地方へひろまった…何に使われたのだろう…用途は不明…何らかの呪い・マツリ・祭祀にかんするもの」という解説をきいて、いっそう好奇心をかきたてられました。
よい勉強をさせていただきました。そこでわたしも、小学生なみの疑問・質問を出させていただきたいと思います。
トウケイ[壔形]って、どんな形ですか?「三角柱状の土製品」との解説ですが、どうしてトウケイ[壔形]と表記しなければならないのか、フシギです。
念のため、「学研・漢和大字典」でしらべてみました。
トウ[]は「土+音符壽(ジュ)」の会意兼形声文字で、①つつみ。うねうねとした長い土手。②とりでの周囲の、敵を防ぐための長い土手。また、畑のうね。トウ[]()やチュウ[](田のあぜ)と同系。
また「大漢和辞典(諸橋轍次)は、「①とりで。②つか。おか。③つつみ」と解説しています。
三角壔形土製品」という用語は「八幡一郎の命名」だとのことですが、おそらく漢字トウ[]の意味用法をしらべたうえで、自信をもって命名したことと思います。そうなると、日本海をへだてた対岸、中国大陸でも、「三角壔形土製品」もしくはその原型のようなものが発見されているのでしょうか?
トウ[]という漢字は、日本語ではめったに使いません。たいていの人は読めません。意味も分かりません。チンプンカンプン、ワケの分からないものに興味・関心をもつ道理がありません。
「学術用語だから、むつかしいのはアタリマエ」という人もおられます。しかし、それは時代感覚がおくれているのだと思います。せめて[塔形][筒形]とでも表記されていれば、すこしイメージがつかみやすく、そこからさらに「分布状態は?」「使用目的は?」と追求したくなるかもしれません。
むつかしすぎる技術用語」の問題は、考古学の分野にかぎりません。つい最近でも、介護医療の国家試験をめぐって、業界の専門用語のむつかしさがマスコミでとりあげられました。たとえば、いっぱん世間で「床ずれ」とよんでいるものを、業界の専門用語で「ジョクソウ[褥瘡]」とよんでいます。この用語を知らないと、国家試験に合格できません。この現状は、もっと合理的・効率的なものに改革すべきではないかという議論です。
 
ブログ「山川旅人日記」
日本海文化悠学会の代表で、もと富山県立図書館長の仙石正三さんが、昨年11月からブログ「山川旅人日記」を開設しておられます。「富山県を中心に、歴史・読書・山川めぐりetcを書き込みます」とのこと。歴史にかんする情報量がゆたかで、解説が合理的・客観的で説得力があります。むつかしい問題を、気楽に読ませる文章力に脱帽です。
日文悠第8回研修会「北代遺跡の大きな謎、小さな疑問」についても、126日号のブログでくわしく紹介しておられます。

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